- 著者インタビュー
エンカウンターは本音と本音の交流です。構成的グループエンカウンターはリーダーが用意したプログラムをもとに作業や討議をして人間関係をつくり、個人の行動変容を目指します。小学校でのエンカウンターによる人間関係づくりは、人とふれ合うことを楽しむようにすることがポイントです。「枠組み」を構成することで本音と本音の交流を促進するエンカウンターのスキルは、学級づくりの指導力と相通じるものがあります。
小学校で人間関係力を育てる場は学級です。エンカウンターで学級集団のよさに気づかせることで、学級を子どもの心の居場所にすることができます。本書を参考にエンカウンターをいろいろな場面で活用してみてください。「言って聞かせる」だけでなく、「人とふれ合って感じる」エンカウンターを取り入れることで学級づくりは変わります。繰り返して行う場合は3分あればできます。できそうだと思ったエクササイズから取り組んでみてください。
教師は指示や指導はしても、自分の気持ちを語ることはあまりありません。そのような教師が、「よくできましたね」とほめても言葉に力はありません。わかりやすく、理詰めで話すだけでは、子どもとの感情交流は生まれないのです。自己開示をうまく使う教師は子どもとの距離を縮め、関係を深めることができます。教師が自分を開いて語る姿は、子ども同士の本音と本音の交流を促進し、人間関係の垣根を低くすることにつながります。
エンカウンターのスキルを習得することで、授業で集団の力を引き出すことができます。授業づくりと学級づくりを一体化した授業を進めることができるのです。エンカウンターを授業づくりに生かすことで、主体的・協働的に学ぶアクティブ・ラーニングの指導力が高まるのです。そしてペアやグループのシェアリングを取り入れるなど、子どものかかわりを生かした授業を進めるアクティブ・ティチャーが増えることを願っています。
本書ではエンカウンターを生かした学級づくりを「学年別」「学級開き」「学期毎」「問題場面」などに分け、理論と具体的エクササイズをわかりやすく紹介しています。これまでエンカウンターを知らなかった教師でも考え方を理解して学級づくりに取り組むことができます。あなたもエンカウンターにチャレンジし、「かかわり」と「つながり」のある集団づくりに取り組むことで、学級づくりの醍醐味を味わってください。