
- 著者インタビュー
- 教師力・仕事術
お褒めいただきありがとうございます。いい声かどうかわかりませんが、自分自身の声についてはけっこう意識しています。いい声かどうかよりも聞きやすい声かどうかという意識です。子どもたちは、教師の声を1日中聞いています。やっぱり聞いていて心地よい声の方が、クラスの雰囲気もよくなりますよね。最近、いろいろなクラスを見ることが多いのですが、キンキン声の先生のクラスは、どことなく落ち着きのないクラスが多いような気もします。
演劇界のレジェンド、スタニスラフスキー氏の提唱した「3つの輪」から私が学んだことは、「話しかける対象を意識して話しなさい」ということです。実は、これ、話し上手な先生なら、みんな使っている極意の一つです。その極意を意識することによって、誰でも話し上手にぐっと近づくことができます。今まで無意識だったことを意識することによって、自分の話し方が変わってきます。具体的な話は、本書をお読みください。
実は、今まであまり公言していなかったのですが、俳優座演技研究所で6か月の基礎レッスン、その後、東映の撮影所で6か月の修行(エキストラ出演など)を行っていました。でも、その時は、「他の人の邪魔になるから見学していてください」と言われるほどの落ちこぼれだったんですよ。
…という内容がウィキペディアに書かれていた高倉健さんと同じ身長なんです。これは、運命ですよね。演劇界から学べという(笑)。
―…冗談なのですね。その話術に引き込まれちゃいました。そんな誰もを…担当編集までをひきつけるスペシャリストな俵原先生、次の質問です。
本書中、授業や学級活動、はたまた保護者や職員室の同僚と話す時まで具体例をあげて紹介くださっていますが、その中で1つ先生がおススメと思うものをご紹介いただけませんか?
「大地くんは、いつも外の掃除を頑張っているんですよ。和樹くんが教えてくれました。友だちも認めるほどの頑張りなんですよね。」
懇談会で私がよく使うフレーズです。私のこの話をお母さんはニコニコと笑顔で聞いてくれます。先生だけでなく、クラスの友だちからも認められているという話を喜んでくれるのです。友だちの頑張りを認めることができる学級風土もできて、一石二鳥です。
この本には、大地くんのお話のような「こういう場面ではこのように話すと効果的ですよ。」という「何を話すか」ということも書かれていますが、何といっても、最大の売りは、「誰を意識して話すか」や「この時は、低めの声で、ゆっくりと」など、演劇の世界から学んだ「話し方の基礎基本」をベースにした「どう話すか」というノンバーバルな部分も付け加えられているということがあげられます。その部分を意識して読んでいただけると、この本の効果は倍増します。演劇からの学びだけに、「劇的」にあなたの話し方は変わるはずです。
お後がよろしいようで。