著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「批判的読み(クリティカル・リーディング)」の視点からの授業改善をしよう!
兵庫教育大学大学院教授吉川 芳則
2018/1/12 掲載

吉川 芳則きっかわ よしのり

兵庫教育大学大学院教授。博士(学校教育学)。
兵庫県生まれ。神戸大学教育学部卒業。兵庫県公立小学校教諭、兵庫教育大学附属小学校教諭(この間に兵庫教育大学大学院修士課程言語系コース修了)、兵庫県教育委員会事務局指導主事を経て現職。
全国大学国語教育学会(理事)、日本国語教育学会、日本読書学会、日本教育方法学会等会員。国語教育探究の会代表。

―本書で提案されている「批判的読み(クリティカル・リーディング)」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

 類する読み方としては批判読み、評価読み、吟味読み、熟考・評価の読み等の呼び方で提唱されてきました。が、本書では「批判的読み」としました。「筆者に立ち向かう、力強い読者(読み手)を育てる読み方」です。「筆者の発想を読む」「自分の考え・論理をつくる」ことが中核です。

―また「批判的読み(クリティカル・リーディング)」はどのような教材の指導で使えるものなのでしょうか。

 基本的には、小・中学校(高等学校でも)のどの教材でも行うことができます(と言うより、行うべきです)。もちろん使い方の軽重はつけて。本書では、事例が列挙されている教材、写真・図表が多用されている教材、筆者の主張が明確な教材等の事例を示しました。

―「批判的読み(クリティカル・リーディング)」を取り入れるメリットをご紹介ください。(身につく力、深い学びとの関連など)

 事柄を確かめるだけになりがちな説明的文章の授業に変化をもたらします。筆者の発想と自分の考え方との異同を検討し、内容や表現のあり方を多面的に捉える学習活動になるため、次期学習指導要領がめざす「言葉による見方・考え方」を育てることになります。

―国語の新しい学習指導要領では「情報の扱い方」が新設されていますが、これは「批判的読み」とどのように関連していますか。

 「批判的読み」は、本論の事例相互の内容や導かれた結論の妥当性など「情報の扱い方」にある「情報と情報との関係」を問題にして、筆者の発想の推論、それに対する自分の考えの形成を行います。その際、比較、分類等「情報の整理」に必要な論理的思考力を駆使します。

―最後に国語の授業改善に取り組む先生方に一言お願いいたします。

 知的に、楽しくことばを学ぶこと。仲間のいろんな読み、考えに触れて自分の語彙や表現を確かで豊かにすること。そうした授業づくりを目指しましょう。小さな、一つの工夫でよいのです。「批判的読み」は、その「工夫」の手助けになります。必ず。

(構成:木山)
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • [削除]
    • 2018/1/12 20:45:32
コメントの受付は終了しました。