- 著者インタビュー
- 国語
一番多いのが、授業をどうデザインしていいか分からずに、指導書通りに進めてしまうという悩みです。指導書は、指導要領と合わせてその学年の子どもにつけたい力を明確にして単元構成・授業デザインされています。しかし、いつもそれがよいかと言われれば、答えはノーです。目の前の子どもに合わせてアレンジすること、授業者の先生がこだわった視点で驚きや笑いを演出することにより、子どもはもっと主体的に学びます。
授業の導入と教師の振る舞いを意識しています。導入は、子どもに考えさせたいことを明確にすること、考えたいしかけをつくること、前時とのつながりを大切にしています。教師の振る舞いは、いかに国語が楽しいか、おもしろいかということを子どもに伝わるように雰囲気や言葉かけを意識しています。笑顔で授業をする、子どもの発言に突っ込んだり驚いたり感心したり、授業者が笑いをとったりと1時間思いっきり楽しむようにしています。
授業の山場と振り返り、1年間の積み上げです。授業展開の中で、山場を「ふかめる」場面として位置づけ、児童の思考をゆさぶる発問や、これまで学んだことを生かして考えるなど、すぐに答えが出るものではなく、一段階深い考えを生む発問を用意しておきます。そのあと振り返りをすることで、考えを深めた自分をしっかり子ども自身が認められるようにしたいと思っています。これを1年間繰り返すと、確実に国語力を伸ばしていくことにつながります。
1年間のルールを4月にきちんと決めておくことと、「国語って楽しいんだ!」という体験をさせることです。ルールは、音読のこと、ノートのこと、発表のこと、授業の始まりと終わりのこと、チョークの色のことなどたくさんあります。きちんと決めておけば、子どもは安心して授業を受けられます。
学級で学ぶことに価値を見出します。一人一人が考えたことが違ったり、知らない言葉を教えてもらったり、話し合うことでもっと世界が広がったり、このような経験が集団で学ぶことの価値になります。4月の間に楽しい授業をたくさんしたいものです。
本書には、「国語の授業はこうすべきだ」というものではなく、「こういう方法もあるよ、こんなふうに考えてみたら?」という提案がたくさん載っています。また、一緒に書いたメンバーは、共に研究し、互いの授業を見て真正面から意見を言い合える仲間です。そのような仲間がいること、いろいろなやり方を知り、視点を変えることで授業はよりよいものになっていくのだと思います。本書が、国語授業に悩まれる先生にとって一助となり、さらに周りの先生とよりよい授業をつくっていかれることを心から願っています。