- 著者インタビュー
- 学習指導要領・教育課程
今回の学習指導要領では、特別支援教育の充実が、特色の一つになっています。実施から10年以上過ぎた特別支援教育が、より学校現場に浸透してきていることの現れだと思います。
本書では、それを現場の一教師の視点で読み解き、教室の子供たちの姿と結び付けられるようにしました。
全ての教科において、発達障害を含む障害のある児童などへの配慮が示されました。教室にいる子供たちの学びの在り方が、どの子も同じではないということを、私たち現場の教員が、全ての教科、全ての授業において意識しなければいけないということが示されたのだと考えています。そうした前提の中で、実際の授業でできること、気にしておきたいことを本書に書きました。
教室には、いろいろな子がいますから、全員が同じ目標にたどりつくことができないこともあります。でも、どの子も授業の中で「楽しい」や「わかった」「できた」という思いがもてる機会を作りたいと考えます。そのためには授業の中でどんな工夫をすればいいかを考えてきました。本書の第2章に書いているような工夫です。
子供同士の関係をつなぐことです。そのために言葉づかいや一人一人の学級における役割づくりなどについては、特に意識しています。ただし、関係があまり強すぎると、合わせなければならない、同じようにしなければいけないと思って苦しくなることもあります。違いも認め合えるようなゆるやかな関係性がいいなと感じます。
本書を読んでくださる多くの先生方と同様に、私自身も、一人の通常の学級の担任です。学習指導要領の改訂を機会に、私たち担任の前にいるたくさんの子供たちと、これまで特別支援教育に関わってきた方々の思いとを、本書を通してつなぐことができたらいいなという思いで書きました。本書が、教室の先生や子供たちの笑顔を増やす役割を担うことができたら幸いです。