著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
教師は子どもたちの心を動かす言葉をもたなくてはなりません
大阪府箕面市立萱野小学校教諭垣内幸太
2018/6/28 掲載

垣内 幸太かきうち こうた

大阪府箕面市立萱野小学校。
1974年、兵庫県生まれ。大阪教育大学教育学部卒業。
2009年、関西体育授業研究会設立。
「体育科の地位向上」を合言葉に発足。月1回程度の定例会、毎年7月に団体演技講習会、11月に研究大会を開催。
2015年、授業力&学級づくり研究会設立。
「子ども、保護者、教師。みんな幸せ!」を合言葉に発足。月1回程度の定例会、年4回程度の公開学習会を開催。
主な著書に、教師力ステップアップシリーズ『3年目教師 勝負の学級づくり』『同 授業づくり』『同 国語授業づくり』『同 算数授業づくり』『同 音楽授業づくり』『CD-ROM付き キラキラかわいい!365日のイラストカット・テンプレートBOOK 小学校』がある。

―本書の「はじめに」に、子どもたちの心を動かすには、「伝えるタイミングと技術が大切」とあります。どんなときに伝えるとよいのか…「伝えるタイミング」に関して、アドバイスいただけますか。

 同じ内容を伝えているのに、子どもたちへの伝わり方はタイミングによってまったく違うものになります。季節や学校における行事からちょっとした日々の出来事、その時々に合ったタイミングで伝えることが大切です。本書でも月別に紹介していますので、参考にしてもらえればと思います。
 同時に、受け取る側の子どもたちの状況を見極め、話すタイミングを見極めることも忘れてはいけません。

―では、どうやって伝えるとよいのか…「伝える技術」に関しても、アドバイスいただけますか。

 本書は、「2分間メッセージ」として、そのまま子どもたちに話せるようになっています。疑問から投げかけたり、これからの行動を促したり、時には強い言葉で念押ししたりといった伝えるための技術を取り入れ、ただ伝えるだけではなく、子どもの心に届くように工夫されています。
 しかし、この文面では十分に伝えきれないこともあります。それは、話す際の抑揚や間の取り方といったことです。目の前の子どもたちの表情などを観ながら、読者の皆さんがよりよいものにしていってください。

―本書は、朝の会や帰りの会だけでなく、いろいろな場面で活用できそうですね。176語収録されている中から、今日ピッタリの言葉を選ぶ方法を教えてください。

 「6月危機」という言葉もよく耳にします。4月からスタートした学級もたるみが生じ学級経営がしんどくなっていく状況です。そんなときには、6月に掲載している「自利利他」を子どもたちに話をします。「自利」と「利他」、自分の幸せと周りの人の幸せ、どちらが優先されるべきか考えることで、自分の行動をもう一度見直す機会としてもらいたいからです。
 しかし、これは6月のみ起こりうる話ではありません。月毎に話す言葉を選ぶことを基本に、一度さっと目を通していただき、目の前の子どもたちにピッタリの言葉を探すという方法もいかがでしょうか。

―本書は、いずれも2分間程度で収まるメッセージが収録されています。オリジナルのメッセージをつくろうという先生のために、子どもたちに向けて2分間のメッセージをつくるために、押さえておきたいポイントを教えてください。
  1. 簡潔であること
  2. 話が身近に感じられること
  3. 教師が心からの願いを持つこと

 どんなにいいことを言っても、長い話は子どもたちは大嫌いです。雲の上の話は自分事として捉えられません。うわべだけの言葉では子どもたちは見抜きます。この3つのポイントは、子どもたちに話をする上で押さえておきたいことです。

―最後に全国の先生方へ向け、ぜひ「こころにしみるメッセージ!」をお願いいたします。

 本書は、「最高の友は、私の中から最高の私を引き出してくれる友である」の話で締めくくっています。子どもたちにたくさんの仲間とともにこれからも素晴らしい学校生活を送ってほしいという願いからです。
 我々教師は一人で踏ん張らなくてはいけない時がたくさんあります。しかし、本当にしんどい時救ってくれるのは仲間です。ともに喜びを分ちあえるのも仲間です。教師としての力を伸ばしてくれるのも仲間ではないでしょうか。この書籍もそんな仲間と知恵を出し合い書きました。長いようで短い教師人生、最高の自分を引き出してくれる仲間をたくさん見つけてくださいね!

(構成:木村)
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