著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
移行期本番!2021年の全面改訂に向け、授業をアップデートしよう!
東京都千代田区立九段中等教育学校本多敏幸
2018/7/20 掲載
今回は本多敏幸先生に、新刊『中学校 新学習指導要領 英語の授業づくり』について伺いました。

本多 敏幸ほんだ としゆき

千代田区立九段中等教育学校指導教諭。1959年東京都生まれ。東京学芸大学大学院教育学研究科英語教育専攻修士課程修了。文部科学省「外国語教育における『CAN-DOリスト』の形での学習到達目標設定に関する検討会議」、「中央教育審議会中等教育分科会教育課程部会外国語ワーキンググループ」、「学習指導要領等の改善に関わる検討に必要な専門的作業等(中学校外国語)」協力者。ELEC同友会英語教育学会会長,英語授業研究学会理事。

―新学習指導要領を使いこなす授業づくりのポイントがわかりやすく紹介されている本書ですが、1章では新学習指導要領のキーワードが解説されています。ここには、どのようなキーワードが挙げられているのでしょうか?

 今回の学習指導要領改訂においては、改訂の途中から様々なキーワードが聞こえてきました。改訂の根幹をなす「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」「見方・考え方」については、それぞれについて解説を行っています。また、小学校で英語が教科化されたのを受け、中学校の教師は小学校の内容を熟知しなければなりません。このため、小学校で扱われる内容(言語材料や言語活動)についてもページを割いて解説しています。

―2章では、資質・能力を育む指導のポイントとして、授業を英語で行う工夫や高校入試問題への対応法、領域統合型の言語活動の指導法などが紹介されています。こちらはどのように活用できるでしょうか。

 2章では、「主体的・対話的で深い学び」の視点に合った授業各領域の言語活動文法事項の指導語彙の指導英語で行う授業ペア(グループ)ワーク領域統合型言語活動を行うにあたって、考えなければならないポイントを示しています。現在行っている授業を振り返り、改善しなければならないことがあるか、もしあるのならどのように改善するのかを考えるための材料となります。また、新学習指導要領に合った授業を行うためのヒントを載せています。

―3章には、これまでは高校で教えていた仮定法などの指導のポイント、パフォーマンス評価の実施方法などが紹介されています。この章は一番読んでほしい部分とのことですが、それはなぜでしょうか。

 新学習指導要領の目標を達成するには、授業デザインが大切になります。特に文法事項の指導と本文の指導とのバランス「思考力、判断力、表現力等」を身につけるための言語活動がポイントとなります。3章には具体的な授業デザインを載せているので、是非読んで取り入れていただきたいと考えています。140時間という年間の授業時数はすべての教師にとって共通です。この時数の中で生徒の英語力を高めるために、指導過程のどこでどのような言語活動を入れたらよいのかが大事になります。

―小学校で英語が教科化され、すでに先行実施が始まっています。中学校の先生方は今後どのような授業改善を進めていけばよいでしょうか。

 まず、絶対に必要なことは、We Can!(指導編)を読んでいただき、小学校でどのような指導が行われているのかを知ることです。入学してくる生徒の英語力は年々上がってきます。それに合わせた授業を行わなければなりません。小学校で培ってきたコミュニケーション能力をさらに伸ばすためにどのような言語活動を入れたらよいのか、どのような指導を行ったらよいのか、常に考え、取り入れていくことが授業改善につながります。

―最後に読者の先生方へのメッセージをお願いします。

 今回の学習指導要領の改訂では、中学校の指導に一番変化が求められていると言っても過言ではありません。教師が一人で考えて授業を変えていくことは大変です。授業改善にはアイディアが必要です。本書に載せているアイディアを活用していただけたら幸いです。新学習指導要領に合った授業の改善ポイントは本文の扱い方です。本文の扱い方次第で生徒の英語力は確実に伸ばせます。そのヒントを載せていますので、ぜひ参考になさってください。

(構成:木山)
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