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新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」が重要…「思考力、判断力、表現力」が重要だ…という風潮を強く感じます。社会科は「暗記教科」ではないとも。もちろんそうです。しかし、社会科において「事実」を「知る」ことは重要です。「事実」を知らなければ、その変化や違いを、「空間的」に「時間的」に「相互関係」で考えることができません。したがって、今回のワークでは各社教科書の重要語句を中心に、子どもたちが覚えやすいように写真や説明、図を添えて問題文を作成しました。答えだけを覚えるのではなく、正答を書き込んだら1枚の参考書のようにあつかっていただければ、何度も復習できる仕組みになっています。
予測できない未来のために、今年度からはじまった学習指導要領でしたが、予測できない未来が早くもきてしまった感じです。現在は、コロナ禍で教育活動が制限されていますが、関係機関の不断の努力で、「新型コロナウイルス」の特性が少しずつ明らかになってきています。文科省もこのほど「過度な消毒は不要」という通達を出しました。「新しい学校生活様式」では教育活動の制限ではなくパーテーションや、ソーシャルディスタンス、マスクを活用した工夫で多様な学習展開を行うことが大切です。
例えば、今回の臨時休校により学校でZOOMが使えるようになった自治体も多いのではないでしょうか?それを活用しない手はありません。教室の中での対話的学習が難しいのであれば、他の都道府県との交流を積極的に行っていくのはどうでしょう?北海道の児童が沖縄の小学生とオンラインでプロジェクトを達成していく…そんな学習も主体的・対話的で深い学びにつながるかもしれません。
「覚えよう」は、その社会的事実を知ることが重要です。「考えよう」はその事実が社会にどのような影響を及ぼしているのかを考えることが大切です。「チャレンジ」は自分の考えを書くことを大切にしています。考えを書くことは、「思考力」「判断力」「表現力」が鍛えられ、学習効果が高い活動です。授業の中で@学習問題に対する自分の考えを書く、A仲間の発表について意見を書く、B学習のまとめを書く、C学習のふりかえりを書くなど、1時間の授業中で、積極的に多様な形で取り入れることをおすすめします。また、ノートなどに蓄積し書く力の成長を自覚できるようにすることも、子どもの意欲を引き出すことにつながります。
ICTの話題になるとよく、「ICTを使うことが目的になっている」という常套句を耳にします。尤もらしく、座りの良い言葉で、多くの人が批評のときに話します。でも、どうなんでしょう?ICTを使うことを目標にしてはいけないのでしょうか?そもそも、そういう授業は学習目標をないがしろにしているのでしょうか?結果として、ICTの活用が効果的でなかったことはあるかもしれません。しかし、それを恐れていては、教育は変わりません!何せ相手は「チョーク」「黒板」「ノート」「鉛筆」という超保守ですから。
成功のポイントは、そのICTの「効果」を増やしていくことです。「時間」や「環境」といったリスクも必ずありますが、まずは効果を仲間と共有すること、そして子どもの成長のエビデンスを記録していくことです。そのためには教師の「想像力」が大切ですね。この機器を使うとこんなことができるかもしれない…という好奇心と想像力がよい活用を生み出します。「でも、時間が…」「どうせ、すぐ…」という言葉からは何も生まれません。失敗も含めて、実践を積み上げていくことが大切だと思っています。
この臨時休業をきっかけに自分のYouTubeチャンネルを開設しました。「『教えて考えさせる』あさせんの社会科授業チャンネル」です。
前著の「社会科授業づくりの教科書」や今回の「社会科授業ワーク大全」で取り扱っている学習を紹介していきたいなとも思っています。ぜひ、チャンネル登録を!
社会科は「教材化する力」が命の学習です。こんなふうに教えよう、こんなふうに場をつくろう…その教師の資質・能力がこれからの教育を支えていきます。令和の時代の教育の確立を互いに目指していきましょう!