- 著者インタビュー
- 学級経営
私は、「子どもたちのやる気に火をつけ、可能性を伸ばすこと」を教育哲学に日々実践を進めています。子どもたちは、力を持っています。しかし、まだまだ子どもです。自分の言動が良いか悪いかわからない面があります。教師である私たちは、よいことは価値付け、課題は修正できるように導いていく必要があります。
「教師の見方」は、子どもたちの未来(成長)を見据えて、やる気にさせたり、可能性を引き出したりする教師の「めがね」です。
ある授業で、黒板の前に子どもが出てきて、発表する場面があるとします。教師である皆さんは、どこに立ち、何を見ますか?
私は、教室前方の一番端に立ち、聞いている子どもたちを見ます。「よい話し手は、よい聞き手が育てる」という言葉があります。発表となると、話している子どもに注目が集まりがちです。しかし、聞き手である子どもたちが、拍手で迎えたり発表者の方に注目して聞いたりしていると、たとえ話すことが苦手な子でも間違えを恐れずに話すことができるようになります。一方で得意と感じている子も、聞いている友達が手悪さをしたり、間違えると嘲笑われたりすると、その後発表に対して意欲を失っていきます。
注目しがちな話し手ではなく、聞き手に注目して話しやすい雰囲気をつくることで、「安心」して過ごし友達を大切にするクラスになっていきます。
まずは、「教師と子どもの関係」をつなぐことが大切です。子どもたちは、「どのようなことを言うか」ではなく「誰が言うか」に従っています。いくら教師が正しいことを言おうとも、相手が聞く気になっていなければ、心には届きません。そのため、4・5月は「教師と子どもの関係をつなぐ」ことが重要になります。
次に、「子どもたち同士の関係」をつないでいきます。特別につなぐ時間など設定されていないので、授業を中心につないでいきます。厳密に言うと同時にやっていきますが、上記の通り学級開きしてすぐは「教師と子どもの関係」をより意識します。
3月に近づくにつれて、「教師と子どもの関係」より「子どもたち同士の関係」を重視していきます。教師の手を離れても成長を続けていけるように、少しずつ手を離していきます。
本書を手に取ってくださり、本当にありがとうございます。「授業の中でのクラスづくり」というのは、以前から言われています。「知識基盤社会」が到来し、これまで以上に「学び方」や「人とのつながり」などが重視されるようになっています。
授業で教科の内容を教えるのはもちろんですが、「学び方」や「人とのつながり」「失敗を恐れず挑戦する心」などの「非認知能力」を子どもたちに育むことが求められるようになっています。本書が新しい時代を生きる子どもたちの指導の一助になれば、倖いです。