- 著者インタビュー
- 保健・体育
授業における教師と子供、子供間のコミュニケーションが変わります! そして、個別最適化した公正な学びを実現することができるようになります。その為に、テクノロジーの特性を十分に理解し、それを適切に活用していく必要があると思います。ICTを上手に使うことで、Society5.0時代の教育を実現することができ、次世代を支える子供たちを支える学習と指導になっていくことができます。
私は25年以上前から体育で「撮影してチェック」する実践に取り組んできました。しかし、「動きを対象化して分析する」使用方法は、技能中心の授業づくりを助長し、全ての子供たちが運動の楽しさや喜びを享受する授業には繋がらないと思っています。そこで、1人1台時代に求めたいのは、運動の楽しさ・喜びへアクセス可能にさせることと、仲間と協働しながら学ぶ多様な学習方法の実現です。そこで、「直接体験を充実させる」ための使い方と「仲間と豊かに関わる」ための使い方からスタートすれば良いと思っています。そのヒントが、この書籍にはたくさん詰まっています。
体育では、三人称視点から自らの運動を評価することによって「めあて」を設定することが少なくありません。しかし、「心と体を一体として捉える」ことを大前提とするならば、一人称視点から目指すべき動きの感覚を経験し、その経験で感じた感覚と自分が実際に動いた感覚のズレから「めあて」を設定し、問題解決していくことを目指したいものです。VRは、そのような学びを実現してくれる大きな可能性のある注目すべきテクノロジーといえます。
私たちは、未来の体育を支えていくツールとしてICTを効果的に利活用する為に、実践者・研究者・企業が協働して研究に取り組んでいます。基本的には、月に1回定例会を実施しながら、複数の研究部会に別れて活動を進めております。現在は、「遠隔体育」「VR」「AI」「メディアポートフォリオ」「デジタル教科書」「新体力テストアプリ」「新技術(ARやドローンなど)」の部会に分かれて活動しています。北は北海道から南は九州まで、そして海外の研究者も加わり、実践的な研究に取り組んでいます。書籍を読んで興味をもってくださいましたら、ict.pe.sport@gmail.comまでお問い合わせ頂ければ幸いです。
1人1台情報端末の導入が「教師の負担感」を醸成してしまっているようにも感じています。しかし、実際には、ICTが浸透していくことで、同僚間での情報共有も進み、より効率的に仕事もできるようになり、教師の働き方を改革していくはずです。教師の負担を減らしながら、より良い教育にしていく為にも、まず「使ってみよう」という気持ちで子供達と共に活用の仕方を探求してもらえれば良いと思います。本書がそのきっかけになると良いと思っています。