きょういくじん会議
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社会は中3も歴史学習、宗教に関する学習も充実―指導要領改訂案
kyoikujin
2008/2/24 掲載

 15日に発表された指導要領案において、小・中とも授業時数が増えた社会科。そのなかでも注目すべきは、105時間→130時間と、25時間の大幅増となった中学校の歴史的分野の取り扱いだろう。

 注意しなければならないのは、1・2年時の授業時数は増えていない点だ。その代わり、3年の授業時数が85時間→140時間と大幅に増えている。公民的分野の配当時数は100時間のため、残りの40時間を歴史にあてることになる。
 内容としては、近現代の項目が2つに分割されており、特に「戦後史」の充実を目指していると思われる。戦後史は、公民の「私たちと現代社会」ともリンクしている。3年において、この2つをどのように関連づけ、どのように授業を組み立てていくか、教師の力量が問われる部分かもしれない。

 また、地理的分野の内容の変化も興味深い。
 従来「世界と日本の地域構成」「地域の規模に応じた調査」「世界と比べて見た日本」と分類されていた内容が、「世界の様々な地域」「日本の様々な地域」の2つにまとめられた。さらに、世界・日本のどちらについても、いくつかの地域(州・地方)に区分し、それぞれの地域の特色を理解させることが明記されている。これは「二つ又は三つの都道府県(国)を事例として選び、具体的に取り扱うようにすること」とした従来の指導要領からの大きな転換といえよう。

 最後に、今回の指導要領案では、地・歴・公すべてにおいて、「宗教」に対するアプローチが積極的になっている。昨今の宗教紛争などのニュースを見ると、21世紀になっても人々の生活に対する宗教の影響力は低下しておらず、逆に増大しているのではないかと思わされることが多い。そういった事情が、「宗教に関する学習の充実」の背景となっているのかもしれない。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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