- きょういくじん会議
「○○さんは、○時○分に○○を通過しました。」 子どもが校舎や校門に設置されたリーダーにICカードをかざすと、保護者の携帯にメール送信―。今月から、東京都小平市ではこのような児童見守りシステム「キッズパス」 の有料サービスが開始されています。
本システムの提供者であるエヌ・ティ・ティ・コム チェオ株式会社が、5月30日に発表した「ASP型児童見守りシステム「キッズパス」 のサービス提供開始について」では、「キッズパス」 の提供背景や概要、また、「キッズパス」サービス構成図が紹介されています。おもなサービスは、冒頭で紹介した「登下校情報配信機能」と不審者などの緊急連絡を保護者に一斉に連絡する「一斉連絡機能」の2つ。小平市では、小平地域見守りネットワーク協議会が運営の主体となって、市内の公立小学校19校、3,000名の児童が保護者の負担で本システムを利用することになったとのことです。
実はこのサービス、もともとは総務省が全国から募った「地域児童見守りシステムモデル事業」の公募に対して、小平市が応募・提案し採択されたもの。したがって、小平市では総務省の補助金を受けて、すでに昨年から小平第六小学校と小平第八小学校がモデル校となり、「キッズパス」 を運用していました。運用中の保護者に対して実施されたアンケート結果(PDF)をみると、登下校のメール配信について、全体の93%の保護者が「とても役に立つ」もしくは「改善の余地はあるが、役に立つ」と回答、また、一斉連絡配信についても、全体の97%の保護者が同様の回答をしています。このように保護者の高い評価を得たことによって、今年は保護者負担となってもサービスを継続することが決定されたようです。
ネットリサーチのDIMSDRIVEが2007年に実施した「こどもの防犯」に関するアンケートによると、「あなたのご家庭では、お子様の防犯対策をされていますか?」という質問に対して、小学生の保護者の場合、「している」と回答した人が圧倒的に多く74.7%でした。その一方で、「あなたのご家庭では、防犯についての教育がどのくらいできていると思いますか?」という質問には、「充分できていると思う」人は2.2%しかおらず、「あまりできていないと思う」人は36.2%、「全くできていないと思う」人は1.6%と、「できていないと思う」と回答した人は40%近くに上っています。子どもに防犯ブザーや携帯電話などをもたせて防犯対策をしてはいても、子ども自身に危険を回避する能力を身につけさせるための防犯教育となると、なかなか難しいようですね。
さて、今回ご紹介した「キッズパス」 のサービス利用料、いったいいくらだと思いますか? キッズパス申込書(PDF)をみると、児童1人あたり3,150円(1年間)となっています。これで子どもの安全が完全に「守れる」とはいえませんし、防犯教育をしっかり行っていくことがとても大切ですが、保護者の安心材料になることは間違いなさそうです。保護者以外の目でも子どもを「見守る」ことができる「キッズパス」 。今後同様のサービスが全国に広まっていくかもしれませんね。
- あんしん登下校(埼玉県教育委員会)
http://www.pref.saitama.lg.jp/A20/BC00/anshin.html