きょういくじん会議
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演奏家の正体は警察官? 地域に密着の警察音楽隊
kyoikujin
2010/3/4 掲載
迷子の警察音楽隊 [DVD]

 2月26日に、宮崎県のホールで開かれた音楽会。最後のステージが終わると、会場には1700人もの観客による拍手喝采が鳴り響いた…と聞くと、プロの演奏家による演奏会の模様を思い浮かべるだろうが、実はこの日、舞台で演奏していたのは、みな警察官。
 みなさんは、警察音楽隊をご存知だろうか。

♪白バイにも乗る演奏家?!♪
 警察音楽隊は、皇居警察と47都道府県の各県の警察に1つずつ置かれた音楽隊で、全国に計48隊が存在している。交通・地域安全運動などでの演奏だけでなく、地域の行事や学校の鑑賞教室、また施設などでも演奏活動を行っている。市民と警察とをつなぐ、いわば「音の架け橋」という存在だ。
 警視庁を含む10都道府県の音楽隊は、音楽活動を専門としているが、それ以外の音楽隊は「兼務隊」と呼ばれ、演奏活動のない時は警察業務に従事している。

♪音大主席卒業の楽長♪
 冒頭で紹介した宮崎県で行われたコンサートは、宮崎県警察音楽隊のコンサート。そして宮崎県の音楽隊も兼務隊だ。
 この日のコンサートは、井手茂郎楽長による退職前最後の指揮だった。29年間楽長を務めた井手氏は、なんと音大を主席で卒業し、パリへの留学経験もあるというすごい経歴の持ち主。28日の毎日新聞の記事に掲載されていた井手氏と警察音楽隊との出会いを、ここで簡単にご紹介しよう。
 ――井手氏は中学時代から吹奏楽でトランペットを吹いていた。彼が高校生の時、ピアノの先生の父親が宮崎県音楽隊の初代楽長だったというつながりで、音楽隊のトランペット奏者が急病の際に、井手氏がピンチヒッターを務めた。その後、音楽隊の演奏活動に同行するようになり、井出氏は、普段は白バイや交番の警察官でありながら一生懸命演奏する姿に引かれていった。――

♪警察音楽隊に入るには?♪
 インターネットで「警察音楽隊」と検索すると、各県の音楽隊のページがずらっと並ぶ。「隊員になるには」というコーナーを見てみると、まずは警察官になることが条件。その後、本人の適正を見て音楽隊員として任命される、という流れだ。もちろん音楽を専門としていない人も多く、中には楽器未経験者もいる。音楽を通じて地域に密着した存在になる、というのが演奏活動の第一の目的であり、実際、普段は警察官の仕事を務めながら、演奏活動にも一所懸命に取り組む姿は、市民にとって警察官を身近に感じる大きな力となるようだ。

♪我が校にも警察音楽隊を呼んでみよう♪
 井手氏が29年間楽長を務めた宮崎県警察音楽隊は、昭和22年、全国で2番目に置かれた音楽隊で、兼務隊として日常は警察の仕事をしながら週に1回演奏の練習をしている。小学校の運動会や音楽教室、盲学校へも訪問演奏しており、子どもたちにとって、おまわりさんが身近な存在となるよいきっかけとなっている。
 各県の警察音楽隊のホームページでは、演奏を依頼する方法も記載されている。是非、自分の県の警察音楽隊をあたってみてはどうだろうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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