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解体か、保存かで揺れる「復興小学校」―東京都中央区
kyoikujin
2010/9/30 掲載
東京の戦前 昔恋しい散歩地図

 1923年に発生した関東大震災からの復興事業の一環として建築された、いわゆる「復興小学校」の一つ、東京都中央区立明石小学校。その老朽化に伴う解体、建て替え工事が、専門家や一部住民の反対を押し切るかたちで始められた。

保存求める声も、解体進む明石小学校

 明石小学校は、震災によって旧木造校舎が焼失したことに伴い、当時としては珍しく、防火性の高い鉄筋コンクリート造り3階建ての校舎として、1926年に再建された。太平洋戦争中の度重なる空襲による罹災も免れたその校舎には、当時のヨーロッパで流行していた建築様式などが随所に取り入れられており、重要文化財に相当する歴史的価値の高い貴重な建築物とみる向きもある。
 中央区では、校舎の老朽化や今後の児童数増加に伴う教室の確保、地域の防災拠点としての充実などを理由に解体、建て替えを計画してきたが、現存校舎を保存、活用した改築が可能と主張する建築専門家や一部住民らとの対立を招いた。
 中央区内には、明石小学校以外にも複数の復興小学校が現存しているが、そのうち中央小学校(旧鉄砲洲小学校舎)明正小学校でも解体、建て替えが計画されているため、対立は今後も続くものとみられる。

復興小学校が活用されているケースも

 解体が進められる校舎がある一方で、廃校となった復興小学校が改修して再利用されているケースもある。
 明石小学校と同じ中央区にあった京華小学校は、平成5年に児童数減少により廃校になった復興小学校だが、その校舎は、平成13年に複合施設「京華スクエア」として生まれ変わった。京華スクエアには、中央区立ハイテクセンターや早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校などの施設がある。
 同じく平成13年に復興小学校の一つ十思小学校の廃校舎を利用して開設された「十思スクエア」は、在宅介護支援センターやデイルーム、訪問看護ステーションなどを備えた福祉関係の複合施設になっている。

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