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文部科学省は6月28日に、OECD生徒の学習到達度調査(PISA2009)デジタル読解力調査の結果分析を公表した。
PISA調査は、将来的に従来の筆記型調査からコンピュータ使用型調査に移行することが予定されており、日本ではPISA2009に参加した学校の半数強に当たる109校、約3400人の高校1年生(15歳児)を対象に、「デジタル読解力調査」(コンピュータ使用型調査)とコンピュータ利用等に関する生徒への調査(ICT質問紙調査)が実施された。
「デジタル読解力調査」とは?
この「デジタル読解力調査」では、コンピュータの画面に調査問題が提示される。それらの問題に答えるためには、ホームページへのアクセスやコピー&ペースト、eメールの送受信、ウェブの掲示板への書き込みなどが必要で、現代の子どもの生活に密着したICTにかかわる様々なスキルが求められる。
例えば、公開された問題「匂い」の問い2では、「ニュースのなかの食品」というホームページ内の情報が「匂い」に関する理科の宿題の資料として適切かどうかを判断させ、その理由を答えさせるというもの。学校や家庭での調べ学習などにおいてこのようなシチュエーションでインターネット上の情報を精査しなければならない機会は多く、まさに現代の子どもの生活に密着した出題形式と言えそうだ。
この問題の日本の正答率は39.2%と他の上位国と比べて低くはなかったが、無答率が13.4%と、他の上位国が3〜6%程度であるのと比べると目立って高く、これまでのPISA調査で繰り返し指摘されてきた記述式問題における高い無答率という問題が改めて浮き彫りとなった。
各国の調査結果は?
今回の「デジタル読解力調査」には、19の国・地域が参加した。この中で、日本の平均得点は4位で、従来型の「プリント読解力調査」と順位は変わらなかった。
他の国・地域の結果を見てみると、1位は「プリント読解力調査」と変わらず韓国で、ICTを活用した教育に定評のあるニュージーランドとオーストラリアがそれぞれ2位、3位に入った。一方で、これまでのPISA調査で好成績を収め注目を集めてきた香港は、「プリント読解力調査」の2位に対し、「デジタル読解力調査」では5位とやや順位を下げている。
文部科学省は、これらの平均得点上位国・地域と比較して、日本は特に、習熟度の上位層及び下位層の割合が少ないことが特徴的であると分析している。
進まない授業でのICT活用
また、コンピュータ利用等に関する生徒への調査(ICT質問紙調査)においては、日本では普段の授業において特に国語・数学・理科などの教科で、コンピュータを使っている生徒の割合が非常に低いことがわかった。
例えば、数学ではOECD平均が15.8%であるのに対し、日本はわずか1.3%にとどまっており、新しい学習指導要領で中学校、高等学校ともコンピュータの積極的な活用が促されていることとは相反する調査結果となった。