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「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成26年度)」の結果が文部科学省より発表されました。この調査は、公立の小中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校に在籍する、日本語指導が必要な児童生徒数の推移を平成2年から2年ごとに調査したものです。
近年では、外国籍の児童生徒が学級にいることも珍しくなくなってきました。日本語指導が必要な児童生徒が増えるにつれ、課題もまた多くなっていきます。今回は、日本語指導が必要な児童・生徒の実態や課題、またその課題に対応する事例として、愛知県名古屋市の取り組みを見ていきます。
日本語指導が必要な児童生徒とは?
日本語指導が必要な児童生徒とは、「日本語で日常会話が十分にできない児童生徒」及び「日常会話ができても、学年相当の学習言語が不足し、学習活動への参加に支障が生じており、日本語指導が必要な児童生徒」を指しています。
また、日本語指導が必要な児童生徒の中でも、外国籍児童生徒と日本国籍児童生徒に分類されます。外国籍児童生徒は、漢字の通り、外国籍を持つ児童生徒を指します。一方、日本国籍の児童生徒は、帰国児童生徒や、日本国籍を含む重国籍の児童生徒、保護者の国際結婚により家庭内言語が日本語以外の児童生徒などを指します。日本国籍だからと言って、必ずしも日本語が不自由なく使えるというわけではありません。
日本語指導が必要な児童生徒は、増加傾向
日本語指導が必要な外国人児童生徒は、前回の平成24年度調査より約2000人増加し、総数では約3万人います。また、日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒も前回調査より約1700人増加し、総数では約8000人います。ともに、近年でもっとも多い人数となっています。
※「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成26年度)」p.5‐6より
総数がもっとも多いのは愛知県
調査によると、大半の県で日本語指導が必要な外国籍・日本国籍の児童生徒数は少しずつ増えていますが、総数で突出しているのは、愛知県です。
愛知県には、約7800人の日本語指導が必要な外国籍・日本国籍児童生徒がおり、日本語指導が必要な児童生徒数全体の約21%を占めています。
愛知県・名古屋市の取り組み
そのため、愛知県名古屋市では、総合的かつ体系的に多文化共生施策を推進していくための指針として、平成24年「名古屋市多文化共生推進プラン」を策定しました。
ここでは、日本語指導が必要な児童生徒を取り巻く教育の課題として、言語的サポートを挙げています。なかでも、日本語が不十分な児童生徒のみならず、その保護者に対しての言語的サポートも重要であるとしています。
また、施政の1つに挙げられている「学習支援の充実」では、日本語が全く分からない児童生徒や、日常会話はできても授業で用いる言葉がわからない児童生徒に対しての教室実施を掲げています。さらに、日本語教育適応学級担当教員や日本語指導講師、母語学習協力員によるきめ細かい日本語学習支援推進も掲げています。
大きな視野でとりくむ
日本語指導が必要な児童生徒への対策は、学級に通う児童生徒のみならず、その保護者へのサポートも必要となります。加えて、サポートにあたっては外国語に精通していることも望まれる条件となります。解決に必要な要素は多岐にわたるため、家庭だけの力、学校だけの力など、「単独での力」で解決していくことは難しいものです。愛知県名古屋市のように市政の力、はたまた県政、国政の力など、大きな視点で取り組むことが不可欠といえるでしょう。