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新しい学習指導要領(案)が公開されました。
この記事では、小学校国語科の現行版の指導要領(PDF)と新しい学習指導要領案(PDF)とを手短に比較してみたいと思います。
構成の変化
まず大きく変わったのが、全体の構成です。
現行版は「内容」の部分が以下のようになっていました。
いわゆる「3領域1事項」です。
1 目標
2 内容
A 話すこと・聞くこと
B 書くこと
C 読むこと
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
これが新案では以下のようになりました。
1 目標
2 内容
〔知識及び技能〕
(1)言葉の特徴や使い方
(2)話や文章に含まれている情報の扱い方
(3)我が国の言語文化
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 話すこと・聞くこと
B 書くこと
C 読むこと
現行版の言語事項は「知識及び技能」としてまとめられ、
「3領域」は「思考力、判断力、表現力」の下に配置されました。
身につけるべき知識・技能と、使うための内容とが明確に分けられたと言えるでしょう。
〔知識及び技能〕の(2)は、情報化社会における情報リテラシー教育への意識づけを感じさせる内容になっています。
「言葉がもつよさ」「言葉がもつ価値」というキーワード
国語科の目標の中で新たに出てきた文言として「言葉がもつよさを認識する(小学校)」「言葉がもつ価値を認識する(中学校)」ということが挙げられます。
今まで以上に「言葉の力」を意識させる内容となっていると言えるでしょう。
一方で「言葉がもつ“よさ”」という言い方はかなり抽象的で、解釈が難しい言葉でもあります。
教育漢字の変化
1989年以来、約30年ぶりに教育漢字が変わることになりました。
20文字が追加され、4〜6年で学年配当の移動があります。
・1〜3年の配当漢字は変更なし。
・4年生に新たに20文字が追加。47都道府県名に含まれる漢字を4年生までで全て学習できるようになり、「教育漢字」は1,026文字に。
・4〜6年の間で,37文字の学年配当が変更。(教育zine編集部調べ)
まとめ
「目標」は現行版で2行だったのが、新案では8行(小項目含む)となり、より詳しく示されるようになりました。その他細部を見ていくと、少しずつ表記の変わっている箇所や追加・削除も多く見られます。
「アクティブ・ラーニング」という言葉は採用されませんでしたが、〔思考力,判断力,表現力等〕のところでは「主体的で深い学び」を意識したような言葉が並んでいます。
その一方で、具体的な指導方法については、思ったより多くは明記されなかった印象があります。今後、パブリックコメント(2017年3月15日締め切り)を受けて全体的にどのような修正や追記がされていくのかが注目されます。