野中流!新卒教師時代を生き抜く学級経営&授業術
初任者指導のエキスパート、野中信行先生が、新卒や若手教師のつまずきやすい事例や悩みを徹底解決!
野中流!学級経営&授業術(4)
授業中、子どもが飽きていたずらをしたり、隣の子としゃべったりすることが多い
元横浜市初任者指導教員野中 信行
2012/7/19 掲載
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  • 学級経営

つまずき場面

 授業中、子どもがすぐ飽きてきていたずらをしたり、隣の子とおしゃべりをしたりすることが多く困っています。どんな手立てがあるでしょうか?

1 考えられるつまずきの原因

 6、7月になって、クラスで次のような状況が出てくることがあります。

  1. 指示にすばやく従わない。
  2. おしゃべりが多くて、授業が進めにくい。
  3. もめごとが多い。

 上のつまずきの場面は2の状況ですが、1も3もあるのではないでしょうか。これはクラスが荒れていく初歩的な状況です。このまま放置していくと、ますますクラスは荒れていくことになります。
 「授業が楽しくないからだよ」「授業をおもしろくしなさい」…というように授業が問題だという指導がなされます。私はそうは思いません。学級づくりの失敗(具体的には関係づくりの失敗)だと考えます。(くわしくは、この連載1「授業が始まっても子供が席につかず、クラスがなかなか静かにならない」を参考にしてほしいと思います。)

2 対応法

その1 まずやめていくこと2つ

 えてしてこのような状況になると、厳しく叱ったり、大声で注意したり…という指導になりがちです。そうすればますます荒れはひどくなります。ここは冷静に判断していきます。子供たちとの「関係づくり」に失敗しているのですから、まずやめていくことがあります。

@やんちゃな子たちを叱責することをやめていく

 クラスを荒らしていく子供たちをしょっちゅう注意したり、叱責したりしているはずです。これが逆効果になっています。それをまずやめていくことです。徐々にやめていってください。(もちろんひどい行為には注意はしなくてはいけないです。)

Aスピードのないことをやめていく

 荒れていくクラスは、必ずスピードがなくなります。だらだら、もたもた、まったり…になっていきます。これがますますスピードをなくします。子供たちはさまざまな活動がスムーズに進むことを好みます。朝の会、終わりの会は5、6分で終わること。授業もきちんと時間を守ること。給食も掃除もスムーズに。

その2 新しく始めること2つ

@「ちゃんとしている子供」へ目を向けていく

 今まで気になるやんちゃな子たちへ向けていた目を「ちゃんとしている子供」「ちゃんとしている行為」「ちゃんとしている場面」に向けていきます。これはむずかしいことです。簡単ではありません。かなりの「覚悟」がいります。そして、それをおおいに認め、声に出して褒めていくのです。覚悟して続けていきます。

A「仕切り直し」をする

 夏休み明けに「仕切り直し」をしましょう。

 先生は、夏休みの間考えました。このクラスで授業中いたずらをしたり、おしゃべりをしたりすることが多くなりました。これは絶対に良くありません。直したいと思いました。みんな顔を伏せます。
 みんなも先生と同じように思う人は手を挙げます。
 はい、顔を上げます。みんなの多くも先生と同じように思っていました。うれしいです。でも、先生にも直してほしいことがあると思います。それをこの紙に正直に書いて下さい。誰にも見せません。先生も一生懸命直していきたいと思います。

 このような言葉かけで行っていきます。次の日には、先生が直したいこと3つ、このクラスが直していくこと3つというように黒板に書いて、挑戦していきます。

3 今回のポイント

 クラスの問題はクラスごとに違います。まず、クラスの子供たちの様子をきちんと見て、手立てを考えていく必要があります。やめること2つ、新しく始めること2つはその参考にしてほしいものです。

野中 信行のなか のぶゆき

1947年 佐賀県生まれ。
1971年 佐賀大学教育学部卒業。
37年間横浜市立小学校教諭として過ごし、その後3年間初任者指導の仕事をする。
主な著書に『新卒教師時代を生き抜く心得術60』『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(単著)『新卒教師時代を生き抜く“2W”仕事術』(編)などがある。

(構成:木山)
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