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1 新年にこそ話したい
日本には多くのすばらしい伝統文化があります。昔から伝わる行事、豊かな食や外国にまで広がる文化等々。それらをもっと子どもたちに語るべきであると考えます。
新年はそのチャンスです。子どもたち自身が正月の間に経験することはもちろん、テレビ番組でも関連情報が流れます。日本の伝統文化を学校で、そして家庭で伝えてみましょう。子どもたちは「日本のよさ」を実感すると思います。
今回は正月の伝統文化とおせち料理について、子どもたちへの小話として紹介します。
2 小話1「幸せを願う正月の伝統文化」
1月1日。新しい年が始まり、正月になります。
ところで、よく聞くこの正月。いったい何日まででしょう。
もともと正月は昔の暦の1月の別名です。ただ、今は「三が日」や「松の内」を指すことが多いです。それぞれ言葉の通り、三が日は1月1日から3日まで、松の内は玄関に松飾をつけておく期間です。松の内はもともと1月15日までだったのですが、今は1月7日ごろまでという地域が多いようです。
正月には多くの伝統文化があります。初日の出、初詣というようにいくつか思い浮かぶことでしょう。今日はその中から、「初夢」「七草がゆ」「鏡びらき」を紹介しましょう。
初夢は、1月1日〜2日、または2日〜3日にかけて見る夢のことです。七福神が乗った宝船を枕の下に入れて眠るとよい夢が見られるとされています。ことわざで、「一富士、二鷹、三茄子」というものがあります。これらは初夢で見ると縁起がいいとされているものです。
七草がゆとは、せりやなずななどの春の七草を入れたおかゆのことです。1月7日の朝に食べると、一年中病気にならないと言われています。また、おせち料理で疲れた胃を休め、野菜を補うという意味もあります。
鏡びらきは、正月にそなえた鏡もちをたたいてわり、お雑煮やしるこにしていただくものです。1月11日に行われる地方が多いです。どうして、「鏡もちをわる」のに「鏡びらき」と言うのでしょうか。これは「わる」という言葉は縁起が悪いので、「運をひらく」にかけて「鏡びらき」となったのです。
これら三つの伝統文化に共通するのは、「縁起がいいこと」や「健康であること」を願っているという点です。人々が幸せになることを願って、伝統文化も続いているのです。
3 小話2「おせち料理には意味がある」
正月になったら「おせち料理」を食べる人も多いと思います。
もともとおせち料理は、季節の変わり目に神様にお供えした料理でした。ですから漢字では「御節料理」と書きます。今ではお正月料理だけをさします。日本では江戸時代になってから広まりました。もう何百年も日本人はお正月におせち料理を食べ続けているわけです。
さて、おせち料理にはどのようなものがあるでしょうか。考えてみると実に多くの種類があることがわかります。それらにはそれぞれ意味があります。
まずは「数の子」。たくさんの卵がついています。これは「子孫繁栄」といって、子どもや孫がたくさん生まれ、絶えることなく続いていくことを願ったものです。
「えび」。えびは曲がっています。人も腰が曲がるくらい長生きするようにという意味があります。
「昆布巻き」。これは語呂合わせになっています。「よろこぶ」につながります。
「かまぼこ」。何色でできていますか。紅白ですね。その色合いから縁起のいいものとされています。
「黒豆」も入っていますね。この黒色には魔よけの力があるとされていました。また、「まめ」に働き、「まめ」にくらせることを意味していました。一生懸命に働き、健康にくらせるということです。
他にも栗きんとん、田作り、伊達巻、鯛など、それぞれ意味があります。
ところで、おせち料理は大みそかまでに作られます。これは、正月に火を使わないようにするためです。また、料理を作る女の人たちを休ませるという意味もあります。おせち料理は、火を通していたり、酢につけたり、味を濃くしたりというように、ずっと保存のきくものが多いのも、そのためです。何日間も食べるにはちゃんと意味があるのですよ。