- 教育オピニオン
- 教師力・仕事術
1 学び続けることの大切さ
教師は、子どもに学力をつけ、人との良好な関わりができるようにさせ、生きる力をつけていくのが仕事だ。そのために授業を行い、生徒指導を行っている。よりよい授業と生徒指導ができるようになるためには、教師自身が学び続けなければならない。
私は、少しでも価値ある教師になろうと思い、15年前からサークルに入って学んでいる。サークルに入って学ぶことで、授業にも生徒指導にも自信がもてるようになった。サークルで学んだからこそできた特別支援学級での実践を中心に、学び続けることの大切さについて述べてみたい。
2 特別支援学級での取り組み
(1)「百玉そろばん」と「時計の読み」
算数授業の始まりはいつも百玉そろばんだ。毎日、7名の子どもが全員で1から30までを口に出して言う。その後、1人ずつ数唱をする。1学期の最初は1から10までをたどたどしく言っていた子が、3学期には30まですらすら言うことができるようになった。また、30から0までの逆唱では、全く言えなかった子がすらすら言えるようにもなった。
この百玉そろばんは、私が入っているサークルで知り、やり方を教わった。百玉そろばんは授業の最初に教師に注目させることができ、さらに、数の大きさを視覚で認識でき、リズムよくテンポよく学習できる優れた教具である。
百玉そろばんの後は「時計の読み」だ。毎時間子どもの実態に合わせて時計を読ませる。「1時、2時、3時」と何時かを言えるようにしたい子、「1時10分、1時20分」と10分刻みで言えるようにしたい子、「3時17分、9時54分」と1分刻みで何時何分まで言えるようにしたい子と、一人一人にあった課題で、変化のある繰り返しでテンポよく行っていった。このような時計の読みを1年間通して根気よく行うことで、時計が全く読めなかった子が何時何分まで細かく正確に読めるようになっていった。また、百玉そろばんや時計の読みなどを行うことで、昨年度までは学習することを嫌がっていた子が、今年度は学習することが好きになり、「勉強大好き」とまで言ってくれるようになった。
(2)席を離れてしまう子に
学級を担任した当初、授業中落ち着かず、席を離れ立ち歩いてしまう子に、「席につきます」とか「歩きません」などと注意をしていた。その時は席につくのだが、しばらくたつとまた席を離れ、再び私が注意をするという繰り返しであった。子どもへの接し方が、まったくできていなかった。
しばらくして、ある先生の子どもへの指導を目にする機会があった。この先生は、子どもに明るく声をかけ、子どもを楽しませるような指導をしていた。例えば、なかなか作業をしない子には手を持って一緒に作業をするだけでなく、作業中手を振り回して楽しませたり、がんばって作業をした子にはご褒美として高い高いをしてあげたりと、とにかく先生自身が子どもと一緒になって楽しみながら、子どもを楽しませていた。
私はこの先生の指導を見て、ただ注意するだけではなく、自分も子どもも楽しくなるような声かけが必要であると強く感じ、今までの指導法を変えてみた。前述のように、席を離れてしまう子には、席を離れたときにおしりを触りながら、「このおしりに強力接着剤をつけるぞ、これをつけると席から離れなくなるんだ」と言ってみた。子どもは楽しそうな顔をして座った。そして、子どもは席を離れなくなった。この言葉かけはすごいと実感した。しばらくして、席を離れようとしたときに「接着剤がついているよ」と言うと、子どもははっとして席を離れなかった。ほんのちょっとしたことであるが、子どもとの接し方を変えることで、新たな指導の方向が見えてくることを痛感した。
3 常に学び続ける教師でありたい
教師は常に学び続けなければならないと実感している。優れた先生から優れた指導法を学ぶこと、教育雑誌や書籍を読み理論や実践を学ぶこと、さらにサークルに入って模擬授業をして批評し合うこと。このように学び続けることでよりよい教育実践ができると確信している。特に、サークルは志を同じにする人の集まりだ。サークルで励まし合い、高め合う仲間がいて楽しく学ぶことができる。学びたいと思っている人は自分にあったサークルや学びの場を見つけて積極的に参加したほうがいいと思う。学校に遅くまで毎日残っていて、家と学校の往復だけでは自分の指導法について学ぶことはできないと思う。
学び続けることで教師という仕事の本当のおもしろさ・楽しさを実感することができると思っている。