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1 コーディネーション能力を高めるねらいとは
コーディネーション能力とは、「リズム・バランス・反応・操作・認知能力」で構成している神経系の機能であり「状況を目や耳など五感で察知し、それを頭で判断し、具体的に筋肉を動かすといった一連の過程をスムーズに行う能力」です。この能力を高めることで、「動きのもと」「筋肉と神経の回路」「運動感覚」を開発するとともに、実践を通じて子どもたちの「自立」に向けた教師のコーチング能力を高めるというねらいがあります。くれぐれも、「やらせる指導」ではなく、子どもたちの自由度を認め、自発性を尊重して展開してください。
2 室内でできる活動量の高まるコーディネーション運動
これまでの30数年の学際的研究と実践から、以下の4つの形式を組み合わせて実施すると、子どもたちの活動量が高まると考えています。
ジャンプ運動
ジャンプ運動は、走る速さにつながり、自重負荷による足の裏への刺激は、足裏アーチの形成に役立ちます。狭い場所でも気軽に楽しめる運動形式です。動くから楽しくなります!
ジャンケンシャトラン(低・中学年):二人組になり足ジャンケンをします。負けた方はそのまま。勝った方は、勝った足(グー・チョキ・パー)で負けた方を一周します。(リズム、バランス、操作能力)
フットアップ(全学年):二人組になり、足に挟んだボールを投げ上げます。相手はボールをうまくキャッチしましょう。(操作、バランス能力)
グループ運動
二人以上で行う運動は、社会認知能力や予測する能力を高めることが分かってきています。「なぜうまくいったのかな?」「友だちはどんな気持ちだと思う?」といった発問により、思考力を刺激しましょう。
リアクションキャッチ(全学年):二人組になり、一方がボールをバウンドさせ、他方がタイミングよく素早く起き上がりキャッチします。(リズム、反応、操作、バランス能力)
サークルオニ(全学年):バスケットボールのサークルを使います。3名一組で、等間隔に立ちます。スタートの合図で、右側の人を追いかけます。左側の人にタッチされないようにね!(認知、操作、バランス能力)
ハザード運動
意図的な障害物を作ります。いつも整備された場所ではなく、不規則なコースを設定します。「何を注意する?」と問いかけると、子どもたちは友だちにぶつからないように注意して動きます。
代表例は、オニごっこです。オニごっこでは、オニがどこにいて、どうやったら捕まらないかという認知能力、オニの動きを見て素早く反応したり、体をうまく操作して転ばないようにバランス能力を高めます。
もぐらオニ(低・中学年):はじめは体育館全面を使い、徐々に範囲を狭くしていきます。30名のクラスなら、3名がオニになります。オニにタッチされたならその場で氷になり、味方にタッチされたなら復活です。オニに捕まらない方法は、「しゃがむ」ことです! 何秒しゃがんでいいかは決めてください。(認知、反応、操作、バランス能力)
円陣オニ(高学年):10名のチームを作り、一人がオニでもう一人が逃げる人です。残り8名が手をつないで円陣を作り、オニから逃げる人を守ってください。(認知、反応、操作、バランス能力)
ゲーム形式
子どもたちはゲーム形式にした途端、一気にスピードアップします。「勝敗」を学ぶ機会ととらえ、自ら考え、問いを見つけ、対話しながら新しい価値を生み出すようにします。まさにアクティブ・ラーニングです!
タッチダッシュ(全学年):二人組になり、先攻・後攻を決めます。前の人が後ろの人の手にタッチしたならスタートです。逃げる範囲は、5mです。3勝した方が優勝! トーナメントにするとさらに盛り上がります。(反応、操作能力)
ジャンケンタグ(全学年):二人組でジャンケンをします。勝った方が逃げて、負けた方が追いかけます。逃げる範囲は、7〜8m。手だけでなく足でもジャンケンしましょう。長座やうつ伏せからもトライしてください。相手を替えるとコミュニケーションが広がります。逃げるときは、まっすぐです!(反応、バランス、操作能力)
今回紹介しました運動例は、とてもシンプルなものです。シンプルだから、発展があります! 発展させるところを子どもたちと一緒に考えてください。子どもたちからのアイデアを大歓迎しましょう!