- とっておき算数授業
- 算数・数学
本時のねらい
面の数と形や大きさに着目して、組み立てると箱の形ができる場合を考える活動を通して、6つの面のつながり方を理解する。
板書
板書のとっておきポイント
- 図はそれぞれの面にマグネットを付けた状態で提示し、子どもの気付きや発言に応じて並び替えたり、移動させたりできるようにした(横一列に並べ、比較しやすくした)。
- 子どものつぶやきや発言を図に付け足していくように吹き出し(吹き出しは主に白チョーク)で板書していった。
授業の流れ
1箱にならない図について理由を全体で考える(20分)
箱の形になるのは次のうちどれでしょう?ノートにこれだと思うものの記号を書きましょう。
まずはA〜Dの図を黒板に貼る。上の板書写真では並べ替えられているが、Cの図も元々は他の図と同じように配置して提示した。
※子どもには縮小したA〜Dの図を配布する。
分かったよ!簡単だ!
これはもう、一つしかないよ。
では、絶対にこれはない!というものを教えてください。
Aは絶対にないよ。だって、5面しかないもん。1枚足りないから四角形の箱にならないよ。
そうそう。それだと「ふたがない箱」になってしまう。
分かる分かる。1枚仲間はずれなんだよ。
◯◯さんたちの言いたいことが分かるかな?
◯と◯、△と△で、□だけ1枚しかないから箱にならないってこと。
だから、□の面がもう1枚あれば箱になるよ。
なるほど。では、Aは箱にならないということですね。他はどうですか?
BとDもできないよ。
でも、Bの面はちゃんと6枚ありますよ?今度は箱になるんじゃない?
できないよ。今度はいらない面があるんだよ。
そうそう。(□の面が)3枚あるから1枚多い。
逆に、この面(◯)は1枚足りないよ。
同じ形の面が2枚ずつないとダメなんだよ。
だからDもBと同じでダメだよ。
21での考えをもとにCとDが箱になるかを考える(15分)
残っているCとDについて、箱になる理由、ならない理由をノートに書きましょう。
個人思考後に全体で考えを共有する。
CとDについてはどうですか?箱になるかならないか、またその理由を教えてください。
さっき◯◯さんも言っていたけど、Bと同じで、Dも箱にならないです。なぜなら、同じ形の面が2枚ずつないからです。
この面(□)は1枚しかないし、こっちの面(△)は3枚あって、1枚多いからです。
では、Cはどうですか?
Cは箱になるよ。だって同じ形の面が2枚ずつあるもん。
ちゃんと面が6枚あるし、同じ形の面が2枚ずつあるから箱になるね。
この発言をもとにして、学習をまとめることとした。
3既習どおりにならないEの図を提示し学びを深める(10分)
では、これ(E)は、箱になるでしょうか?
箱になる:26人、箱にならない:2人
同じ形の面が2枚ずつ、全部で6枚の面があるから箱になるよ。
そうなんだけど、この面(△)、何か短くない?
確かに…。箱にしてみれば分かるんじゃない?
Eの図をテープで繋ぎ、組み立てて箱の形にして見せる。
あっ!隙間ができている。
◯◯さんが言ってたみたいに、△の面が短いんだ。
じゃあ、同じ形の面が2枚ずつあってもダメってこと?
面の大きさが合わないと箱にならないんだね。
「合わない」ってどういうことだろう?面の大きさはどうなっていれば箱になるのかな?
Cの図をテープで繋ぎ、組み立てて箱の形にして見せ、Eの図と比較させる。
ここ(△)とここ(◯)みたいにくっつく辺と辺の長さが同じにならないとダメってことじゃない?
ここ(△)とここ(□)もそうだよ。
長さにも注意ってことだね。
授業のとっておきポイント
箱の形になるものとならないものを比較する中で、構成要素や面と面のつながりに着目しながら解決することを目指した。箱の形にならない場合を扱うことで、箱の形になる場合の特徴がよりはっきりと見えるようになると考える。箱の形にならない理由を語らせていくことは、箱の形になるための要素を語ることに他ならない。できる理由を語るよりも、できない理由を語る方が容易であることが多い。
また、一旦学習内容をまとめた後、学習したことを適用できない場合を提示することで、学びをさらに深めることをねらった。今回の場合でいうとEの図である。教科書にはない図であるが、4年生「直方体と立方体」への接続も考え、面と面のつながりをより意識できるよう、少し踏み込んだ内容にチャレンジした。