- 学習つまずきサポート
- 特別支援教育
本コーナーでは、一生懸命頑張っているのになぜか学習がうまく進まない…そんな学びにくい子のつまずきの原因を探り、そのサポート法を解説していきます。
山田先生、教師になって2年目の田中といいます。私のクラス(3 年)の子について相談させてください!
学びのつまずき相談
「九九がなかなか定着しない」
2年生で習った九九がなかなか定着しない子がいるのです。子どもは、努力してよく練習もしていますが、3×7=12 とか 4×3=21 7×7=28など、とんでもない答えを書いています。
練習に何度もつきあったり、本人も覚えなきゃと思っていますが、なぜ、そんな違う答えを書いたがわからず、最近少しやる気をなくしています。どう指導すればよいでしょうか。
ふぅーん。まずはその原因を一緒に探ってみましょう。ちょっとその子の答案、見せていただけませんか。
山田先生の分析
誤りの原因を分析してみよう
かけ算の間違いはなぜ起こっているのでしょうか。
(3×7=12)3の段で12になるのは、3×4 です。「7」と「4」を間違っているのではないでしょうか。
(4×3=21)では、21に答えがなるのは、7×3 ですから「4」を「7」と間違っていそうです。
(7×7=28)では「4」を「7」と間違った可能性が高いです。
これは、「4」「7」の混乱が間違いの要因かもしれません!
「し」と「しち」の区別ができていないので、この場合、聴覚的な弁別が上手くいっていないということがわかります。
この場合の九九が覚えられない要因は「聴覚的弁別が困難」であるという
ことがわかります。
聴覚的弁別とは…
聴力検査では問題にならないが、音を聞き分けることに困難がある場合に聴覚的弁別が困難であるといいます。「し」と「ひ」とか「だ」と「ら」、「で」と「れ」などが聞き分けにくいということがよく見られます。
そうすると、こんな風にするとよいですよ。
学び支援のアイデア
「聞き分けやすい方法で練習する」
「し」と「しち」が聞き分けにくく、「しいち」と「しちいち」が聞き分けにくく自分の発音の正誤がわかりにくいわけですから、対応は「聞き分けやすくすればよい」です。
4の段の九九を「し」ではじめるのではなく「よん」という。7の段の九九を「しち」ではじめるのではなく「なな」という、このように九九の練習を改めればいいのです。
「よんいちがよん」
「よんにがはち」
「よんさんじゅうに」
とか
「なないちがなな」
「ななにじゅうし」
「ななさんにじゅういち」
という練習です。
山田先生、ありがとうございます。これなら私にもできそうです。他にもこんな子、クラスにいるかもしれません。
田中先生、ぜひ試してみてください。また、九九だけでなく、その子について考えていただきたいことがあります。
学びづらさ、それ自体への支援
聴覚的な弁別の弱さは様々な学習に影響する
聴覚的な弁別の弱さは、九九の習得だけでなく、漢字の学習や文字の習得など他の学習への影響もたくさん予想されます。
このような学習困難への支援のために、聴覚的弁別の弱さに対する根本的な支援も必要です。
発音指導と合わせて、聴覚的な弁別の弱さへの根本的な支援をすることが必要です。
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