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今月の相談
小学校4年生のみすずさんは、ADHDと診断され、通院、服薬中です。最近、立ち歩く、教室から飛び出す、友人への暴言等があり、怒られることが増え状態が悪化しているように思えます。校内の支援会議では、教室にいられないときは保健室でクールダウンすると決まり、対応しています。そして、みすずさんが来ると管理職に報告しています。外部機関との連携が必要と言われたのですが、連携と言われても、養護教諭として何をしたらいいのかわかりません。
スーパー養護教諭のアドバイス
1どこに誰がいて何が使えるか知っておこう
まずは、連携先を知っておくことが大切。医療機関、児童相談所、市町村の子ども支援課・福祉課、保健センター、放課後デイサービス、警察、民生委員などがあります。広く考えれば子どものためになるならどこでも連携先です。
私は毎朝地方新聞を読み、そこで、ここにこんなところができた(例えば児童精神科外来が開院した)、こんなイベントがある(発達障害の研修会、家族会など)そんな情報もメモしています。そうすることで例えば、不登校の子どもが居場所を希望したとき、どんな利用可能場所があるかという引き出しを増やしておくことになります。
2外部機関に一緒に行ってみよう
「連携と言われても、養護教諭として何をしたらいいのかわかりません」とのこと。そうなんです。よく教科書には「外部機関との連携」と書いてあるのですが、具体的なことまでは書いてないことが多いですね。
私は、保護者、本人と一緒に、同行受診をすることがあります。同行受診で驚くのは、外来診察室の場面では、多動と言われる子どもが椅子に座ってきちんと受け答えをしていることです。大概の医師は「学校で困っていることある?」と本人に聞くのですが、本人は「ない」と答えます。さらに、保護者も「家では困っていません」と言います。これでは、医師は、落ち着いている、薬を減らそう考えるでしょう。
そこで私は、担任やその他の教職員からの情報を伝えます。そうすることで学校での様子が伝わり、減薬が回避できるということもあります。医師からも「学校の様子がわかってよかった」と言われることもあります。そしてさらに一手、「学校でできることは何かありますか」そう聞いてみましょう。医師から「こうしてみたらどうですか」、保護者、本人からも「こうしたいと思っている」ということを聞くことができ、支援の具体が広がります。
また、待合室で一緒に待っている間に保護者と話していて、年下のきょうだいの子育てて苦労しているといったことがわかり、市町村の子育て支援課を紹介したこともあります。さらに、経済的な困窮や障害手帳の取得などを把握した場合、福祉課、病院の医療ソーシャルワーカーなどを紹介することもあります。
3「私にできることはありますか」と聞いてみよう
あなたはまだ若く経験も少ない。連携と言われてもわからないのは当然です。そこで、「私にできることはありますか」と管理職やベテランの同僚に聞いてみることをおすすめします。そうすると「医療との連携の窓口を先生やってくれる?」と言われるかもしれません。管理職も若い養護教諭に対して、最初から連携ができるとは考えていないはずです。ですから、わからないということを伝えましょう。
やる気はある。できないのではない。やり方がわからないだけなのです。経験からしか学べないことが現場にはたくさんあります。支援会議にも積極的に参加して、経験を積みましょう。
今月のまとめ
養護教諭の仕事は、報告したら終わりではありません。また、連携先を紹介するだけに留まっているのも保健専門職として物足りません。報告の先にある連携機関と協働して、一緒に子どもを支える行動を取りましょう。