- インプット&アウトプット術
- 教師力・仕事術
職員室での人間関係は円滑ですか? 子どもを相手にする仕事とはいえ、職員室での人間関係に頭を悩ませている先生が意外と多いのも事実です。しかし、学校の中で子どもを育てようとする時、決して一人ではうまくことは進みません。チームワークなしではこの仕事は語れないのです。今回は、インプット&アウトプットの観点から、職員室での人間関係をどう円滑に進めていくのかについてお伝えします。
職員室でのインプット
周りを見渡してみましょう。いろんな先生の表情が見えます。そこから感じるものを察知してみましょう。
ニコニコしている先生には「何かいいことありましたか?」と聞いてみると、教室で起こった幸せな出来事を教えてくれるかもしれません。一緒に喜びましょう。
反対に、眉間に皺を寄せている先生や、何か落ち着かない様子の先生がいたら、「どうしましたか?」「何か手伝えることありますか?」と声をかけてみましょう。「大丈夫です」と返ってくる時もあれば、○○で悩んでいてねと相談される時もあります。その中で、自分にできることを全力で行います。もしくは、自分だけでは解決が難しそうであれば、得意な人に繋ぎます。人に繋ぐというのも結構大切で、一人で思い悩んでいる先生に、得意な人を紹介することで一気に解決する時があります。
GIGAスクール構想で、一人1台タブレットが各学校に入りました。得意な先生はバリバリ使えるでしょうが、中にはどう使って良いのかわからないとか、もて余してしまう先生もいるでしょう。そんな時に一声かけて、簡単な使い方をレクチャーしたり、自分の教室でこんな風に使ったら子どもたちが集中して取り組めましたよと伝えてみましょう。それを伝えるためにも最初は、職員室の中を見渡してみて、困っている先生はいないかと察知して感じてみることから始めてみましょう。
職員室でのアウトプット
13年教員をしていると、色々な先生に出会います。中には子どもの悪口を言ったり、こんなひどい目にあったと愚痴をこぼす先生もいました。もちろん、たまには愚痴を吐きたくなる気持ちもわからなくはないですが、子どものせいにしているうちは成長が止まります。問題の本質はどこにあるのか見極めて、自分に変えられるところはないか考えてみましょう。
一人で悩むとついつい良くない方向に考えがちです。教室でのトラブルが起こったら、信頼できる先輩にまずは相談してみましょう。一人では気が付かない所にアドバイスをもらえたり、全く違った視点をもらえたりする時があります。対話によって気づくことがたくさんあるので、どんどんアウトプットして、自分は何に困っているのか、どんな所に違和感を感じているのかを声に出してみましょう。
昔、私が勤務した学校の校長先生の中に、問題が起こった時、「教頭先生に伝えた時点であなたの責任は50%。校長の私に伝えた時点で100%責任はなくなる」と言ってくださった方がいます。そう言われると、ちょっとした問題でも早めに伝えておこうと思い、どんどん報告にいくようになりました。もちろんその時にも、校長先生は「伝えてくれてありがとう!!」と笑みを交えて返答してくれました。それまでの自分は問題が起こるとついつい隠したくなったり、自分が責められたらどうしようと暗い気持ちになったりしていました。その校長先生と出会えてからは、どんどん報告して、どんどん身軽になろうと思えるようになりました。
会議にもインプット&アウトプットを
自分が勤めた学校で、「ケース会議<いじめ不登校対策会議>」という毎月1度行われる会議がありました(他の市町村でも名称は違えど、内容は同じようなケース会議があるでしょう)。いじめ問題や不登校問題に対し、事例をあげてどうしていくのか全体で共有するものです。とても大切なものですが、毎回1時間を超える時間がかかり、一人が話している間、他の方はただ聞くという生産性の高くないものでした。そこで以下のように会議のやり方を変えました。
- 共有ファイルに事例を担任が書き込み→10分(アウトプット)
- 全体で共有ファイルを読む→5分(インプット)
- 管理職からアドバイス→5分(問題解決)
参加している方が、短時間で報告しあえるものにしました。これは先生たちからとても好評で、時間が短くなった上、みんなが意見を出しやすいものになりました。アウトプットとインプットの仕方を変えることで会議の生産性も上がり、記録も残るので一石二鳥どころか、一石三鳥ぐらいの良さがありました。
教員同士で学びのアウトプットを
読んだ本や講座の内容などをまとめて回覧したり、希望者だけを集めてミニ研修を15分などで行ったりするのも有効です。忙しい中なので、なかなか声をかけたり、雑談をしたり時間が取れない場合でも、別室に集まってお菓子を食べながらリラックスして話し合うだけでも色々な情報交換ができます。自分が学んだことを改めてアウトプットすることで、自分のクラスだけでなく、いろんなクラスにいい影響を与えることができたり、若手の先生が困っていることをみんなで共有することで、チームとなって子どもたちの成長に関わることができたりします。特別学びの場にしなくても、若手の先生たちがお菓子を食べながら悩みを吐き出す場を設定することだけでもかなり価値があります。ただし、愚痴の言い合いにはならないようにだけ気をつけて主催すると、明日からも頑張ろうと思えることでしょう。
インプットとアウトプットをなんのためにするのか、今回の場合は、「職員室をチームにするため」です。この大目標があれば、あとは小さな工夫でいろんなことを生み出すことができます。今回挙げたのはその中の一部ですが、校長先生でなくても、自分の手の届く範囲で、全体に貢献する気持ちがあれば、少しずつ職員室はチームになっていくでしょう。1、2年目のうちはなかなか難しいかもしれませんが、例えば希望者だけを体育館に集めて跳び箱を跳んでみたり、レクやワークショップをやったりするだけでも、十分効果は高いでしょう。
今月のポイント
- 職員室を見渡すインプットで、手の届く範囲で全体に貢献する
- 信頼できる先輩や管理職へのアウトプットで、問題の本質を見極める
- 会議や教員同士の学びにも、インプット&アウトプットの機会を大切に