- 特集 “あの子を担任”不安に備える黄金の準備
- 特集のねらい
- 若い教師の不安No.1は,発達障がいの子への対応
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- 前担任との引き継ぎをどうするか(学習編)
- 「最初から『色めがね』で見ない」というスローガンに惑わされない
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- 前担任との引き継ぎをどうするか(生活編)
- 情報集めの観点を決め、効率良く引き継ぎを行う
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- 学校・学年間での共通理解をどうするか
- 基本方針を立て、学校・学年で連携する重要性
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- 席につかない・落ち着きがない
- 授業中に「動き」を入れ、子どもの心を満たすほめ方をする
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- 出し抜けにしゃべる
- しゃべるすきを与えない対応、教材、環境を準備する
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- 気に入らないとすぐにキレる
- トラブルゼロ実現に必要だったのは「事実をほめる」「価値づける」の2つだった
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- 負けを受け入れない
- 負けを受け入れられない子どもがいることを前提に方向を考え準備する
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- うまくいかないとパニックになる
- パニックになった時に、追い詰めないでクールダウンさせる方法を知っておこう。詳細な記録がやがて力を発揮する
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- 常にぼ〜っとしている
- 座席の配慮と動くことの合法化
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- 片付けや整頓が極端にできない
- 片付け方を「教えて、ほめよ」! 教師の心構え一つで、子どもは救われる
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- 教師に反抗的な態度をとる
- その子の行為を分析し、教師自身の様々な面を磨く
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- 集団の中での指示がほとんど入らない
- 「分析→方針→計画→実行」の指導サイクルと環境づくりが求められる
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- 不登校傾向がある
- 事前の情報から方針を立て、あきらめない覚悟を決める
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- すぐに周りにちょっかいを出す
- ブレーキをかけさせるべきか、アクセルを踏ませるべきか
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- 不安傾向が非常に強い
- 不安になる原因をつきとめ、対処することで安心して生活できるようにする
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- 漢字がほとんど書けない
- 「指を使って」「声を出して」漢字を覚える
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- 音読が極端に苦手
- 音読が苦手な原因は何か? 様々な手だてを試してみる!
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- 場面緘黙がある
- 休み時間、友だちとどんどん話せるようになり、授業中に笑うようになったら、積極的に指名する
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- ノートをとるのが苦手
- 統一と指定で上手に変換させる工夫
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- かけ算九九ができない
- 授業導入時に繰り返す復習と、全員に持たせる九九表でインプットする
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- 文章題が極端に苦手
- 文章題が苦手な子には、向山型算数の指導法が有効である 教科書を使い、向山型算数のパーツを組み合わせて授業をする
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- ミニ特集 授業と学級のきまり徹底!“趣意説明”の極意
- 授業編⇒赤ペンではなく赤鉛筆を使う
- 「勉強ができるようになるため」を強調する
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- 授業編⇒シャーペンではなく鉛筆を使う
- 多様なアプローチをせよ!!
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- 授業編⇒ミニ定規を使う
- 趣意説明は知的に ほめる活動とセットで
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- 授業編⇒間違いを消しゴムで消そうとしない
- 消しゴムの使い方、使う意義を伝える。ただし、使わない教育も必要である
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- 授業編⇒ノートをゆったり書く
- 成功している事例を具体的に示す
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- 授業編⇒ていねいな字で書く
- 何度も繰り返し、視点を変えて趣意説明をする
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- 授業編⇒面倒くさいと文句を言わない
- 脳科学の視点から子どもたちに語り、クラスから否定語を撃退する
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- 学級編⇒物を大切に使う
- 物を大切にすることを語って、させて、ほめることで定着させる
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- 学級編⇒当番活動をさぼらない
- 趣意説明をし、ほめて、ほめて、ほめ続けることでさぼる子をできる子に変えていく
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- 学級編⇒給食のマナーを守る
- 最初に指導すると、だんだん言葉が短くなる
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- 学級編⇒掃除をさぼらない
- たくさんの話を用意し、その子にあった趣意説明をする
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- 学級編⇒時間を守る
- ルールの徹底時間を守らせる
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- 学級編⇒友だちの失敗を嘲笑しない
- 学級集団を安定させることを最優先の指導をする〜発達障がい児が安心して過ごせる学級をつくるための要素〜
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- 学級編⇒友だちの悪口を言わない
- 禁止事項とともに、行動の仕方を示す
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- グラビア
- 第15回 TOSS特別支援教育セミナー in 大阪 ほか
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- TOSS全国調査から分かること (第3回)
- 医学的な問題と,そのほかの問題を教師は意識しなければならない
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- 写真で早分かり 子どもの特性に合わせた“情報伝達の構造化” (第17回)
- ついに待望の続編発刊!「アタマげんきどこどこ 第2期」
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- 〜エビデンスのあるワーキングメモリを鍛える大人気の絵本〜
- 教育の新課題と特別支援教育
- 子どもの未来の幸せをこわす教師にならないために
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- 巻頭言
- 特別支援学級で役に立つ教材は,TOSSの教材しかなかった
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- 『教育』と『医療』の連携で特別支援教育を強化する (第16回)
- 感覚統合療法を活用し共感的理解に基づく支援へ
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- 『龍馬くんの訴え』から学ぶ発達障がい指導原則 (第12回)
- 会話の続かない子が,楽しく会話をする経験を積む実践例
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- 〜ポイントは「具体的な質問」と「選択肢のある答え」だ〜
- 子どもに力をつけるTOSS教材教具
- 〈百玉そろばん〉Kさん(ダウン症)は「繰り下がりの計算」が得意になった
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- 〈アタマげんきどこどこ〉3段階の変化で集中力を持続させる優れた本
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- 〈わくわくずかん〉イラストだから熱中できる「わくわくずかん」
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- 〈鉄棒くるりんベルト〉「逆上がりができた!」事実と喜びが次のステップへとつながる
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- ポイントを外さない〜特別支援の子の保護者への対応術 (第10回)
- 寄り添い,ともに考える姿勢を貫いていくことで保護者の信頼を得る
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- 「対応」にも「原則」がある
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- 私は,この本をこう読んだ (第10回)
- 『先生がアスペルガーって本当ですか?』ゴトウサンパチ著(明石書店)
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- 『ライフスキル よい生活習慣づくりのすべて―てんこ盛り事典』根本正雄編(明治図書)
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- 特別支援教育を視野に入れた学校づくり (第9回)
- 授業力向上に重点を置いた学校づくり
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- TOSS特別支援教育を知る前と後 (第2回)
- 授業を激変させるセロトニン5(ファイブ)
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- 学ぶことで子どもを幸せに
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- 学級担任に必要な「特別支援教育の基本スキル」 (第14回)
- 特別支援教育は『エビデンス』が不可欠だ!
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- 〜検査の報告書を読んでみよう!〜
- 教育は格闘技だ―フリースクールの実践 (第31回)
- その時々の具体的な出来事に限定して指導する
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- 〜指導内容の枠組みをできるだけ狭く限定し、そこに教師の思考力を総動員する〜
- 続・中学校を改革する 特別支援教育で中学校が変わる (第2回)
- 「朝」を安定させる
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- 若手女教師の特別支援教育奮闘記 (第2回)
- I(愛)メッセージで自己肯定感を高める
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- 発達障がい児への食事指導 (第2回)
- 食べる機能と発達段階
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- 発達障がい児へのキャリア教育/就労指導 (第2回)
- 福祉的就労
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- コーディネーターのお仕事拝見 (第20回)
- コーディネーターになったら
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- 誌上QAコーナー こんな時どうしますか
- クラスや集団にうまく入れない子への対応
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- 〜ポイントは不安を取り除くことである〜
- 特別支援学校・特別支援学級コーナー
- コーナー担当
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- 特別支援学校の実践
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- 〜特別支援学校同士のネットワーク〜
- 特別支援学級の実践
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- 〜問題児だったあの子がヒロインに!〜
- 特別支援のモノ・ヒト・コト (第1回)
- 【茨城県】モノ・ヒト・コトが揃ってこそ、発達障がい児の真の理解につながる
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- 読者のページ
- 40号の学びや感想
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- TOSS特別支援教育イベント情報
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- 編集後記
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- この号のバックヤード (第1回)
- 深読み人への関連情報
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- どんな子でも熱中する教材はこれだ!!
- 1分間フラッシュカードシリーズ
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- 〜授業の開始1分前が安定します! 今春23種類のフラッシュカードが新発売!〜
巻頭言 特別支援学級で役に立つ教材は,TOSSの教材しかなかった 初めて特別支援学級を担任しての実感である
岡山県美咲町立美咲中央小学校/甲本 卓司
初めての担任
特別支援学級を担任したことがある。
担任して,初めて見えたことがたくさんある。
次のようなクラスだ。
1年生が2名,2年生が3名,3年生が1名,4年生が1名,5年生が1名の8名の知的学級である。
初めての担任で,8名を相手にする。
それまで,通常学級を担任していたので,8名の数に抵抗はなかった。
しかし,この特別支援学級8名は,すごいことだとすぐに分かった。
このことで小野隆行氏は,次のようにアドバイスをくれた。
特別支援学級8名は,通常学級で言えば,80名に相当しますよ。
このアドバイスは,相当大げさに聞こえた。しかし,事実であることは,担任をしたその日に分かった。
個性にあふれている8名は,同じ方向を見ていない。それぞれに課題がある。
8通りの課題があるのだ。
時間割編成
時間割を考える。誰と誰のペアリングなら学習が可能かを考える。
相性や,学年による学習内容を考慮して考えるわけだ。
この時,問題が生じる。
時間割変更
である。
この通常学級1学級の時間割変更が,その時間に予定していたすべてのことをキャンセルさせる。そのことを知った。
私も通常学級担任の時には,ちょっとぐらいいいだろうと変更をお願いした。1週間前に変更のお願いをしたから大丈夫だろうと甘えていた。
しかし,熟慮して組んだ時間割を簡単に変えると,1週間前でもその時間に予定していた内容は授業できない。それほど敏感なのだ。
そのことに気がつくのが20年遅かった。
申し訳ないと思ったものだ。
参観日もこの例に漏れない。
参観日も時間割通り行えば問題はない。
しかし,参観日だからと時間割を変更する。
通常学級で国語や算数を参観授業にあてると,特別支援学級は,8人全員集合となり,授業にならない。少なくとも私は,1学期間はそうだった。
時間割は,極めて重要だと認識した。
教材
特別支援学級(知的学級)には,教科書がない。通常学級の教科書を便宜上使うことがあるが,それがすべて役に立つとは限らない。
例えば,2年生教材の「スイミー」を読んだとする。1回,読むのにも1週間程度はかかる。次に「もう1回読もう」と促すと,次のような返事が返ってきた。
せっかく読み終わったのに,もう1回読むのですか。
子どもたちには,1回読むことで,その「スイミー」の学習は,終了だったのだ。
しかし,音読教材で役に立った教材がある。教材は,繰り返し使えないと話にならない。
音読教材で繰り返し可能になったのが,
「話す・聞くスキル」である。
この教材は,破れるほど読みこんだ。
子どもたちとの学習は,一つ一つが,勉強だった。
役に立った教材 ベスト10
4月は,毎日,ホームセンターに足を運んだ。通用する教材を探しにである。
5月に,注文していた教材がほぼそろった。
私が,特別支援学級を担任して役に立った,有効だった教材を紹介する。
@うつしまるくん
A話す・聞くスキル
B直写ノート
C百玉そろばん
Dソーシャルスキルかるた
E名文・格言暗唱かるた
F五色百人一首
Gあかねこ計算スキル
HS社ワークテスト(見直しシート)
Iフラッシュカード 各種
いずれもTOSS開発の教材である。
上に紹介した教材は,すべて1年間使用したものだ。TOSSの教材しか通用しなかったというのは正直なところである。
この中で,「ソーシャルスキルかるた」の使い方を紹介しよう。
この「かるた」を400%コピー機で拡大をする。拡大すると,ちょうどフラッシュカードの大きさになる。このカードを読ませるところから学習を始める。
読めるようになったらかるた文化を教える。
まず,3枚から始める。自分の机に3枚を出す。最初は,対戦ではない。読まれたかるたを自分の机から探す。3枚の次は,5枚といった感じだ。
そして,3枚から対戦をする。何度も行う。
そして,5枚,10枚と数を増やす。
最後は,20枚で行う。
一つの「かるた」でやり方が分かれば,他の「かるた」にも応用が効く。
子どもから学ぶ
子どもたちは,正直だった。役に立つ,立たないは,すぐに分かる。
本物の教材を使うことが大切である。
これは,特別支援学級だけのことではない。通常学級にも言えることだ。
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- 明治図書
- 春は、だれしも初めて出会う子どもの対応に不安を抱えています。それを解消する内容が満載でした。春と言わず、オールシーズン使える内容だと思います。職場の先生にぜひ読んでほしいです。2014/7/1つばさ