- はじめに
- 第1章 中学生の作文指導の実際
- 1 生徒が作文を書かない本当の理由
- @ 書きたくない題材を書かされてい
- A 文章の書き方を教えられていない
- B 書いた作品を認めてもらえない
- 2 中学生に求められる作文力
- @ 新学習指導要領「書くこと」領域において求められる作文力
- A 「話す・聞く」活動に関連して求められる作文力
- B 受験指導に関連して求められる作文力
- C 他教科にもつながる言語活動として求められる作文力
- 第2章 作文力を鍛える!指導と評価の工夫
- 1 理論とつながる!作文力を鍛える5つの原則
- @ 短い作文を多作する
- A 協同的な「ゲーム」をしかける
- B 短時間イッキ書きを推奨する
- C ワークシートを活用する
- D 論理性とおもしろさのバランスをとる
- 2 実践に学ぶ!作文力を鍛える5つの技術
- @ 書き出しを与える
- A ハテナの文を与える
- B 文の規模を指示する
- C 引用の仕方を教える
- D キーワードを教える
- 3 指導と評価の困難性の中で考える学習スタイル
- @ 作文指導の計画―スパイラルの原理―
- A 学習スタイルの定式化―ワークショップ型―
- B 作文評価の進め方
- C 作文評価の具体的スキル
- 第3章 学びを深める!協同学習の技法
- 1 なぜ「交流」の活動が必要なのか
- 2 「協同学習」に交流の仕方を学ぶ
- @ 移動ペア型発表会(ライト・ペア・スイッチ)
- A ペアペア型発表会(スリー・ステップ・インタビュー)
- B 必須コメント発表会(タイム・ペア・シェア)
- C 回し読み型発表会(ラウンド・ロビン)
- D 内外ペア型発表会(インサイド・アウトサイド)
- E 音楽移動型発表会(ミクスド・ペア・シェア)
- 第4章 言語活動を活性化する!作文レシピ60
- 作文レシピの使い方 ○…ワークシート ◎…アレンジレシピ
- 実用作文
- @ 行事案内作文(案内,図表を用いた説明) レシピ1〜4
- ○ 参加をお待ちしています
- ◎ これから案内作文/行事振り返り作文/プレゼン作文
- A 再話作文(報告) レシピ5〜8
- ○ こんな物語を聴きました
- ◎ もう一度「再話作文」/説明文で「再話作文」/「再話作文」100字バージョン
- B メール作文(手紙) レシピ9〜12
- ○ メールで伝える、「いま…」
- ◎ チャット作文/ツイッター作文/FaceBook作文
- C 手紙作文(手紙) レシピ13〜16
- ○ ばぁちゃんとの文通
- ◎ いじめ,母への手紙/サンタへの手紙/この返事書きます
- 文芸作文
- D 絵心作文(鑑賞) レシピ17〜18
- ○ 大ヒット商品・開発チーム
- ◎ 絵画・写真・書道・俳句鑑賞作文
- E 短詩作文(詩歌) レシピ19〜22
- ○ うふふふふ作文
- ◎ オノマトペ作文/リレー詩作文/表現技法作文
- F 五行歌作文(詩歌) レシピ23〜25
- ○ 五行歌を詠む/キーワード五行歌
- ◎ 言葉を1つ入れて五行歌/歌会始風五行歌
- G なりきり作文(詩歌) レシピ26〜29
- ○ 語りかける名画
- ◎ 「我輩は“?”である」作文/登場人物なりきり作文/歌物語
- H うそつき作文(物語) レシピ30〜33
- ○ 100%フィクション!うそつき作文
- ◎ いっこだけホントの作文/3こだけうそつき作文/昔話をつくろう
- I 二者択一型作文(批評) レシピ34〜47
- ○ わたしのおすすめ物件
- ◎ 「そうだ,京都,行こう」の広告コピー批評/知的書評合戦「ビブリオバトル」審査作文/芭蕉の一句“劇的ビフォーアフター”
- 論理作文
- J 資料活用型作文(図表を用いた説明や記録) レシピ38〜41
- ○ これでいいのか?睡眠時間
- ◎ クイズ40人に聞きました/クラスの学力向上大作戦/○○中学校読書調査
- K ことわざ反論作文(意見) レシピ42〜45
- ○ 起こりえないストーリー
- ◎ つながり作文/反論応援作文/なるには作文
- L 意見交流作文(意見) レシピ46〜49
- ○ 新聞投書、どちらに賛成?
- ◎ 投書の論争に参加!/社説読み比べ/作者にもの申す!
- M ディベート作文(意見) レシピ50〜52
- ○ 給食廃止!(肯定側立論)/給食続行!(否定側立論)
- ◎ 「宿題は必要か」箇条書き作文/フローシートメモ
- N 企画作文(意見) レシピ53〜56
- ○ 友達の計画を記事にしよう
- ◎ 車吊りポスター/こちら○○新聞社/わたしたちの主張
- O 編集者作文(編集) レシピ57〜58
- ○ 作文ビフォーアフター
- ◎ みんなで小説
- P 受験作文(編集) レシピ59〜60
- ○ 志望校に自分をアピール!
- ◎ 作文チキチキレース「受験版」
- コラム
- 協同学習で楽しく作文を! /平山 雅一
- 交流を活性化させる付箋活用術 /渡邉 光輝
- 授業中にみせる「笑顔」 /最首 昌和
- ライティング・ワークショップ /石川 晋
はじめに
本書は言語活動活性化のための作文ワークシート集です。
理論的なポイントとしては「活動」「交流」「評価」の3点があります。
まず「活動」は「ワークショップ型授業」を前提にしているということです。「ワークショップ型」の作文授業の特徴は「試行錯誤させる授業」だということです。
その特徴を粗く言うと,次の4点になります。
@ 文章作成体験を通して学ばせる。
A 教師は枠作りと助言で指導する。
B 短い時間でイッキに作文を書く。
C 課題の条件設定でサポートする。
次に「交流」は「協同学習」の手法を積極的に活用しているということです。よくあるグループ活動とは少し違って,グループで学ぶ際のフォーメーションを工夫しています。
1980年代後半からアメリカを中心に盛んになった「協同学習」の考え方と技法を「ワークショップ型」の作文授業の中に投入しました。単なるグループ交流とは違います。
たとえば書き上げた作文をグループで合評会するとします。
グループの中で作文を読み上げて,気づいた人が気づいたことをコメントするという方法が一般的でしょう。しかしこのフォーメーションは協同学習から見ると粗いです。
サッカーで,ボールをゴール方向に大きく蹴ったら,あとは寄って集ってゴール前に殺到をして,必死にゴールを狙うという,ごく素朴なやり方に似ています。
たとえば,1人が読んだら,左隣の2人が必ずコメントを述べるようにします。
あるいは,回し読みをして,時間を決めて必ずそこにコメントを書きます。
こういう風にフォーメーションを細かく決めて学習をします。「協同」のためのフォーメーションを決めることで,学習の精度がぐっと上がります。
3つ目の「評価」はレベル判定というより助言のための指針を示しています。
その作文が「よく書けた」「書けた」「あまり書けない」の3つぐらいにザックリと分類して,それぞれに,どういう助言・サポートができるかというヒントを書いています。
いわゆる「ベテランの先生」にはやや不要な要素かもしません。
作文指導に不慣れな先生のヒントになればと考えました。
本書が現場の言語活動の一助になれば幸いです。
2012年9月 編著者 /上條 晴夫
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- 明治図書
- 作文レシピが豊富なので、その中から選んで、アレンジして利用しやすい。2017/10/940代・中学校管理職
- さまざまなパターンがおもしろかった。2015/6/2150代・中学校教員