- はじめに
- 第1章 「予想」を取り入れた数学の授業
- 1 なぜ「予想」なのか
- 2 授業での「予想」の位置付け
- 3 授業での「予想」の意義
- 4 「予想」を取り入れた授業の構想
- 5 「予想」のための問題づくり
- 6 授業の改善と「予想」
- 第2章 「予想」を取り入れた授業の実際
- 第1学年
- 授業例 1 正の数,負の数「乗法」
- 積が小さいのはどちら?
- 授業例 2 文字と式「等式の表し方」
- 表し方は正しい?
- 授業例 3 文字と式「式の値」
- どちらが正しい?
- 授業例 4 1次方程式「小数を含む方程式の解き方」
- 解が同じになるのはどちら?
- 授業例 5 1次方程式「1次方程式の利用」
- 4倍になることはある?
- 授業例 6 比例,反比例「反比例のグラフ」
- グラフは正しい?
- 授業例 7 比例,反比例「関数の利用」
- どの表が正しい?
- 授業例 8 平面図形「角の二等分線」
- 等しい距離にある点はいくつある?
- 授業例 9 平面図形「おうぎ形」
- 正しい側面図はどちら?
- 授業例 10 空間図形「展開図」
- どこにかき入れる?
- 授業例 11 空間図形「投影図」
- どんな立体?
- 授業例 12 空間図形「円柱の側面積・表面積」
- 側面積はどちらが大きい?
- 授業例 13 資料の活用「相対度数」
- どの血液型が多い?
- 第2学年
- 授業例 14 式と計算「式の値」
- 太郎君の考えは正しい?
- 授業例 15 式と計算「式の計算の利用」
- A,Bどちらの面積が大きい?
- 授業例 16 連立方程式「連立方程式の解き方」
- 加減法と代入法のどちらで解く?
- 授業例 17 1次関数「グラフと連立方程式」
- グラフはどこで交わる?
- 授業例 18 1次関数「1次関数の利用」
- どのグラフが正しい?
- 授業例 19 平行と合同「平行線と角」
- ∠xは何度になる?
- 授業例 20 平行と合同「多角形の外角の和」
- 和はどちらが大きい?
- 授業例 21 三角形と四角形「平行四辺形であるための条件」
- 四角形ABCDはどんな四角形?
- 授業例 22 三角形と四角形「いろいろな四角形」
- 誰の考えに賛成?
- 授業例 23 確率「いろいろな確率」
- 一番多く出る組み合わせは?
- 第3学年
- 授業例 24 多項式「乗法公式の利用」
- 面積はどちらが大きい?
- 授業例 25 平方根「a√b」
- どんな自然数が入る?
- 授業例 26 平方根「平方根の加法,減法」
- どちらの考えに賛成?
- 授業例 27 2次方程式「平方完成」
- すべて解くことができる?
- 授業例 28 関数「変化の割合」
- 太郎君の考えは正しい?
- 授業例 29 2乗に比例する関数「グラフと変域」
- 太郎君の考え方は正しい?
- 授業例 30 相似と比「平行線と線分の比」
- xの値はいくつ?
- 授業例 31 相似と比「中点連結定理」
- どちらが長い?
- 授業例 32 相似と比「相似比と面積比」
- 面積が大きいのはどちら?
- 授業例 33 円「円周角の定理」
- ∠aと∠bはどちらが大きい?
- 授業例 34 三平方の定理「面積への利用」
- 面積はどちらが大きい?
- 授業例 35 三平方の定理「立体への利用」
- 中にしまうことができる?
- 授業例 36 標本調査「全数調査と標本調査」
- カタカナが多いのはどちら?
はじめに Preface
平成7年(1995年)に『「予想」を取り入れた数学授業の改善』(明治図書)を出版してから18年が経過した。この間,数学の授業に「予想」を取り入れた多くの実践が紹介され,教科書にも「予想」を取り入れた記述が見られるようになった。また,数学的活動のひとつとして「結果を予想する活動」も位置付けられている。
平成7年に出版した本(旧版)の「はじめに」に書いた,次のようなことが実現されてきたように思われる。
「予想」は,決して目新しいことではない。これまでの授業を大きく転換しようというものでもない。「予想」を授業に取り入れるということは,小さな提案である。しかし,これからの算数・数学の授業にとって,改善のための大きな視点を与えてくれるように思う。
また,『関心・意欲を高める』『個を生かす』『問題解決の授業』などの今日的課題に対しても,授業改善のための具体的な方向を示してくれるように思う。
本書は,旧版の新訂版であり,旧版と同様に2つの章から構成されている。
第1章は本書の理論編にあたり,「予想」を取り入れた数学の授業について基本的な考え方や授業の流れなどをまとめている。また,「予想」を引き出すための問題づくりの観点や問題例も示した。なお,この章には旧版の第1章の内容をほぼそのまま残し,章の最後に『確かな学力の育成と「予想」』,『数学的活動の充実と「予想」』を加筆した。
第2章は実践編である。「予想」を取り入れた36の授業例をそれぞれ見開きにまとめている。旧版の授業例を一新し,新学習指導要領の学年や領域などを考慮して選択した。なお,授業例3,6,11,13,19,20,30,31は,以下の文献で紹介した授業を「予想」の視点からまとめたものである。
○相馬一彦編著『「問題解決の授業」に生きる「問題」集』明治図書 2000
○相馬一彦/佐藤保編著『中学校数学科新「問題解決の授業」に生きる「問題」集』明治図書 2009
授業例の見開き2ページは,次の4つの項目で構成されている。
1 本時の目標
2 問題
3 授業の実際 【「予想」の効果】
見開き右下の【「予想」の効果】では,「予想」を取り入れたことによって,その授業でどのような効果があったのかを考察している。
執筆は,「予想」を取り入れた授業を行っている4名の現職教員が分担した。執筆に当たっては,互いの授業例を持ち寄って検討し合い,それを実践した結果をまとめている。
「予想」を授業に取り入れるということは,算数・数学教育の学習指導法における,ひとつの提案でもある。なお,本書で強調する「予想」を取り入れた数学の授業は,中学校だけではなく,小学校算数や高等学校数学の授業においても,さらに,算数・数学以外の教科の授業においても有効に働くように思われる。
本書の理論編と実践編を通して,「予想」を数学の授業に取り入れることのよさや具体を確認していただき,数学の授業づくりの参考として多くの先生方に活用していただければ幸いである。
最後になりましたが,単行本としてまとめる機会をいただき,出版にあたってお世話になりました明治図書編集部の木山麻衣子さん,有海有理さんに厚くお礼申し上げます。
平成25年3月 編著者 /相馬 一彦
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