- はじめに
- T 中学生の実態と夢中になる自作資料
- 1 今時の子どもたち
- 2 今時の中学生
- 3 さまざまな切り口で生徒の思いに迫る
- 4 自作資料の活用のために
- 5 生徒たちと道徳授業を楽しむために
- U 実践・中学生が直面する「大問題!」を授業する
- 新聞記事
- 新聞記事の取材エピソードに学ぶ
- 科学を尽くしてから社会の現実へ
- 新聞記事を題材に,ネットモラル・遵法の精神を考える
- ともに生きる
- TVCM
- 授業参観が盛り上がる! マナーとルールについて考える
- TV番組
- 『夢をもつかぎり』(「スポーツ大陸」)
- 14歳 木下航志 響け ぼくの歌
- 15歳 三澤拓 新たなる旅立ち
- 古典
- 『強い大将の話』(小川未明)
- 『鼻』(芥川龍之介)を通して自分のすばらしさに気づく
- 『今昔物語集』で古今変わらぬ人間の心の問題点を考えさせる
- 小道具
- カカオの写真とチョコレートを使って,見た目で人を差別する愚かさに気づかせる
- 裁判員制度の疑似体験を通して,社会のなかでの自分の役割を考える
- 身近な小石を通して喜びある人生を考える
- ネット
- ネット世界に潜むさまざまな問題を考える
はじめに
教師も生徒も道徳の授業にやりなれたい。
この資料集を手にするのは,研究授業の指導案を作成するためでしょうか。日々の授業のネタさがしでしょうか。
ふだん,やりなれていない授業は,参観しているとよくわかるものです。やりなれていないことを授業で行うと,いちばん戸惑うのは,子どもたちです。生徒がふと口にした言葉や,授業での姿にすぐに表れます。まして,お互いの思いを大切にしながら自分の思いを広げたり,深めたりする雰囲気など,なかなかつくれるものではないのです。
これはいいとうなずける授業など,1年で何回あるでしょうか。上手な授業でなくてもいいのです。まず大切なことは回数を重ねることです。回数を重ねるごとに,教師も授業になれてきます。すると,1時間の授業を何となく組み立てられるようになっていくのです。それにともない,生徒も何となく授業の受け方がわかってきます。そして,教師と生徒の間に,教科の授業とは違う空気が漂うようになるのです。
自信がなくていいのです。教師も生徒も,道徳の授業にやりなれることが大切なのです。ぜひ,胸を張って子どもたちと一緒に,道徳の授業づくりを進めてください。
道徳の授業で使用する資料には,その資料自体がもつ力というものがあります。力のある資料は,指導者が見ただけで感じるものがあります。
「この資料なら,うちの子どもたちに授業ができそうだ」
こうした思いが,瞬時にわき上がります。力のある資料は,子どもたちの顔を思い浮かべながら,ねらいとする価値を考えたときに,その資料によって教師の心が揺れたり,考えてしまうものがあります。今回,多くの実践を重ねている先生方に,力ある資料を提供していただきました。ぜひ,授業でご活用いただければと思います。
おわりになりましたが,とっておきの実践資料と展開例をご提供くださいました先生方に心より感謝申し上げます。また,出版にあたって多大なるご尽力を賜りました明治図書出版教育書部門編集部の茅野現氏に厚く御礼申し上げます。
2011年9月 /笠井 善亮
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- 明治図書