- はじめに
- 本書の使い方
- 授業改善のためのセルフチェックよい授業に共通する9つの習慣
- 英語授業心得55
- 英語であっぷあっぷしないためのUP UP Grammar & Expressions
- Chapter1 よりよい英語授業づくりのために
- 1. 授業の流れを見直す習慣
- 2. 授業を3次元的な見方で調整する習慣:英語教師はバランスが大切
- 3. 横のポジション:4技能+問題を解く力:英語教師はバランスが大切
- 4. 縦のポジション:難易度:英語教師はバランスが大切
- 5. 奥行のポジション:生徒との距離(心の距離と信頼関係):英語教師はバランスが大切
- 6. 演繹的文法指導 VS 帰納的文法指導と授業形態:英語教師はバランスが大切
- 7. 指導の根幹:「すべては生徒の成長のために!」を判断の基準にする
- 8. 生徒に身につけさせたいこと
- 9. できる生徒から学んだこと
- 10. できない生徒から学んだこと
- 11. どのレベルに合わせるのか
- 12. 色々な授業形態の活用
- 13. 授業を停滞させる要素
- 14. 授業を活性化させる要素
- 15. 生徒の記憶に残す方法
- 16. 英語教育の問題点
- 17. 元気よく発音する:英語授業で大切なポイント
- 18. 書いて覚える:英語授業で大切なポイント
- 19. 国語教育と英語教育:英語授業で大切なポイント
- 20. 学習指導案を書く際のポイント
- 21. 目標設定の原則と実際
- 22. 目標・方法・評価のサイクル
- 23. 英語指導方法の原則
- 24. 発問の原則・指名の原則
- 25. 未習の単語・文法をどう扱う
- 26. 授業開きにしておきたいこと
- 27. 年間指導計画を進める際のポイント
- 28. 単元指導計画を立てる際のポイント
- 29. Read & Listen in English
- Chapter2 よりよい指導技術を身につけるために
- 指導の基礎・基本
- 30. 生徒がつくる授業目標:しつけ指導
- 31. しつけができる教師になるには:しつけ指導
- 32. 授業における生徒指導:しつけ指導
- 33. 授業のあいさつは重要:しつけ指導
- 34. 手の挙げ方・声の出し方:しつけ指導
- 35. 持ち物・忘れ物:しつけ指導
- Warm up
- 36. TPR・Phonics
- 37. 英語の歌・チャンツの力
- 38. ペア学習で何ができるか:協同学習(ペア・グループ活動)
- 39. ペア活動Q&A方式と読み上げ方式:協同学習(ペア・グループ活動)
- 40. グループ活動に適する学習:協同学習(ペア・グループ活動)
- 41. 生徒を主役にする準備:協同学習(ペア・グループ活動)
- 42. 活動の目的は?:ゲーム・タスク活動
- 43. Word Quizでバランスよく@:ゲーム・タスク活動
- 44. Word QuizでバランスよくA:ゲーム・タスク活動
- 45. Picture Description:ゲーム・タスク活動
- 46. Jigsaw Task:ゲーム・タスク活動
- 導入
- 47. 授業で覚える!Flash Card練習:語彙指導
- 48. 書かせる指導:語彙指導
- 49. 電子黒板:語彙指導
- 50. 演繹的指導法・帰納的指導法:文法指導
- 51. 問題を解く活動は必要?:文法指導
- 52. Sentence Revision:文法指導
- 展開
- 53. 訳の与え方「あいまいさと正確さ」
- 54. 教科書本文の扱い方の基本
- お助けプリント
- 55. Listening 指導
- 56. Speaking指導
- 57. Reading指導:読解(本文を英語のQ&Aで理解させるために)
- 58. Reading指導:黙読・音読
- 59. Writing指導:文字指導・ノート指導・授業で何を書くのか
- 60. ワーク(副教材)有効活用
- 発展
- 61. 手軽にOutput指導:英借文:スキット・スピーチ指導
- 62. 音読筆写で書きながら覚える:家庭学習指導
- 63. 家庭学習を継続させる:家庭学習指導
- 64. 小テストで基礎力を高める:テスト指導
- 65. 単元テストで達成感を高める:テスト指導
- 66. 定期テストを作るポイント:テスト指導
- 67. 入試を徹底的に分析する:テスト指導
- 68. ICTで集中力・学力UP
- Chapter3 生徒の英語力をよりアップするために
- 69. クラス平均点を10点UP:平均点10点UP対策
- 70. 満点効果でヤル気UP:平均点10点UP対策
- 71. 問題先渡し文法テスト:平均点10点UP対策
- 72. ワークは3回でPower UP:平均点10点UP対策
- 73. 単元テストで平均点10点UP:平均点10点UP対策
- 74. 定期テストの平均点UP対策:平均点10点UP対策
- 75. 授業・家庭学習・テストをリンク:平均点10点UP対策
- 76. Student Teacher でがっちり!:平均点10点UP対策
- 77. 音読筆写で書けるようにする:平均点10点UP対策
- 78. 夏・冬休みの宿題と授業をLinkする:平均点10点UP対策
- 79. 個人指導の重要性:平均点10点UP対策
- 80. 英語ができない生徒と向き合う:平均点10点UP対策
- Chapter4 学年別・よりよい英語授業づくりのために
- 81. 学年の差異を考慮する
- 1年
- 82. 1年生の目標
- 83. スペリングの教え方
- 84. ペア活動の進め方としつけ
- 85. 最初が肝心,家庭学習の継続
- 86. 文章の塊で教える
- 87. 身体・ジェスチャーで学ぶ
- 88. ビンゴでスキャニング力UP
- 89. 不規則動詞は1年生から
- 2年
- 90. 2年生の目標
- 91. 4月から担当する2年生の指導
- 92. 既に遅れている生徒の指導
- 93. Use English!
- 3年
- 94. 3年生の目標
- 95. 4月から担当する3年生の指導
- 96. 受験を意識させる
- 97. 受験直前の指導
- Chapter5 英語教師として指導力をよりアップするために
- 98. 情意フィルター仮説・モニター仮説:研究論文S.Krashen(1982)より
- 99. Output仮説・3つの機能:研究論文Swain(1985)Swain / Merrill(1995)より
- 100. 中学生(英検3級)は修正に気づくか:研究論文大塚謙二(2004)より
- 参考文献
- おわりに
はじめに
英語を学ぶことはとても難しいことで,時間がかかる。英語力の成長・生徒たちの成長は,桜の木に似ている。成長期があり,停滞期がある。その伸びはゆっくりしたものだが,時には急速に成長し美しい花が咲くこともある。だから,育て甲斐がある。だから,毎時間の手間暇をかけなければならない。奇をてらった,特効薬のようなものが効果があるかというと,そうはいかない。聞くだけで英語を話せるようになるものなんてないことは英語の研究者なら誰でも知っていることだ。聞くだけなら,主に聞くだけの力がつくのだ。粘り強く水をあげるように,単語・文法・音声の知識を少しずつ与える。時にはエネルギー不足になるので肥料も与える。与えすぎると肥料負けしてしまうので枯れてしまう。だから,適切な量の知識を,適切な量の刺激を与えていきたい。
英語の授業は何も華やかなことをする必要はない。なぜなら1時間の授業で扱う内容・知識はそれほど多くはない。その内容を授業で「聞く」「話す」「読む」「書く」「問題を解く」などの種類を変えて与え,体験をさせるだけだ。生徒たちの興味を引き出し,楽しく,幅広く活動し定着への第一歩を踏み出す。そして,家庭学習につなげて,ひとりで時間をかけて,それらを吸収し自分自身の実を結ぶようにする。
色々な考え,教授法,教材,活動の組み合わせがあるが,英語を教えるということは複雑に考える必要はない。シンプルに,そのコアとなることを見極めて自分流の流れを作る。そして,生徒たちには授業を通してしっかりと「英語」を教え,同時に「思いやり」を教え,教室に友愛の気持ちが広がるようにしていく。「英語教育は人間教育」。気持ちよく生活できる教室では,のびのびと生徒たちが活動できる。のびのびと勉強をすると楽しくなる。すると力がつく。140時間の授業を楽しく,わかりやすく,達成感を持つことができるようにコーディネートするのは,教師の役目だ。
授業をどのようにデザインすると,生徒たちが大きく成長できるのか?永遠のテーマだ。そこに至るために多くの教師,研究者たちが調査研究してきた。そのデータには共通性がある。それらを活かしていくために,まず,「授業改善のためのセルフチェックよい授業に共通する9つの習慣」で自分の授業を振り返っていただきたい。そして,自分の目の前にいる生徒たちの現状を分析し,必要なことは何かを考えて欲しい。生徒たちが必要としていることは,今,彼らに足りないことだ。そこを補い,これから毎時間,美味しい水と,良質な肥料を適度に与え,大きな薔薇の華のように育つことを祈って授業をしていきたい。
2013年7月 /大塚 謙二
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- 明治図書