- はじめに
- 第1章 炎上直前! 見逃してはいけない子どもの姿に効くセリフ
- 学習態度・炎上直前!
- 1 「コレやってくれる人?」シーン…な時
- 2 提出物がそろっていない時
- 3 プリント送りがいい加減な時
- 4 ドアの開け閉め―乱雑な時
- 5 落ちているゴミを誰も拾わない時
- 6 物を足蹴にする子がいた時
- 7 欠席した子がいた時
- 8 思い通りにならず残念がる子がいた時
- 9 「席替えしよう!」コールが出た時
- 10 「職員室でコーヒーを飲むのずるい!」という子がいた時
- 11 授業中の元気がない時
- 12 専科の授業態度が悪い時
- 13 テストの氏名欄―文字が小さい!汚い!時
- 14 提出物―丸文字やマンガ字が目立つ時
- 15 提出物―ひらがなばかりの日記を書く時
- 16 わからない言葉を辞書引きしない時
- 17 感想ですら発言しない時
- 18 発表が苦手な子がいる時
- 19 体育の時間―チャイムがなったのにはしゃいでいる時
- 20 体育の時間―見学中にふざけた時
- 21 陸上記録会―遊び気分な時
- 22 休み時間―ブランコを取り合っている時
- 23 休み時間―教室で暴れている時
- 24 掃除―まじめに取り組まない時
- 25 帰りの会―準備に時間がかかる時
- 26 給食―騒がしい時
- 27 給食―準備に時間がかかる時
- 28 給食―「いただきます」「ごちそうさま」がなおざりな時
- 29 給食―食器を放って返す子がいる時
- 30 給食―おかわりでもめた時
- 31 給食―デザートのやりとりがあった時
- 32 避難訓練―チンタラしている時
- 33 トラブル―牛乳が届かない!時
- 友だち関係・炎上直前!
- 34 友だちの発言を聞こうとしていない時
- 35 「友だちの褒めるところがない」という子がいる時
- 36 「誰かが誰かを好き」と噂が聞こえる時
- 37 友だちの悪口を言う子がいる時
- 38 ヒソヒソ話をする子がいる時
- 39 好きな子同士でグループをつくろうとした時
- 40 ペアをつくると男女が別れてしまう時
- 41 友だちを責める子がいた時
- 42 友だちに譲る子がいた時(必ず褒めます!)
- 43 靴かくしがあった時
- 44 「○○くんが掃除をサボります」と不満が聞こえた時
- 第2章 子どもが目覚める! クラスの要所に効くセリフ
- はじめが肝心!4月の話
- 1 一番最初に子どもに語る大切なこと
- 2 一番最初にプリントを配る時
- 3 一番最初に掃除を指導する時
- 4 一番最初に図書室で過ごす時
- 感謝する心を学ぶ話
- 5 旅行先で買ったお土産を配る時
- 6 社会科見学でお土産をいただいた時
- 7 誕生日の子がいた時
- 8 給食の最終日に話すこと
- 9 大切な大切なお金の話
- 子どもの生き方に迫る話
- 10 仕事の4レベル
- 11 「ありがとう」の反対語は?
- 12 「成功」の反対語は?
- 13 3つの幸せ
- 14 継続することの大切さ
- 15 1週間の最後の授業で語ること
- 16 昨日の自分を更新する
- 17 何事にも全力を出す理由
- 18 ダメ出しは力をうんと伸ばせる方法
- 19 「行ってきます」はなぜ大切か?
- 20 ルールはあった方がよい?ない方がよい?
- 21 人や物の後ろに何が見えるか
- 22 「現在」は人生最高の力が出せる時
- 23 勝敗にこだわらない
- 24 物と物のあいだには何がある?
- 学校だからこそ!の話
- 25 学校という場所
- 26 全校放送とは
- 27 高学年とは何が「高い」の?
- 28 卒業式はやらなくてはならないもの?
- 29 卒業式終了後に子どもたちに贈る言葉
はじめに
・「教え時」を逃さない「学級づくり」を支える思想
学級にはあらゆる問題が集積されています。
教師は,学級担任を任されて1年間学級を経営していきますが,子どもたちもその小さな双肩にいろいろな人生を抱えて毎日登校してきます。そしてせまい教室で1日をともに過ごすのです。多くの子どもたちが一時に多くの仲間たちと,ある時は摩擦し合い,ある時は手を取り合い人生を共有していきます。そんな状況で何らかの問題が生じないはずがありません。その中で実にさまざまな問題が生じるのは覚悟の上です。学級にはあらゆる問題が集積されていくのです。このことをしっかり肝に銘じて,教師は子どもたち一人ひとりをしっかり見取り,的確な方法で子どもたちの生き方に適切な方向性と秩序を与えていかなければなりません。
・教え時とは〜「事前指導」と「事後指導」〜
ところで,学級づくりには「教え時」というものがあります。そしてその「教え時」には大きく2つあります。
1つ目は「何かをはじめる直前」――いわば「事前指導」です。
なぜでしょう。それは事前に子どもたちが乗り越えるべき課題を明確にできるからです。直前にある「壁」を乗り越える意義を明確に示すことで覚悟ができます。心構えができるのです。
具体的には,運動会などの学校行事のような規模の大きいものから,毎週行われる全校朝礼などのようなものまでさまざまにあります。よく見かけるのがその本番真っ最中に指導をしている教師ですが,これは問題外です。あらゆる学習を行う時には事前に子どもたちが曝すと考えられる「未熟な姿」を想定し,あらかじめその未熟な方向へ行かないように指導を入れる必要があります。心構えの指導が「事前指導」です。
もう1つは「学級で問題が起こった後」です。つまり「事後指導」になります。学級で問題が起こった時,教師は当然のことながら子どもたちに何らかの指導をしなければなりません。このような問題が生じた時に多くの教師は「しまった!」と落ち込むかもしれません。しかし,これは子どもたちが大きく伸びるチャンスでもあります。
なぜなら,問題の深刻性を身に染みて感じるのは,何か問題が表面化した後に厳しく叱られた時だからです。いうなれば問題が学級で起こることは,学級を良い方向へ軌道修正する絶好のチャンスです。リアリティーを持ってその問題に向き合っている時こそ,子どもたちを,学級を変える「教え時」です。逃してはいけません。
・当たり前の話では届かない
とはいえ,「友だちを大切にしなさい」とか「喧嘩はだめだよ」と当たり前のことを当たり前の言葉で子どもたちに投げかけてみても,ほとんどの子どもの心には届きません。日頃は何の気なしに過ごしている物事の中に「はっ」とさせられるものに気づかされた時,子どもたちの心は動き,教師の思いが届くのです。ではどのような話を選べばよいのでしょうか?
・生き方を教える
今,書店のビジネス書のコーナーでは「人生哲学」の本が平積みとなっています。それは大人でさえ理想的な「生き方」を模索していることを表しているでしょう。ましてや未熟な子どもたちが自分の「生き方」を確固として持っているとは考えられません。また,学習指導要領では,道徳や特別活動の時間などに「「自己の生き方」について学ばせること」とあるものの,その時間だけのことになってはいないでしょうか。日々の忙しさに追われて,日頃はそのような余裕がないのが本当のところかもしれません。勢い学校という場は教科書にある学習内容の習得に重きが置かれがちだからです。
・考え方を変えてみる
「過去を変える」という考えがあります。過ぎ去ってしまった事実関係を変えることはできませんが,その過去の事実に対する見解を変えることはできる,ということです。
例えば喧嘩。「相手に腹が立って喧嘩し,いまだに腹の虫が治まらない。気分が悪い。」と考える人もいれば「あの喧嘩によって相手とも仲良くなれた。思えばあの喧嘩があるから今の愉快で楽しい日々があるのだ。その当時は腹が立ったが今となっては本当に感謝している。」と考える人もいます。同じ喧嘩であっても,その見解を変えることでその人の人生はいかようにも変わってくるでしょう。
先述した「はっ」とする気づきとはまさにこの相異なる見解の提示によって可能になるのです。
本書には子どもたちを「はっ」とさせる話のネタが73収められています。その通りに紹介して頂いてもよいし,学級の実態に応じてアレンジして頂いても構いません。ただ,このような話を「知っているか,知らないか」で学級経営は大きく変わり得るということを強調しておきます。多くの教育情報を知ること自体が教師にとって有効な力量形成だからです。
「教え時」を逃さず的確な指導をしていきましょう! そして,子どもたちに明確な生きるための指針を示しましょう。本書が先生方の学級経営の一助になれば幸いです。
/土作 彰
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- 明治図書
- 大事なことであるが、なかなか系統だてて整理できないことを具体的にまとめられている。著者の実践体験に裏打ちされているために説得力がある。2018/2/950代・大学勤務
- とてもわかりたすかった。2015/6/640代 おーちゃん
- これで、学級経営に生かしたい。2014/12/19めぐ