- はじめに
- 1 たった1つの授業で教師人生が変わる!「目標となる授業」が道を開く
- 1 「目標となる授業」との衝撃の出会いで教師人生が変わる
- 2 たった1つの算数授業が熊本を変える
- 3 よい授業をみることで授業観が変わる
- 2 最初の1時間で1年が決まる!「算数との出会い」はこんな授業で
- 1 最初の1時間で子どもの算数観を変える
- 2 「計算ピラミッド」を使って―3年バージョン
- 3 「計算ピラミッド」を使って―6年バージョン
- 3 これだけは必ず子どもに身に付けさせたい!算数授業の「ルール」と「学び方」
- 1 授業の質の向上は友だちの考えに働きかける学びにある
- 2 3年「かけ算」の授業をルールづくりにこう生かす
- 3 話し方・聴き方の基本を教えるだけで授業が締まる
- 4 発表者へのかかわり方を教えるだけで授業が変わる
- 5 そこが知りたい! 発表する子どもの育て方
- 4 プロ教師への最大の近道!「研究授業」の手順とそのポイント
- 1 研究授業こそ教師を鍛える最良の方法である
- 2 プロ教師なら学習指導案に主張を込める
- 3 ときには必要な事前授業の生かし方
- 4 研究授業で子どもの反応を楽しめるか
- 5 本気でぶつかり合ってこそ質の高い研究協議になる
- 5 ちょっとの工夫が大きな差を生む!教科書を生かした「教材研究」の工夫
- 1 先輩教師から自分を鍛える近道を探れ
- 2 プロ教師から学ぶ教材研究の3つの技術
- 3 教材研究の原点は教科書比較とその分析
- 4 教科書をアレンジするちょっとしたコツ
- 6 算数授業を感動のドラマに!(1)「あいうえお」の聞こえる授業
- 1 算数授業成立の条件はこれだ!
- 2 授業構成の骨子は発問・指示で決まる
- 3 教室から「あいうえお」の声が聞こえているか
- 7 算数授業を感動のドラマに!(2)「45分間」をどう組み立て,展開するのか
- 1 算数授業45分間の組み立て方
- 2 問題提示はもっとも重要な授業の決定条件だ!
- 3 自力解決は授業の原理である
- 4 練り上げは授業改善の最大のポイントだ!
- 5 抽象化のコツは,抽象化を急がないこと
- 8 問題づくりは“与える”から“引き出す”へ!算数授業の決め手は「教材・問題づくり」
- 1 “与える”問題から“引き出す”問題へ
- 2 6年「対称」の教材・問題づくり
- 3 6年「対称」の授業から問題づくりを検証する
- 4 問題提示はシンプルなほどいい
- 9 能動的な学びが生まれる!ぜひ身に付けたい「問題提示」3つの極意
- 1 「ゲーム化」による問題提示―この教材をゲーム化できないか?
- 2 「比較」による問題提示―子どもが反応しやすい二者択一
- 3 「ブラインド」による問題提示―「何がかくされているのかな?」
- 4 問題提示は先行知識が使えない状態で
- 5 思考に助走をつける
- 10 算数の本当のおもしろさを感じさせる!算数授業に「ヤマ場」をつくるコツ
- 1 自力解決への教師の意識が変わればヤマ場はつくれる
- 2 子どもが葛藤する場面が生まれればヤマ場はつくれる
- 3 子どもの“こだわり”がみえてくればヤマ場はつくれる
- 11 子どもの表現に磨きをかける!「表現力」が育つ表現様式と算数的活動
- 1 表現力を育てる基盤はこれだ!
- 2 表現力を育てる2つの意義
- 3 2年「かけ算」にみる表現力育成のポイント
- 4 表現力を育てる5つの表現様式
- 12 黒板とノートは学びのキャンバス!子どもの考えを生かす「板書の仕方」と「ノート指導」
- 1 1枚の黒板に45分間のドラマを描く
- 2 魅力的な板書はこうつくる
- 3 ノートの機能再確認
- 4 “写す”ノート指導から“考える”ノート指導へ
- 13 子どもの可能性を伸ばす!算数授業における子どもへの「支援」と「評価」
- 1 支援と評価の原点は“教師の確かな目”
- 2 子どもとの距離を縮め,子どもの目線に立ってみる
- 3 思考力・表現力の評価とそのコツ
- 4 形成的評価から総括的評価へ
- 14 算数教材はこうすればもっと楽しくなる!考える力が付く「算数ゲーム」をつくる
- 1 知っておきたいゲーム化の魅力とねらい
- 2 ゲーム化にこだわる
- 3 ゲーム化の試みと思わぬ落とし穴
- 4 算数ゲームを楽しむ中に深い思考活動がみえてくる
- 15 常識を問い直せば,算数授業は俄然おもしろくなる!「算数的活動」はダイナミック&ドラマチックに
- 1 NHK教育番組に挑戦―4年「面積」の導入授業構想
- 2 常識の問い直しがダイナミックな学習素材を生む
- 3 ダイナミックな素材からドラマチックな展開が生まれる
- 16 学習環境と学習習慣が本物の力を付ける!子ども自ら学ぶ「教材・教具」と「ICT活用」
- 1 数字(数図)カードで算数授業が始まる
- 2 自分たちで学べる教材・教具一覧
- 3 身に付けておきたい,手軽で効果的なICT活用法
はじめに
私は,生涯“授業人”でありたいと思っています。
子どもと向き合い,授業をつくる中で,その子どもたちに豊かな学びと心を育てられる授業人でいたいと思うのです。
いつの日か,思うようには教壇に立てないときが来るかもしれませんが,それでも授業を愛し,授業を語れる人間でいたいと思います。
今,この本を手に取ってくださったあなたは,きっと,授業がうまくなりたい,算数授業を通して子どもたちに豊かな学びや心を育てたい,と強く願っている先生だと思います。
この本は,その期待に添うよう,私のこれまでの算数授業づくりの集大成としてまとめてみました。
私は,東京からみればかなり田舎の熊本の一教師です。田舎と言っても,勤務地はもうじき政令指定都市になる熊本市ですから,東京からみれば田舎でも,九州の中でみれば都会かもしれません。ですから,子どもの実態も何も特別というわけではないと思います。
私は,ごく一般的な公立小学校の子どもたちを相手に,30年近く算数授業をやってきました。私の実践に登場する子どもたちは,どこにでもいるような普通の子どもたちですから,発言内容等も洗練されていない面があるかもしれません。しかし,ごく普通の子どもたちとの授業だからこそ,授業の工夫にしろ,手法にしろ,全国の多くの先生方から共感いただける面も多いと思うのです。
今から7年ほど前,私はNHKから教育番組づくりの協力依頼を受けました。これまでNHKの算数の教育番組といえばスタジオ収録であり,数人の子どもたちを相手に,重要な算数の内容を解説していく形のものが多かったようです。しかし,依頼を受けた番組は,まさに“授業”そのもの,“子どもたちの学びの姿”そのものを中心に据え,生の映像として撮りたいという主旨のものでした。
番組名はNHK教育テレビ『わかる算数 4年生』という15分番組です。番組のねらいは,「子どもたちの生き生きとした姿で考える楽しさを味わい,わかる,できる喜びが実感できる算数授業」の公開でした。番組は,実際に教室で行われている算数授業を撮影し,それを15分に編集したものを放送しました。次の年度には,『わかる算数 5年生』も収録しました。
NHKは,これらの番組を通して,全国の先生方に「今,算数の授業に何が大切なのか」を訴えたいということでした。
私自身は2年間で合計6本の番組を撮りましたが,この経験は私自身の算数授業づくりを大きく改善させてくれました。新たに発見したこと,改めて認識させられたことがいくつもあったのです。
この本は,上記のような日々の算数授業実践やNHKの教育番組づくりの経験を基に,16の章で構成しました。16の章はそれぞれが独立した形になっていながらも,関連をもたせてあります。また,不易の内容とともに,現在の教育の流行にかかわる内容も取り入れています。ですから,はじめから順にお読みいただいてもよいですし,興味をもった章から先にお読みいただいてもよいか思います。
最後に,この本を書く機会を与えてくださり,編集にご尽力くださった明治図書の矢口郁雄氏には,心より感謝申し上げます。
平成23年4月 /宮本 博規
-
- 明治図書
- 算数を教える面白さを感じることができた。2018/4/2850代・小学校管理職