- スイッチ1つで広がる子どもたちの世界
- 障がいのある子の力を生かすスイッチ製作とおもちゃの改造入門
- 1.障がいのある子の,新しい世界の扉を開くための「鍵」を作りませんか
- 2.障がいのある子の生活をサポートする技術があります
- 3.手作りの技術があれば,豊富な市販品が使えるようになります
- 4.安全で豊かな子どもの環境をつくる
- 5.トラブルが少ない工作をするには
- 6.市販品と手作り品にはこんな違いがある
- 7.障がいのある子の力を生かすためにアイデアを出し合いましょう
- 基礎知識編
- 1 スイッチ製作やおもちゃの改造に必要な道具について
- 2 ハンダづけ入門
- 3 穴のあけ方
- 基本パーツ編
- 1 ミニプラグ
- 2 ミニジャック
- 3 ボックス型ミニジャック
- 4 マイクロスイッチ
- 5 ゲームボタンスイッチ
- 6 プッシュスイッチ
- 7 フレキシブルスイッチ
- 8 タクトスイッチ
- 9 ケーブル
- 10 リレー
- 11 ユニバーサル基板
- 12 ケース
- 13 すべりどめ
- 14 両面テープ
- スイッチ製作編
- 1 フィルムケーススイッチを作ろう
- 2 ひもスイッチを作ろう
- 3 クリップひもスイッチを作ろう
- 4 棒スイッチを作ろう
- 5 どっちもクリップ棒スイッチを作ろう
- 6 おにぎりケーススイッチを作ろう
- 7 握り(印鑑ケース)スイッチを作ろう
- おもちゃ改造編
- 1 おもちゃ改造の基礎知識
- 2 ミニ扇風機を改造しよう
- 3 2つの電源で使用できる扇風機に改造しよう
- 4 ピンポンブーを改造しよう
- 5 電動オートバイを改造しよう
- 6 自在設置型の打楽器叩き装置を作ろう
- 補助機器編
- 1 BDアダプターの作り方
- 2 学習リモコンの改造
- 3 1入力2出力ボックスを作ろう
- 4 落下装置を作ろう
- 5 ワリバッシャー(押したり叩いたりする装置)を作ろう
- 6 おにぎりVOCAの作り方
- 7 KotoDamaを作ろう
- パソコン周辺機器編
- 1 USBマウスの改造
- 2 Bluetoothスイッチインターフェイスの製作
- 3 Bluetoothキーボードの改造
- 4 アルミ棒タッチペンを作ろう
- 5 キーボードでキーガード
- column 下敷きでキーガード
- 参考資料
- 旧版あとがき&改訂版あとがき
- マジカルトイボックスとは
スイッチ1つで広がる子どもたちの世界
「障がいが重い人でもコミュニケーションをしているはず。なんとかそれを豊かにできないだろうか?」私たちマジカルトイボックスは,この思いで1996年からイベントを続けてきました。その当時は子どもたちに合ったスイッチにしても,彼らが使えるおもちゃも,あまりありませんでした。
大切な考え方を伝えても,実際に学校現場で使えるものがなければ,実践することができない。そんな思いから,イベントでは自作したスイッチやおもちゃを実費でお分けしてきました。すると,参加者から「どうやって作るのですか?」という質問が寄せられました。そういうことなら,ということで,材料を用意して製作講座が始まりました。
さて,それから20年近く経ち,手に入れられるスイッチや,おもちゃなどは増えたのでしょうか?たしかに,さまざまな入力装置は売られるようになっています。また,iPadをはじめとしたタブレットPCの普及により,障がいの重い子でも活用できるような機器は出ています。しかし,スイッチ1つで「リアルに動かせる」おもちゃや機器は,それほど出てきていないように思います。
もちろん市販品を上手に組み合わせて,子どもたちの活動を広げる方が大切ですし,何より手に入れられるものの方が,これからも続けられると思います。しかし,目の前に子どもがいて,やりたい活動があるのにそれをちょっとした工夫で実現させることができるのなら,機器に手を加えることも必要なことではないかと思っています。
マジカルトイボックスが長く製作講座をやってきて分かったことは,こういった活動を通じて,
・支援機器の仕組みを知ってもらうこと
・製作会を通じて参加者の交流が図られること
・子どもたちのニーズを考えるようになること
なのではないかと思っています。そして何より「市販品の偉大さが分かること」でした。とかく「市販品は高い」というイメージがありますが,実はものが作られるためには膨大な労力が発生しています。作ることを通して,それを実感できるのが製作講座ではないでしょうか?
最後に,マジカルトイボックスのアドバイザーの畠山卓朗さんが改訂前の巻頭言に書かれた言葉を紹介します。『自分はそれらの人々を「支えている」ようでいて,実はそれらの人々から「支えられている」のだということを。大きな喜びだけでなく,生き甲斐さえ与えられることがあります。マジカルトイボックスがこれまで地道に造り上げてきた世界もまさにそれなのではないかと思います。障がいのある子どもたちはもちろんですが,それを支えている大人達も,実はとても楽しくて,嬉しくてしかたがない時間,大きな贈り物を障がいのあるお子さん達からもらっているのです。』
マジカルトイボックス 事務局/金森 克浩
見て自分でできるようになりました。だから、私にとっては教科書のような本です。