- はじめに
- chapter1 自分の言葉で思いを伝える!『踊る英語御殿』とは
- 1 「荒れ」「しらけ」と闘う
- 1 現場からの切実な声
- 2 自分の言葉で話す生徒を育てる
- 3 いつ生徒は話し始めるのか
- 2 最終目標は『踊る英語御殿』“Dancing English Palace”
- 1 『踊る英語御殿』とは
- 2 『踊る英語御殿』で,自分の言葉で英語を話す生徒を育てる
- 3 『踊る英語御殿』では,すべての生徒がスターになる
- 4『踊る英語御殿』は4技能の総合的な活動である
- 3 心と心をつなぐ道徳・人権教育・学級活動
- 1 生徒が自分の言葉で話す『岡田式ディスカッション』
- 2 『岡田式ディスカッション』の流れ
- 3 『岡田式ディスカッション』の基本的な考え方
- 4 『岡田式ディスカッション』の実践例
- 5 ある1年間の話し合い例
- 4 「中学校・英語教師」こんなすてきな仕事はない
- 1 「荒れ」と「しらけ」の洗礼を受ける学生たち
- 2 中学生だからこそ楽しい
- Column 1 仲間の力の素晴らしさ
- chapter2 岡田流マネジメント満載!授業づくり10の鉄則
- 1 授業づくり10の鉄則
- 1 生徒に恥をかかせない
- 2 「英語苦手でもかんまん」と言い続ける
- 3 授業で生徒指導する
- 4 仲間の力を借りる
- 5 ユーモアを取り入れる
- 6 英語の授業は英語で行う
- 7 不安を取り除く
- 8 天才たちの力を借りる
- 9 自主性を育てる
- 10ルールを示す
- Column 2 生徒は教師の鏡
- Column 3 やりたい気持ちが一番
- chapter3 授業が変わる! ペア活動10の鉄則&スキル・活動アイデア
- 1 ペア活動10の鉄則
- 1 全員参加させる
- 2 指示は英語で行う
- 3 ルールを守らせる
- 4 教え合いをさせる
- 5 自信を持たせる
- 6 ペア活動をゴールにしない
- 7 好奇心を利用する
- 8 相手を変える
- 9 徹底的にほめる
- 10 定着を図る
- 2 絶対に盛り上がるスキル&ペア活動アイデア集
- Skill 1 → 最初の授業でマスターさせる!『柔道式ペアフォーメーション』
- Skill 2 → 基本英語指示集 Basic Classroom English
- Activity 1 → 3択自己紹介 Multiple-Choice Introduction
- Activity 2 → ペア音読@ Teacher and Student Reading
- Activity 3 → ペア音読A Skit Reading
- Activity 4 → 単語練習@ Try to Read
- Activity 5 → 単語練習A Words for Conversation
- Activity 6 → 文型練習@ Grammar for Conversation
- Activity 7 → 文型練習A Skit Practice
- Activity 8 → ペアで協力して取り組む練習問題
- chapter4 1語1文からのコミュニケーション活動7の鉄則&活動アイデア
- 1 1語1文からのコミュニケーション活動7の鉄則
- 1 ペアと併用する
- 2 全員に話すチャンスを与える
- 3 聴く態度を育てる
- 4 飽きさせない
- 5 逆転現象を起こさせる
- 6 Fast Learnerに発言させる
- 7 オーセンティックにする
- 2 1語1文からのコミュニケーション活動アイデア
- Activity 1 → 1語からできる班活動『コンビニゲーム』
- Activity 2 → 1文からできる活動『好きなラーメンアンケート』
- Activity 3 → 1文からできる活動『岡田vs. ALT』
- Activity 4 → 1文からできる活動『好きなフルーツランキング』
- Activity 5 → 1文からできる班活動『岡田先生の好きなものは?』
- Activity 6 → 2文からできる班活動『私はタレント事務所社長』
- Activity 7 → 2文からできる班活動『誘いを断ろう』
- Activity 8 → 2文からできる班活動『教えてあげますよ』
- Column 4 先生,傑作ができました
- chapter5 見直そう! ティームティーチング8の鉄則&活動アイデア
- 1 ALTとのティームティーチング8の鉄則
- 1 JTEがリーダーシップを握る
- 2 ティームティーチングでしかできないことにこだわる
- 3 複数の指導者がいることを利用する
- 4 ネイティブスピーカーがいることを利用する
- 5 通じた喜びを体験させる
- 6 定着を図る
- 7 めいっぱいほめてもらう
- 8 ティームティーチングを普段の活動のゴールにする
- 2 絶対はずさないティームティーチング・プラン
- 1 ティームティーチングの基本パターン
- 2 ワークシート例で見る! ティームティーチング授業のポイント
- Column 5 フォークダンスの思い出
- chapter6 すぐできる! 『踊る英語御殿』成功の6の鉄則&進め方完全ナビ
- 1 『踊る英語御殿』を成功させる6の鉄則
- 1 難しい語彙を使わせない
- 2 自信を付けさせる
- 3 シミュレーションする
- 4 つっこみ力を鍛える
- 5 聞き手に配慮する
- 6 教師も楽しむ
- 2 『踊る英語御殿』完全ナビ
- 『踊る英語御殿』完全ナビ@ 2時間バージョン(初級コース)
- 『踊る英語御殿』完全ナビA 1時間バージョン(中・上級コース)
- 『踊る英語御殿』完全実況中継 1時間バージョン
- 踊るテーマ集
- Column 6 とっておきの思い出
- chapter7 ロッキー岡田が答える! 若手教師のお悩み相談Q&A
- Q1 英語がものすごく苦手な生徒にどう指導すればいいですか。
- Q2 音読のとき声が出ません。
- Q3 「どうして英語勉強せなあかんの?」と生徒に言われます。
- Q4 教科書本文をどう扱えばいいですか。
- Q5 授業中に「英語おもしろくない」と言われてしまいました。
はじめに
22年前。学生生活を終えたばかりの私は,地元徳島県の教員採用試験で不採用となり,何とか補欠採用となった滋賀県で教師生活を始めました。私の勤務した学校は当時様々な課題が山積しており,いわゆる「荒れ」が慢性化した状態でした。そしてその「荒れ」と対峙する中で「人権教育」と出会います。そして共に成長し合った生徒たち,多くの尊敬できる先生方,そして私を叱咤激励し,育ててくれた保護者の方々のおかげで,本当に実り多い5年間を過ごすことができました。
この5年間に結婚し,父親となりました。公私共に充実していましたが,母の死去をきっかけに,採用試験を受け直し,生まれ故郷である徳島県に帰ってくることになりました。たいした教師でもなかった私のために何人もの生徒と保護者が涙してくれました。
17年前。徳島に帰ってすぐ3年生の担任となり,県下の人権教育の公開授業をすることになりました。授業では生徒たちが元気いっぱいに挙手し,一生懸命に自分の意見を述べました。たくさんの拍手を浴び,一見成功のように見えた公開授業でしたが,私の中には大きなフラストレーションが残りました。それは,生徒たちが自分の言葉で話せていなかったからです。教師は生徒たちの挙手を待ち,責任感のある生徒たちが一生懸命に担任のために手を挙げて意見を言う。他の生徒たちは「次は自分が言わねば」と自分の意見を書いた紙をじっと見つめている。学校は前任校のように荒れていたわけではありません。しかし本当の意味で,生徒たちは人権問題を自分のこととして捉えられていなかったのです。私はこのような授業をくり返してきました。私は生徒と教師が自分の言葉で思いを語る。そしてお互いが変わり成長していく。そんな授業がしたかったのです。
公開授業の次の日から,本当に自分のやりたい授業を実現するための試行錯誤が始まりました。そしてたどり着いたのが,現在の井戸端会議形式の授業,今回便宜上『岡田式ディスカッション』と名付けているスタイルです。ある瞬間,生徒たちが,自分の言葉でぽつりぽつりと話し出したのです。授業参観では保護者も参加し,話し出しました。ある保護者は授業終了のチャイム後も「先生このまま授業を続けてほしい」と言いました。ある生徒は授業の後「先生,あのときの先生の発言は納得がいきません!」と,私にくってかかってきました。私は生徒と話し合う授業が大好きになりました。
次の年も3年生を担任しました。郡内の人権の研究授業では,生徒たちがどんどんしゃべる授業に参観者が興味を持ってくれました。1年間そのスタイルの授業を進める中で,生徒たちとの絆が深まり,生徒たちも大きく成長しました。卒業式。生徒たちの寄せ書きには「岡田先生の人権授業で変われた」「このクラスで話し合いをしたことが一番の思い出」などの言葉が見られました。生徒を変える,生徒の心を1つにする「授業の力」を実感しました。
次の年も3年生の担任でした。この年,徳島県の英語研究会での公開授業をさせていただくことになりました。様々な授業を試しました。しかしながら,どれも自分のやりたい授業ではないような気がしました。私がしたかったのは,人権問題学習と同じように『岡田式ディスカッション』を英語で行うこと,つまり生徒が自分の言葉で英語を話す授業でした。
さしたる勝算があったわけではありません。しかし授業では思った以上に生徒がよく動き,よい反応があり,多くの参観者から評価していただきました。授業は生徒があらかじめ用意した英文を話し,それに対して私と英語でやりとりをする。それだけの授業なのに,教室では50分間,一生懸命に英語を話す生徒たちと,それを楽しんで聴こうとする生徒たちとの幸せな時間が流れました。ある先生は「岡田先生は道徳を英語でやっちゃうんですね」と言ってくださいました。そのとき講演の講師として来ていただいていた岩本京子先生(当時兵庫県三木市立自由が丘中学校)には「先生は生徒が英語を話し出す秘密を見つけましたね」と言っていただきました。
それ以降10年あまり,この活動を続けています。私はこの活動を,私の大好きなテレビ番組の名前をもじって『踊る英語御殿』(英語名は“Dancing English Palace”)と名付けています。そして私は,教師としての自分のゴールを,
@学級担任として,人権・道徳・学活を井戸端会議形式の授業で進めることにより,3年次には結婚・命・将来の夢や職業について真剣に語り合える集団に育てること。
A英語教師として,生徒たちが学んだ英語のすべての力を駆使して,『踊る英語御殿』を楽しむことのできる生徒に育てること。
の2点に定めて,教師生活を送っています。
私は今回自分の実践を紹介する機会に恵まれ,本当に嬉しく思っています。なぜなら私はこの実践と出会うことによって,本当に充実し,幸せな教師生活を送れているからです。私のようにさして能力のない者でも,熱意や発想や工夫で充実した授業ができる。そして幸せな指導者になれる。そのために私が少しだけつかんだ「秘密」,「幸せな英語教師になる方法」を共有できれば幸いです。
2014年10月 /岡田 栄司
岡田式ディスカッションを道徳や学活の授業にも活用させていただいてます。読むとすぐに実践してみたくなる、授業がしたくなる、そんな内容でした。
「英語教育達人セミナー」で受講して理解を深めたい。著者が使うことばの選択、文章の書き方
どれをとっても好きである。若手教員である私にとって、signpostのような良書である。