- はじめに
- 1章 司書教諭の仕事12か月
- ―見通しをもって取り組むために―
- 1 4月 司書教諭の仕事
- 2 4月 前任者からの引き継ぎ
- 3 4月 学校図書館部からの全体計画の提案
- 4 4月 学校図書館オリエンテーションの準備(1)
- 5 4月 学校図書館オリエンテーションの準備(2)
- 6 4月 新年度用に学校図書館を整備
- 7 4月 授業での図書館利用の記録
- 8 4月 委員会活動スタート
- 9 5月 図書の購入の準備
- 10 5月 春の図書館だより発行
- 11 6月 梅雨の時期の図書館行事
- 12 7月 夏休みの貸し出し準備
- 13 8月 夏休みを利用した図書館整備
- 14 8月 9月10月に向けての提案準備
- 15 10月 読書の秋の図書館行事
- 16 11月 秋の図書館だより発行
- 17 12月 冬休みの貸し出し準備
- 18 1月 お正月の雰囲気づくり
- 19 2月 卒業生への餞(はなむけ)
- 20 3月 1年間のまとめ
- 2章 学校図書館の環境整備
- ―情報収集しやすい図書館をつくるために―
- 1 本を探すための手がかりを学ぶ(1)図書館の地図・サイン
- 2 本を探すための手がかりを学ぶ(2)図書館の本の分類
- 3 本を探すための手がかりを学ぶ(3)請求記号
- 4 必要な情報の見つけ方を学ぶ(1)目次・索引
- 5 必要な情報の見つけ方を学ぶ(2)百科事典
- 6 必要な情報の見つけ方を学ぶ(3)年鑑
- 7 必要な情報を自分の手元におく方法を学ぶ(1)初期指導用情報カード
- 8 必要な情報を自分の手元におく方法を学ぶ(2)情報カード
- 9 授業と図書館をつなぐ(1)授業ができる環境づくり
- 10 授業と図書館をつなぐ(2)授業を助ける道具や教材の用意
- 11 授業と図書館をつなぐ(3)シンキングツールの常備
- 12 授業と図書館をつなぐ(4)ファイル資料で情報提供
- 13 授業と図書館をつなぐ(5)新しい情報の提供
- 3章 読書の場としての図書館づくり
- ―読書活動の充実のために―
- 1 学習指導要領における読書の位置づけ
- 2 授業時間における読書と司書教諭はどう関わるのか(1)国語
- 3 授業時間における読書と司書教諭はどう関わるのか(2)各教科等
- 4 朝読書の時間における読書と司書教諭はどう関わるのか
- 5 子供の自由時間における読書と司書教諭はどう関わるのか
- 6 並行読書の充実(1)まずは,読み聞かせから
- 7 並行読書の充実(2)絵本を使ったお話動物園
- 8 並行読書の充実(3)登場人物図鑑
- 9 並行読書の充実(4)アニマシオン
- 10 並行読書の充実(5)リテラチャーサークル
- 11 並行読書の充実(6)教師が行うブックトーク
- 12 並行読書の充実(7)子供が行うブックトーク
- 13 並行読書の充実(8)ビブリオバトル
- 4章 知っておくと便利なあれこれ
- 1 司書教諭と学校司書の役割分担
- 2 日本十進分類表
- 3 学校図書館法
- 4 学校図書館図書廃棄規準
- 参考文献
- 索引
はじめに
本書は,はじめて司書教諭の仕事をする教員,司書教諭の仕事をもう少し詳しく知りたい教員,これから司書教諭の仕事をしたいと考えている教員・学生,そして,一緒に仕事をする司書教諭の仕事を知りたい学校司書を対象としています。
そして,司書教諭の仕事の全体像を知りたい
1年間仕事をするための基本的な知識を身につけたい
1年間どのような見通しをもって仕事をするのかを知りたい
今の学校図書館をどのように整備したらいいのかを知りたい
子供に身につけさせたい基本的な情報活用スキルを知りたい
という要望に答えることを趣旨としています。
司書教諭については,学校図書館法に以下のように規定されています。
第五条 学校には,学校図書館の専門的職務を掌らせるため,司書教諭を置かなければならない。
2 前項の司書教諭は,主幹教諭(養護又は栄養の指導及び管理をつかさどる主幹教諭を除く。),指導教諭又は教諭(以下この項において「主幹教諭等」という。)教諭をもつて充てる。この場合において,当該主幹教諭等は,司書教諭の講習を修了した者でなければならない。
司書教諭の資格を取得するためには,司書教諭講習科目(以下の5科目10単位)を修得する必要があります。
学校経営と学校図書館 2単位
学校図書館のメディアの構成 2単位
学習指導と学校図書館 2単位
読書と豊かな人間性 2単位
情報メディアの活用 2単位
司書教諭の資格は,上記の司書教諭講習科目が受講できる大学(もしくは短期大学)にて,取得することができます。また,教員免許取得後,大学などの所定の機関で開催される司書教諭講習を修了すると付与されます。文部科学省が交付する「司書教諭資格講習修了証書」が5科目10単位を修得した証明書となります。再発行は可能ですが,きちんと保管しておくようにします。
教員免許状を取得し,教諭として採用された上で,司書教諭資格をもつ教員として働きます。教員は学校において授業を担当することに加え,校務分掌といって,学校内で役割分担した職務を担います。司書教諭は,取得した資格に関する役割を担いますが,司書教諭資格をもっているからといって,校内で司書教諭として仕事をするとは限りません。他の役割を担うときもあります。
学校では年度始めの職員会議で,校務分掌が発表されます。校内に司書教諭資格をもっている教員が複数いた場合は,その中から適任者を校長が選び,その教員を司書教諭とします。
本書は,4章構成です。
1章では,
「司書教諭の仕事12か月─見通しをもって取り組むために─」と題して,司書教諭が1年間の見通しをもって仕事ができるように,時系列に沿ってに仕事内容を整理しました。司書教諭は全校の教員と子供のため,職員会議や打ち合わせで提案をする機会が多くあります。提案を計画的に行えるように,必要な資料を添付しました。
2章では,
「学校図書館の環境整備─情報収集しやすい図書館をつくるために─」と題して,授業で活用できる学校図書館をつくるための基本的な知識を,子供に育成したい情報活用スキルと学校図書館の環境整備の両面から整理をしました。情報活用スキルについては,「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」の各探究の過程のうち,紙面の都合上「情報の収集」の過程において必要なスキルを選びました。他の過程のスキルを知りたい場合は,参考文献を参照してください。
3章では,
「読書の場としての図書館づくり─読書活動の充実のために─」と題して,読書を楽しんだり,読書を通して見方・考え方を広げたり深めたりするための基本的な知識を,読書活動の事例と学校図書館の環境整備の両面から整理をしました。
4章では,
「知っておくと便利なあれこれ」と題して,学校図書館に関する情報提供のコーナーとしました。
本書の特徴は,
まず,2ページ開きで完結していることです。忙しい時でも必要な情報を容易に得ることができるような紙面構成としました。
次に,各2ページのはじめは,司書教諭の仕事に取り組む「あき先生」の悩みや疑問に,「シオヤ先生」が答えるという問答形式になっています。「あき先生」は,初めて司書教諭の仕事をする教員です。「あき先生」の言葉に,筆者が出合ってきたQ&Aを可能な限り埋め込みました。
これから司書教諭を目指す皆様,そして学校司書の皆様には,司書教諭の職務の全体像を描けるように,また,司書教諭として職務を遂行している先生方には,進捗状況に合わせて本書を活用していただけたら幸いです。
最後になりましたが,本書を作成するにあたり,大阪府豊中市立中豊島小学校の校長・舟岡直子先生,司書教諭・川畑存映先生,静岡県沼津市立静浦小中一貫学校の司書教諭・小谷田照代先生にご協力をいただきました。また,明治図書出版の茅野現様には,企画の段階から大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。
平成29年2月1日 /塩谷 京子
また、あき先生とシオヤ先生の掛け合いが面白く、イラストもかわいいと思います。