- まえがき
- 序章 教室掲示ポスター&言語能力アップシートで子どものやる気を高めよう!
- /井上 一郎
- 1.アクティブ・ラーニングとカリキュラム・マネジメントの具体化
- 2.言語能力を高める教室掲示ポスターの種類と作成のポイント
- 3.言語能力アップシートにも使える教室掲示ポスターの活用法
- 第1章 学ぶ力・思考力を高める!教室掲示ポスター&言語能力アップシート
- 第1ステージ
- 1.勉強の課題や計画の立て方
- 2.授業の進め方を学ぼう―パーソナル・グループ・クラスワーク
- 3.グループに分かれて勉強しよう―グループの役割分担
- 4.授業は自分たちで進めよう―協議と討論進行表
- 5.調べてみよう―五感をいかした観察の仕方
- 6.図書館へ行こう―NDC分類の仕方
- 7.ノートの上手な使い方
- 8.考えて!考えて!@多面的に考えよう
- ―分けて考えよう・いろいろ比べてみよう・順序付けよう・クェッションチャートを使おう
- 第2ステージ
- 9.いろいろな調べ方にチャレンジしよう
- ―体験と施設利用・インタビュー・アンケート・本とインターネット
- 10.辞典を使おう
- 11.いろいろな資料を使おう
- 12.考えて!考えて!A多面的に考えよう
- ―KWLチャート・PMIチャート・対比チャート・バブルチャートを使おう
- 13.考えて!考えて!B科学的に考えよう
- 14.振り返りをいかそう
- 第3ステージ
- 15.明確なコメントを述べよう―考察・評価語彙
- 16.複数の資料を関連付ける
- 17.シンキングチャートを使って考えよう―ベン図を使おう・ツリー図に整理しよう
- 18.創造的・論理的に考えよう
- 19.批判的に考えよう
- 第2章 「話すこと・聞くこと」の能力を高める!教室掲示ポスター&言語能力アップシート
- 第1ステージ
- 1.話すための準備をしよう―話すこと・聞くことのプロセス
- 2.かっこいいスピーチをしよう
- 3.大事なことを押さえて聞こう
- 4.もっと聞いてみよう
- 5.発表会をひらこう―形式・進行
- 第2ステージ
- 6.話すための原稿の書き方
- 7.プレゼンテーションの仕方
- 8.司会力を高めよう―協議・討論のレベルアップ
- 9.メモを使って聞き取ろう
- 10.インタビューをしよう
- 11.いろいろな司会にチャレンジしてみよう―司会・議長・パネリスト等の種類
- 第3ステージ
- 12.プレゼンテーションをかっこよくしよう
- 13.困った時の話し合いの進め方―司会力
- 14.パネルディスカッションの仕方
- 15.ポスターセッションの仕方
- 16.インタビューをいかそう―インタビューの引用
- 第3章 「書くこと」の能力を高める!教室掲示ポスター&言語能力アップシート
- 第1ステージ
- 1.書くことのプロセスを知ろう
- 2.説明文を書いてみよう
- 3.観察記録文はこんなふうにまとめよう
- 4.経験したことをまとめておこう
- 第2ステージ
- 5.案内状は分かりやすく書こう
- 6.学級新聞を編集しよう
- 7.調査報告文は事実に基づいて書こう
- 8.資料を使った説明文の書き方―図表・グラフ・ポスター
- 第3ステージ
- 9.自分の考えを自分の言葉で表現しよう
- 10.説得力のある意見文の書き方
- 11.パンフレットやリーフレットの作り方
- 12.説明の言葉―記述力
- 第4章 「読むこと」の能力を高める!教室掲示ポスター&言語能力アップシート
- 第1ステージ
- 1.文章や本を読んでいこう―読むことのプロセス
- 2.いろいろな本を読もう―形式の種類
- 3.本をもっと活用しよう―表紙・題名・目次・索引・凡例の読み方
- 4.読書感想文を書こう―構成・感想語彙
- 第2ステージ
- 5.ポイントを押さえて要約しよう
- 6.目的を考えて引用しよう―目的・形式・表現
- 7.いろいろな本にチャレンジしよう―シリーズ・ジャンル・物語文と科学読み物の特徴
- 8.新聞の読み方
- 第3ステージ
- 9.要旨をまとめて活用しよう
- 10.図表を読む時は注意しよう
- 11.いろいろな読み方にチャレンジ―速読・多読・摘読をしよう
- 12.読むことの達人になろう
- ―リーディングストラテジー(予想して読む・関係付けて読む・疑問をもって読む等)
まえがき
本書は,学習者がアクティブ・ラーニングを展開するために必要な言語能力の知識・技能を習得するのをサポートするために,教室や学校図書館等の環境整備として掲示するポスター及び児童・生徒に配布するポイントを図解した教材を編集したものです。これらのシートを参考に,児童・生徒の実態に応じ,各学校や教室の課題に応じ,教師が教材開発するのを支援することを企図して編集しました。アクティブ・ラーニングを具体化し,学習者に見せられる形で掲示及び配布可能な教材開発をした書物は、おそらく本書が初めてだろうと考えています。
なお,既に,アクティブ・ラーニングについては,子どもが自ら日常的に能力を高めたり,各教科等でも使用できるようなワークシート集として『小学校国語科「汎用的能力」を高める!アクティブ・ラーニングサポートワーク』(明治図書,2015年)を提案しています。本書は,ポスター&アップシート集として編集した姉妹版となります。また,読解力や表現力を高めるために,学校図書館を利用する児童配布用のポスター&アップシート集である『アクティブ・ラーニングをサポートする!学校図書館活用プロジェクト 掲示ポスター&ポイント事典』(明治図書,2017年)も同時に刊行しています。これら3冊を活用し,アクティブ・ラーニングの実現に取り組んでほしいと願っています。
『幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)』(中央教育審議会,平成28年12月21日)及び平成29年3月31日告示の学習指導要領においては,今後10年間の「学びの地図」として,新しい学力観に基づく学習指導法が示されました。改革の根幹は,何と言っても,「育成すべき資質・能力」の明示化と,カリキュラム・マネジメントと結合した教授法=学習指導法改革であるアクティブ・ラーニングへの移行でありましょう。改革は,国によって次のように規定されてきました。
【アクティブ・ラーニング】教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり,学習者の能動的な学習への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学習者が能動的に学ぶことによって,後で学んだ情報を思い出しやすい,あるいは異なる文脈でもその情報を使いこなしやすいという理由から用いられる。発見学習,問題解決学習,体験学習,調査学習等が含まれるが,教室内でのグループ・ディスカッション,ディベート,グループ・ワーク等を行うことでも取り入れられる。
(「予測困難な時代において生涯学び続け,主体的に考える力を育成する大学へ」(審議まとめ)
平成24年3月26日 中央教育審議会大学分科会大学教育部会,資料編より)
「何を教えるか」という知識の質や量の改善はもちろんのこと,「どのように学ぶか」という,学びの質や深まりを重視することが必要であり,課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)
(「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)」26文科初第852号,
中央教育審議会,平成26年11月20日)
そして,いよいよ新しい学習指導要領の下に改革が始まります。ただ,ここで留意すべきは,国によって考え方を示し,研究者が理論化を図っても,それらを現実化することは難しいということです。その困難が,過去の教育改革が示すように,現実的には多くの実践につながらず,次の改革への移行とともに忘れ去られるという事態を招くことにもなりかねません。例えば,中教審答申では,平成20年学習指導要領の総括を次のように行っています。
○そのため,現行の学習指導要領では,言語活動の充実を各教科等を貫く改善の視点として掲げるにとどまっている。言語活動の導入により,思考力等の育成に一定の成果は得られつつあるものの,教育課程全体としてはなお,各教科等において「教員が何を教えるか」という観点を中心に組み立てられており,それぞれ教えるべき内容に関する記述を中心に,教科等の枠組みごとに知識や技能の内容に沿って順序立てて整理したものとなっている。そのため,一つ一つの学びが何のためか,どのような力を育むものかは明確ではない。
(中教審答申:15頁)
いかに,カリキュラム・マネジメントをもとに実際の教材を開発し具体化する中で成果を上げられるかが鍵となります。しかも,各教科等及び各教科等を越えた内容を学習者の視点から具体化しなければいけませんので容易なことではありません。
筆者自身は,25年も前から「読者としての子ども」「自己学習力の育成」を標榜し,理論化と実践を行ってきたところです。
本書では,このような筆者自身の取り組みの延長に,アクティブ・ラーニングを展開するために必要な汎用的内容のうち,言語能力に特化し,次の観点で体系化と系統化をしました。
第1章 学ぶ力・思考力を高める! 教室掲示ポスター&言語能力アップシート(第1〜第3ステージ)
第2章 「話すこと・聞くこと」の能力を高める! 教室掲示ポスター&言語能力アップシート(第1〜第3ステージ)
第3章 「書くこと」の能力を高める! 教室掲示ポスター&言語能力アップシート(第1〜第3ステージ)
第4章 「読むこと」の能力を高める! 教室掲示ポスター&言語能力アップシート(第1〜第3ステージ)
貼付と配布の両方に対応できるようにするとともに,ステージ別の学習段階にしました。各シートは,解説とシートの見開き2頁構成にしています。
これから,アクティブ・ラーニングが全国で展開します。学習者側に立ったアクティブ・ラーニングの汎用的内容を本書から学んでいただき,ベテラン教師も,若手教師も,各学校及び教室で具体化する取り組みを行ってほしいと願っています。
本書の編集にあたっては,「全国国語教育カンファランス」会員に執筆をお願いしました。また,明治図書編集部木山麻衣子編集長,奥野仁美氏には,ビジュアルな事典編集という大変なご苦労をおかけしました。執筆者,編集者の方々に,謝意を表します。
2017年5月 /井上 一郎
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- 明治図書
- 実物の例が載っているのでイメージがしやすいです。また、内容がPISA型読解力と深く関わっていて、例をパラパラと見るだけでも読解力についての理解が深まりました。2024/7/31ヤッシー
- 教室掲示ポスターになる言語活動のポスター集を初めて見たので購入してみた。ワークシートで、児童の手元にあるのも有効だが、掲示して教室環境下におくとさらに有効だと思った。2021/4/2130代・小学校教員