- はじめに
- 第1章 小さな発想の転換が大きな時間を生む!
- 目的を見定める
- 教師には山ほど仕事があるけれど…
- 仕事の種類を見極める
- 仕事を自分で選択する意識をもつ
- 雑務に時間をかけない
- 「やりたい」仕事に時間を使う
- 自分のもっている時間を有効に使う
- 第2章 教師生活で使える時間術の基礎・基本
- まずは「時間に対する意識」をもつ
- 時間を「区切る」
- 「時間ドロボー」にならない
- 時間を「生み出す」
- 仕事の「最小単位時間」を意識する
- 「限界」を設定する
- 「1日の仕事量」を割り出す
- 「その場主義」で仕事を片づける
- 創造的な仕事は「寝かせる」
- 仕事の量とかける時間を「限定」する
- 第3章 毎日の授業がグンと充実する時間術
- 「半歩先」を見越して下準備をする
- 4月に1年後の「到達目標」を決める
- 教材研究は「少しずつ」+「毎日」で成果を上げる
- 「追試の連続」で地力をつける
- 授業の組み立ての「型」を覚える
- 教材研究の時間を「予約」する
- 資料をストックする「箱」を持つ
- 授業改善を「ルーティン化」する
- 「授業記録」をストックする
- 「ながら仕事」+「その場主義」で寸暇を惜しむ
- 第4章 毎日の業務がみるみる片づく時間術
- 「未来の仕事」を少しずつ進める
- 「情報収集」+「集約」+「原案作成」で会議時間を8割削る
- 「緊急の仕事」を織り込み済みにする
- 「余裕のある時間」を探し出す
- 「拘束時間」を活用する
- 「リミットの80%」で仕事量をセルフ・コントロールする
- 「断り上手」になる
- 仕事を「まとめる」意識をもつ
- あらゆる仕事に「締切効果」を利用する
- 評価は「即時」のフィードバックが原則と心得る
- 第5章 繁忙期を難なく乗り切る時間術
- 春休み中は「やりたいこと」を構想する
- 「子どもの情報」を先に入力してから事務作業をこなす
- 仕事の「セット化」をはかる
- 行事集中期は「マニュアルの活用」で乗り切る
- 通知表・指導要録は「前倒し処理」で乗り切る
- 会議の「主導権」を握る
- 行事の準備は「限定」+「逆算」で乗り切る
- 「その場で仕事が終わるシステム」をつくる
- 「自習システム」で出張が重なる時期を乗り切る
- 「一時に多事」で単純仕事の効率化をはかる
- 第6章 子ども,保護者の心をガッチリつかむための時間術
- 「どの子とも少しずつ」で信頼関係を築く
- 子どもと遊ぶ時間を「予約」する
- 子どものがんばりを「小刻み」に伝える
- 学級懇談で保護者を「不当に拘束」しない
- 保護者連絡に適した「ツール」を選ぶ
- トラブル対応は「傾聴」+「スピード」で乗り切る
- 保護者から「時間ドロボー」しない
- 「教職員チーム」で保護者との連携の動きをつくる
- 後回しにしがちな仕事を「ルーティン化」する
- 「最小時間で最大効果」を追究する
- 第7章 教師力をもう一段引き上げる時間術
- 定期的に「原点回帰」の時間をとる
- 「自分磨き」の時間を予約する
- 自分の実践を「記録」する
- 慣例から逃れ「当たり前」を見直す
- 「休暇」と「睡眠」で効率を上げる
- 「人づき合いの無理」を避ける
- 「時間を奪う要因」を排除していく
- 「同時進行」の習慣をつける
- 自分の「生活習慣」を分析する
- 「数値」によって教育活動をふり返る
はじめに
私が最初に時間術を意識したのは,ある助言がきっかけでした。
その助言とは,「人は探し物の時間で人生を潰している」というものです。
「探し物の時間をゼロにする」
それだけで,ずいぶん時間が浮くというのです。
その助言を受けるまでは,「探し物の時間は,どの人にもあるものだから仕方ない」ぐらいに思っていました。
延々と資料を探していても,別段何も思いませんでした。パソコンのフォルダを探し,別のハードディスクを探し,DVDを探し,印刷資料を探し…といった具合です。
しかし,時間を意識すると,行動が変わりました。
探し物の時間をなくそうと考えるだけで,いろいろアイデアがわいてくるのです。
例えば,資料を分野ごとに整理するだけで,検索しやすくなります。いつか授業で使うかもしれない資料を,分野ごとに1つのボックスに入れておきます。そのボックスを見れば,資料はすぐに見つかります。
デジタルの資料も,文書やフォルダに長い名前やキーワードをつけるだけで検索がしやすくなり,探す時間が大幅に短縮できます。
このように,時間は工夫次第でいくらでも増やすことができます。
例えば,何かのアンケートを配付されたとしましょう。
そのアンケートの説明がなされている間に,記入も済ませてしまいます。つまり,「説明を聞く時間」と「アンケートの記入時間」が同時なので,アンケートの記入時間は実質ゼロです。
時に,アンケートが机の上に置かれていることがあります。その場合,アンケートを一から読まなくてはなりません。これも特別な時間をとって読むことはしません。教室に向かって歩きながらアンケートの内容を確認します。そして,すきま時間に記入すれば終わりです。
つまり,ほんの少しの工夫で,時間を生み出すことはできるのです。
しかし,ここで注意すべきことがあります。
それは,時間を生み出せても,その時間の使い方が下手ならば,その人は結局仕事に追われるということです。
つまり,「時間を生み出す工夫」に加えて,「時間の上手な使い方」も学ばなければならないのです。
反対に,仕事量が多くても,時間の使い方がうまければ,時間的な余裕を生み出すことができます。
教師は,「トイレにいく暇もない」「ベテランが階段を走って移動している」ような職場で過ごしています。
教師の仕事は,時間的な余裕がない仕事の代表格と言えるでしょう。
しかし,「時間を生み出す工夫」に加えて,「時間の上手な使い方」も知れば,きっと余裕をもって過ごすことができるはずです。
本書には,「時間を生み出す工夫」と「時間の上手な使い方」の両方を示しました。具体的な「手法」も多く紹介していますが,「考え方」もたくさん紹介しています。「考え方」を身につければ,応用可能な知識となるからです。
本書が,読者諸氏の時間的な余裕を生み出すきっかけになれば幸いです。
本書の執筆に際しては,明治図書編集部の矢口郁雄氏に多大な御尽力をいただきました。記して感謝申し上げます。
2016年8月 /大前 暁政
若手が増え、学校のあれこれを伝えてはいるが、学級で困っている様子も見られるため。これは伝えるべきだということが、あると助かります。
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