- 序文
- 「しかけ」が「知」と「心」の変容をもたらす(愛知教育大学名誉教授 /志水 廣)
- まえがき
- 「しかけ」で子どもをアクティブに!(みよし市立緑丘小学校長 /加藤 芳邦)
- Chapter1 理論編
- 2つのしかけでできる!算数授業のアクティブ・ラーニング
- 1 算数授業における「しかけ」の意義と役割
- 2 わくわくする授業になる「しかけ」の原理と実践
- column 教師自身がアクティブ・ラーナーになるとき(落合 康子)
- Chapter2 実践編
- 2つのしかけでうまくいく!算数授業づくり&教材研究
- 1年生
- 1 「たしざん(1)」第5時(全8時間)
- おはなしをつくろう
- 2 「3つのかずのけいさん」第2時(全4時間)
- ひいて ひいて
- 2年生
- 3 「かさ」第1時(全6時間)
- リットル
- 4 「ふえたり へったり」第3時(全3時間)
- ふえて へって
- 5「かけ算(1)」第5時(全18時間)
- 5のだんの九九
- 3年生
- 6 「円と球」第3時(全6時間)
- 円の中心と直径
- 資料 3年「円と球」 ミニ指導案
- 7 「円と球」第5時(全6時間)
- コンパスを使って
- 8 「あまりのあるわり算」第2時(全5時間)
- あまりの大きさ
- 4年生
- 9 「垂直・平行と四角形」第2時(全9時間)
- 平行四辺形
- 10 「面積」第4時(全10時間)
- 面積の求め方の工夫
- 5年生
- 11 「小数÷小数」第7時(全11時間)
- 商と余り
- 12 「小数÷小数」第9時(全11時間)
- 商の大きさ
- 13 「面積」第5時(全13時間)
- 面積の公式を使って
- 6年生
- 14 「比とその利用」第8時(全9時間)
- 全体を決まった比に分ける
- 15 「図形の拡大と縮小」第5時(全10時間)
- 線の長さや角の大きさを使って
- 16 「場合を順序よく整理して」第1時(全7時間)
- 組のつくり方
- 17「場合を順序よく整理して」第3時(全7時間)
- 並べ方
- 特別支援学級
- 18 7歳児,8歳児,9歳児「かさ」第1時(全6時間)
- リットル
- 19 8歳児,9歳児「1000までの数」第1時(全12時間)
- 100をこえる数
- 20 10歳児,12歳児「1億をこえる数」第7時(全8時間)
- 大きな数のしくみ
- 21 11歳児,12歳児「分数(1)」第3時(全10時間)
- 約分
- column 「2つのしかけ」で先生が見つけたもの・子どもが見つけた算数の面白い
- Chapter3 教材編
- 算数の基礎学力をアップする!音声計算(声出し計算)ワーク
- 1年生
- 1 たしざん
- 2 たしざん・ひきざん
- 2年生
- 3 長さ
- 4 たし算
- 5 かけ算
- 3年生
- 6 円と球
- 7 わり算
- 4年生
- 8 垂直・平行と四角形
- 9 たし算
- 5年生
- 10 小数のかけ算
- 11 整数と小数
- 12 面積を求めましょう
- 6年生
- 13 何倍でしょう(比の値)
- 14 合同
- 引用及び参考文献
- 研究同人
序文
「しかけ」が「知」と「心」の変容をもたらす
一斉授業では,よくできる子どもと遅れがちな子どもとの差が年々開いているという事実,つまり学力の二極化問題がある。できる子どもに内容と授業の進度を合わせると,遅れがちな子どもは全く分からなくなりやる気が低下する。逆に遅れがちな子どもに合わせると,よくできる子どもが退屈してやる気が起きず授業がだれてしまう。緑丘小学校の研究は,果敢にもこの二極化問題に挑戦し結果を出した。結果というのは,授業での結果と学力調査の結果の双方である。よくできる子どももやる気が起きるし,また遅れがちな子どもも満足するような授業が展開できている。
そのキーワードが2つの「しかけ」である。授業の中で基礎基本の理解のために教師がしかけるのが第1番目の「しかけ1」であり,授業の後半で本時の学習をさらに活用・探究させるのが第2番目の「しかけ2」である。注目してほしいのは「しかけ2」である。授業が予定調和で終わりそうなとき,どの子にも数理の目を開かせるような手立てが「しかけ2」である。2つの「しかけ」を教師がもつことにより,子どもは45分の最後まで問いを持続させて,学ぶことができる。なぜなら,「しかけ」は「知」と「心」の同時変容を促すものだからである。
21世紀型の学力として資質・能力・態度の育成が求められているが,とりわけアクティブ・ラーニングは,子どもの学びの主体性,継続性,協働性が不可欠である。学び続けるためには,算数科で言えば教師からの「しかけ」によって,子どもが数理の面白さを理解し,活用し探究することである。授業の至るところで子どもの学び合いの場面がある。第2章の実践例を見ていただければ子どもの発言のよさが分かる。協働と言っても,単に子どもだけで議論させても低レベルの話し合いだけに終わる。緑丘小学校の2つの「しかけ」はアクティブ・ラーニングの基盤となる算数の学び方の学力を保証するものである。
この本の出版を決めたのは,10月21日の研究発表会の終了時である。全職員による授業を参観し,教師と子どもがわくわくするような授業,盛り上がるような授業を見たとき,この本を出そうと決めた。そこに教師の成長,子どもの成長が見られたからである。学校との共同研究として久しぶりに出す本である。感慨深いものがある。
出版するに当たって,緑丘小学校の加藤芳邦校長先生をはじめ全教職員の皆様にお礼を申し上げたい。また,みよし市の教育長の今瀬良江教育長にも応援いただき,大変心強いものがあった。最後に,出版の許可を即断していただいた明治図書出版の木山麻衣子氏にも感謝申し上げたい。
平成28年4月 愛知教育大学名誉教授 /志水 廣
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- 明治図書
- とてもわかりやすく、読みやすく書かれていて良かったです。2018/3/1040代・小学校女性
- いくつか参考にしたいページがあったので購入しました。全ての本に共通していますが,電子書籍も同時発売していただけると,購入しやすくなります。よろしくお願いします。(本棚が満杯なので)2017/1/340代・教諭
- 実践事例も載っているので、非常に参考になった2016/8/1660代 非常勤
- キーワードである「しかけ」という言葉に興味をひかれたことが購入した理由。子どもが学んだことを活用するための手立てについて,教師が考えること,子どもたちに学ばせていくことのポイントが参考になった。ぜひ他の単元でも参考例を出していただければと思う。2016/5/2640代・小学校教諭