- はじめに
- 1 今,なぜプロジェクターなのか
- 2 プロジェクターをいかにして導入するか
- 物欲コラム@ 「書画カメラ機能付きプロジェクター」
- 3 プロジェクター以外に必要な環境,機器,機材
- 校内LAN/ パソコン/ プレゼンテーションソフトウェア/ 書画カメラ/ スクリーン/ イメージスキャナ/ リモコン付きレーザーポインター/ デジタルカメラ/ 外付けスピーカー
- 4 プロジェクターが入手できないときの強い味方
- S端子による出力/ ダウンスキャンコンバーター/ テレビモニタを使っても実物投影機やデジカメ授業は十分可能
- 物欲コラムA 「マグネットスクリーン」
- 5 プロジェクターを活用した授業作り【国語授業編】
- 1 国語授業は簡易デジタル教科書で
- eスクール「簡易デジタル教科書授業の実際」
- 2 新出漢字は漢字ドリルデータで
- eスクール「漢字ドリル電子黒板授業の実際」
- 物欲コラムB 「電子黒板mimioインタラクティブ」
- 6 プロジェクターを活用した授業作り【算数授業編】
- [1] プレゼン作って提示。簡単算数授業
- [2] プレゼンデータでワークシート作成
- [3] 枠やグラフ,投影して記入
- [4] 三角定規・分度器・ストップウォッチを投影
- 物欲コラムC 「ジェルジェットプリンタとレーザープリンタ」
- 7 プロジェクターを活用した授業作り【社会授業編】
- [1] ワークシートを作り,そのまま提示
- [2] 実物投影機上でそのまま授業
- [3] 調べ学習はウェブにまとめて発表
- [4] 歴史マンガを電子紙芝居で投影
- 物欲コラムD 「ジャストスマイル3R2」
- 8 プロジェクターを活用した授業作り【理科授業編】
- [1] ワークシートでらくらく授業
- 物欲コラムE 「マウス機能付きリモコンレーザーポインター」
- [2] インターネットのデータをスクリーン投影
- 物欲コラムF 「2.4GHzワイヤレスマウス」
- [3] 月や星の学習はソフトでらくらくシミュレーション
- [4] 顕微鏡も双眼実体顕微鏡もプロジェクターで
- [5] キットものの製作は実物投影装置で拡大
- [6] ビデオもDVDもプロジェクターで観よう
- 物欲コラムG 「マイクロSDカードリーダーストラップ」
- 物欲コラムH 「プロジェクターカート」
- 9 プロジェクターを活用した授業作り【体育・図工・音楽授業編】
- [1] なわとびのプロフェッショナルに学ぶ
- [2] 水泳やマット運動のフォームを撮影し投影
- [3] 楽譜やDVD映像,曲のイメージを投影
- [4] 鑑賞作品,参考作品を撮影し投影
- 10 学校行事にプロジェクター活用編
- [1] 児童会行事,報告会,一斉指導に超便利
- [2] 劇の背景はプロジェクターで投影
- [3] フォトシネマで思い出の画像を映画のように
- おわりに
はじめに
授業というのは教師が黒板にチョークで説明を書き,それを子どもたちが解いたり書き写したりする……という形式を多くの方々が「定番」として了解されていることでしょう。実際,黒板は19世紀初頭にフランスで開発され,日本には寺子屋時代に「塗板」として活用されていたということです。学制発布(1872年)の頃,アメリカから伝わり,それ以降百数十年,学校における資料の提示媒体として日本の学校に定着してきました。その間,掛け図やスライド,OHP,OHC,ホワイトボードなど,黒板に付加する,もしくは代わりになり得る提示媒体も登場しましたが,最終的にはあくまでも補助的扱いに過ぎず,「黒板とチョーク」は21世紀も学校においてはまったくの定番であることに変わりはありません。
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ようやく1990年代,学校に液晶プロジェクターが配置され始めました。視聴覚教室の高価な液晶プロジェクターのランプがだんだん明るくなり,スクリーンにパソコン画面が投影されたときの感動は忘れられません。こちらが「見せたい」と思ったものが多くの児童生徒に一斉に見せられるのです。これを授業に使わない手はない……。情報担当や視聴覚担当教員の多くがそう思ったはずです。ところが初期の液晶プロジェクターはスイッチを入れてから実際に投影されるまでのタイムラグがとても長く,数分待たなければなりません。また,明るさも今のものと比べ格段に暗く,電灯を消し,カーテンを引く必要があります。もちろん高価な液晶プロジェクターを数台も準備できるはずがなく,教室で投影するなどもってのほか。子どもが触る,ふざけるとなると壊される危険性からできるだけ遠ざけようとしてしまいます。かくして液晶プロジェクターの活用はオープンスクールなどの行事や学習発表会の投影,卒業式の「入学した頃の写真」などのイベントにのみに使われ,授業では視聴覚教室やパソコン教室で行われる「特別な授業」のみ。教室で使われることはまずまれで,せいぜい得意な教員が参観日や研究授業にやはり「特別」に移動させて観衆効果を高めるのに用いる程度になってしまっています。やはり「黒板とチョーク」の現状は21世紀になってもそう大きく変わっていないのです。
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その間にパソコンの進歩は驚異的に進みました。インターネットにつなげばパソコンが即電子博物館になり,シミュレーションや検索機能で授業中に「なぜ」「どうして」と疑問があったり,ちょっと先生がわからないところがあってもすぐに探し出せるようになりました。プレゼンテーションソフトウェアの普及でページをめくるようにパソコン画面を次々に映し出し,流れるようなスライドショーも簡単に作成できます。
また,実物投影装置や書画カメラも進歩し,小さな物でも置けばそれを教室中の子どもが大きく見ることができます。カラーの挿絵や子どものノートも瞬時に映し出せ,フリーズ機能で一度画像として取り込むこともできます。ピントもすぐに合い,光源付きで明るく提示できる物も安価になりました。それだけに簡単に導入できる液晶プロジェクターの普及が待たれたのです。「点灯に時間がかかる」「カーテンを閉めなければ映せない」「高価すぎて使えない」これらの問題点は少しずつ解消され,今では電源オンで30秒もしたら使える機種がほとんどです。明るさも2000lm(ルーメン)以上が定番となり,100万円前後した機械も今では数万円で購入できるものさえあります。たとえ,これらの最新機種がなくても倉庫の奥で眠っている液晶プロジェクターはないでしょうか。誰もが使わず敬遠している機械ならどんどん使い,授業に活用していくのが最も効率的で減価償却のできる形ではないでしょうか。今,まさに時機到来と考え,プロジェクターを使うとこのように授業が変わる……ということを中心にまとめてみました。個人的にそろえられる人もそうでない人も,環境が整えられる学校もそうでない学校でもいろいろな方策をとりながら「投影」することで授業をいかにダイナミックに,効率的に,準備に時間をかけずにICT活用を行うかを考えていけば意外と楽しんで行えるのではないかなと思います。「やる気があるけど予算がなくて」「自分でも導入できないこともないけどどうして使ったらいいのかわからなくて」「プロジェクターを使った授業にどんな利点があるのか今一つつかめなくて」そんな先生方がこの本を読んでいただくと,本当に「目から鱗」のように授業が劇的に変わっていくのが想像できると思います。「予算」「環境」「同僚や上司の姿勢」等,プロジェクター活用に向けていろいろと困難な状況も想像されますが,それを補ってもあまりある効用がこの機械には隠されていると確信します。ぜひ全部とは言いません。1つでも2つでもできることから少しずつ活用していってください。自分でできるもの,予算をつけてもらえるもの,チームで取り組んでいくもの,構えはいろいろですが,「劇的に授業が変わる」「時間短縮と効率化につながる」「観衆効果は抜群」そういった良い点を期待しながら少しずつ強化されたらと思います。筆者とて,もちろん全部を一度にできたわけではありません。予算をつけられたりお金をいっぱい持っているわけではありません。それでも何とかしていこうという気持ちがあれば1年に1つずつでも先に進めることができます。そして仲間を作ることができます。最後には上司や委員会を説得することができます。そんな道のりも随所に織り交ぜながら取り組みをまとめてみました。ぜひ,できそうなところから読んでいき,できそうなところから実践してみてください。「劇的な変化」を期待してやみません。
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2009年7月 著者 /國眼 厚志
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- 明治図書
- この本、おもしろいです。プロジェクターは学校にありますが、こんな使い方ができるなんて思ってもいませんでした。今、誰も使っていないので私が一人独占できるかも…。みんなが同じことを考えると困るのでこっそり使おうと思います。いろいろな実践が書いてあるのでこのままやってみようと思います。2009/9/17まこ
- 買いました。読みました。プロジェクターが欲しくなってすぐに注文しました。プロジェクターってかなり安くなっているんですね。この本を読むまで知りませんでした。早くプロジェクターがきて本の内容を実践するのが楽しみです。2009/9/16max