- はじめに
- 本書に登場する山有谷有小学校の先生たち
- 第1章 学級開き
- イクミ先生、山有谷有小学校に配属される
- 1 先生の自己紹介
- 2 子ども同士の自己紹介
- 3 子どもの実態把握
- 4 一年間の見通し
- 5 学級目標の設定
- 6 教室の環境づくり
- 第2章 学級経営
- イクミ先生、4年2組の担任となり奮闘する
- 1 係と当番
- 2 給食指導・清掃指導
- 3 連絡帳・提出物
- (1) 連絡帳と連絡手段
- (2) 提出物とその対応
- 4 休み時間の過ごし方
- 5 席替え
- (1) 実施のタイミング
- (2) 子どもの席の配置
- 第3章 子ども対応 保護者対応
- イクミ先生、日々のトラブルに立ち向かう
- 1 ケンカについて
- (1) 対応
- (2) 子どもの中での解決
- (3) トラブル後
- 2 いじめについて
- 3 保護者対応
- (1) 参観
- (2) 個人面談(懇談)
- (3) トラブル報告
- 4 先生と保護者の距離感
- 5 クレーム対応
- 第4章 職員室の人間関係
- イクミ先生、先輩先生に悩みを相談する
- 基本は「報・連・相」
- スキマページ
- 連絡帳のあるある話
- ヒモとおし
- 書写の半紙の貼り方
- カドとりパンチ
- すてきの木を育てよう
- 通知表(あゆみ)のわたし方の例
- 学級通信のあれこれ
- 休み明けのモチベーション
- 先生のポーチ
- ノートのコピー
- 学級納めのあれこれ
- ファイルボックスorブックスタンド
- 先生の名札のかけ方の話
- 気づかいとやさしい声かけのタネまき
- おわりに
はじめに
「『先生』という仕事は、少し特殊なお仕事」。私はそう思っています。
多くの人が教師を志すきっかけは、これまでの経験の中での子どもとの関わりや、心に残る恩師との出会いが多いのではないかと思います。そんな経験を胸に、「先生になりたい」と夢を描き始めた時、真っ先に頭に浮かぶのはきっと「子どもたちと向き合う姿」ではないでしょうか。もちろん、それは教師の大切な役割の一つです。しかし、現実の「先生」の仕事はそれだけではありません。
現在、日本には、小学校教員が約四十万人、中学校教員が約二十五万人います。もし学校を企業にたとえるなら、これほどの人材を抱える組織であれば、入社後にしっかりとした研修期間があるのが普通でしょう。ところが、学校現場は違います。研修やサポートはあるものの、四月に教室で子どもたちを前にした瞬間、授業は一人で進めなければなりません。初めて教える教科であっても、です。
さらに、教師の仕事は授業だけにとどまりません。学級経営、行事の企画、保護者対応、広報、経理、分析……まるで企業の複数部署を一人で担っているかのようです。経営=学校経営・学年経営・学級経営、人事=学級編成や席替え、経理=学級費や教材費の管理、広報=学級通信やホームページ更新、企画=行事の選定や授業準備。これらを並行して進めるのが教師の日常です。
加えて、時にはケンカの仲裁をし、怪我の手当てをし、嘘を見抜き、苦情を受け止めることだってあります。初任者研修で耳にする「教師五者論(学者・医者・易者・役者・芸者)」は、決して誇張表現ではないと言えるでしょう。教師に求められるスキルは、実に多岐にわたります。こうした業務を前に、何を優先し、何を後回しにするのか。どこに力を注ぎ、どこで肩の力を抜くのか。これはベテランの先生であっても迷うことがあります。
ましてや初任者ならなおさらです。しかし、子どもや保護者にとって「あの先生は初任だから」ということは知りえないことですし、当然忖度はありません。初任・ベテランといった肩書きに関係なく、いきなり同等のクオリティが期待されるのが「先生」という仕事です。もちろん、同僚や管理職は経験年数を考慮して接してくれるでしょう。だからこそ、学べる期間にしっかり頼り、教えてもらい、実践し、反省し、準備を繰り返すことが大切です。先生という仕事は、決して一人で抱え込むものではありません。むしろ、仲間と呼べる同僚の先生方と共に学び続けることで、その奥深さとやりがい、楽しさを実感できる仕事ではないかと思っています。
冒頭、いきなりプレッシャーのかかることを書きましたが、この本で「先生の仕事は大変だよ」と言いたいのではありません。むしろその逆で、「先生という仕事のリアル」を盛り込みながら「これ、もう少し早く知っていたら、もう少しは気持ちが楽になったかもなぁ」といったノウハウ……当たり前のことだったり、すぐに使える小ネタだったり、ちょっと悩んだり困った時、気軽な気持ちでページをめくってもらえれば……という思いで書き進めてきました。
また、昨今はChatGPTなどAIがとても優秀です。AIに聞けばそれなりの「答え」がちゃんと文章となって返ってくるでしょう。そのため本書では、わざわざ本を手に取らずとも「AIに聞けばいい」とならないよう、活字だけでは伝わらないニュアンスをより印象深く残してもらえれば良いな、との思いから文章に加え、マンガという表現方法を選んでいます。
これから先生を目指す方にも、既に現場に立っていらっしゃる先生方にも、この本が何か一つでも「これ、使えそう」とヒントになったり、「そうそう、それ、大切だったな」と思い返したりするきっかけになれば大変うれしく思います。
二〇二六年三月 /笠岡 睦史
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明治図書















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