- はじめに
- 本事典の立体的構成と活用法
- 第1部 学力向上の基盤になる基本理念と用語
- 1 言語観
- 2 言語機能
- 3 国語科教育の基本的性格
- 4 国語教育思潮
- 5 理論と実践の統一(言語行動観)
- 6 よい授業の条件
- 7 波及性
- 8 国語科教育と人間形成
- 9 国語科における基礎・基本・統合
- 第2部 国語科研究法
- 第1章 指導計画作成法
- ■指導計画作成法
- 1 指導計画の作成
- ■基礎・基本的事項の精選
- 2 系統化
- 3 精選
- 4 表現力の基礎・基本
- 5 理解力の基礎・基本
- 6 言語事項(基礎)
- 7 能力の系統表
- 〔言語事項の指導系統表〕
- 〔表現領域の指導事項の系統表〕
- 〔理解領域の指導事項の系統表〕
- ■児童の言語能力の把握
- 8 児童の能力
- 9 児童の習熟の程度
- 10 学校の実態
- 11 保護者・地域の実態
- ■指導計画作成の方法
- 12 指導計画作成の手順
- 13 指導事項の精選
- 14 教材の精選
- 15 単元
- 16 領域別指導時数
- 17 指導計画作成上の配慮事項
- ◇音声言語指導の重視
- ■話すこと・聞くこと
- 1 話題
- 2 必要感と伝え合う喜び
- 3 順序よく話す
- 4 筋道を立てて話す
- 5 的確に話す
- 6 資料や情報機器の活用
- 7 大事なことを落とさずに聞く
- 8 話の中心に気を付けて聞く
- 9 相手の意図をつかみながら聞く
- 10 話題に沿って話し合う
- 11 相違点や共通点
- 12 計画的に話し合う
- 13 話すとき・聞くときの態度(非言語)
- 14 スピーチ・発表(ポスターセッション・プレゼンテーション)
- 15 対話・会話・インタビュー
- 16 話し合い活動(ディベート・バズセッション・討論会・パネルディスカッション)
- 17 メモ(聞き取りメモ、発表メモ)
- 第2章 国語科指導法
- ■指導過程
- 1 指導法
- 2 表現の指導過程
- 3 理解の指導過程
- 4 言語事項の指導過程
- 5 関連の指導過程
- 6 「わかる・かわる・できる」の指導過程
- ■指導技術
- 7 範読
- 8 指名読み
- 9 読み聞かせ
- 10 比べ読み
- 11 文図法
- 12 問答法
- 13 心情曲線法
- 14 吹き出し法
- 15 書き込み法
- 16 討議法
- 17 サイドライン法
- 18 小見出し法
- 19 さし絵の利用
- 20 カードの利用
- 21 動作化
- 22 劇化
- 23 ペープサート
- 24 机間指導
- 25 口頭作文
- 26 共同作文
- 27 板書
- 28 発問(指導、支援、指示、助言)
- 29 ノート指導
- ■指導形態
- 30 一斉指導
- 31 グループ指導
- 32 個別指導
- 33 能力別指導
- 第3章 授業研究法
- ■授業研究法
- 1 授業研究法
- 2 教材研究
- 3 内容価値
- 4 意味構造
- 5 文章構造図
- 6 中心技能
- ■教材研究の実際
- 7 生活文(表現)
- 8 観察記録文(表現)
- 9 意見文(表現)
- 10 物語(理解)
- 11 詩(理解)
- 12 論説文(理解)
- ■教材開発例
- 13 段落の続き方を考えて書く教材開発例
- 14 入門期の教材開発例
- 15 発音・発声の教材開発例
- 16 視写の教材開発例
- 17 聴写の教材開発例
- 18 言葉遣いの教材開発例
- 19 朗読の教材開発例
- 20 報告文の教材開発例
- 21 意見文の教材開発例
- 22 文語調の教材開発例
- ■指導案作成
- 23 学習指導案作成の手順
- 24 指導案における目標の立て方
- 25 教材研究の位置付け方
- 26 指導計画
- 27 本時の展開
- 28 評価(指導案)
- ■指導案例
- 29 表現力を高める指導案例
- 30 理解力を高める指導案例
- 31 言語事項を定着させる指導案例
- 32 「わかる・かわる・できる」過程の指導案例
- 33 関連指導を考慮した指導案例
- ■授業分析
- 34 授業分析の目的
- 35 授業分析の視点
- 36 授業記録の取り方
- 37 授業の再構成
- 第4章 習熟度別評価法
- ■評価法
- 1 評価
- 2 診断的評価
- 3 形成的評価
- 4 総括的評価
- ■評価の実際
- 5 実態調査
- 6 関心・意欲・態度の評価
- 7 単元の評価
- 8 一時間の授業での評価
- 9 学習と評価の一体化
- 10 評価規準・評価基準
- 11 チェックリスト
- 12 相互評価
- 13 自己評価
- 14 面接法
- 15 質問紙法
- 16 観察法
- 17 作品による評価
- 18 客観テスト法
- 19 論文体テスト
- 第3部 参考資料
- 基本用語一覧
- 平成17年度版 領域別各社教材分類一覧
- あとがき
- さくいん
はじめに
授業力向上に直接役立つ基本用語を厳選し立体的に構成
――学力向上に役立つ教師の授業力――
21世紀を拓く教育は、質的に大きく転換しなければならないといわれている。深く思索する子供の育成を目指す時代の到来である。
私たち日々子供に接している実践者が、教育内容を充実し、質的に向上させるにはどうしたらよいだろうか。それは、いうまでもなく、毎日実践している授業の質を高め、充実させることである。
その具体的方策として、先生方が国語力を高め、指導力を練磨し、人間としていかに生きるかを目指して人間力を向上させることであると信じている。
国語科において、よい授業を創造するための条件はいろいろ考えられる。
第一の条件は、「生き生きと言語行動を展開する過程で確実に基礎的技能・基本能力・統合発信力を獲得させる」ことである。
第二の条件は、価値ある目標を達成するプロセスで学習者が「自己変容変革あるいは自己実現を目指し、学びがいや生きがいを発見する」ことである。つまり、わかるだけでなくかわる学習であり、更には変容する過程にとどまるだけでなく、できる自信をもつ学習でありたいものである。学習者ができる自信をもったとき、達成感を満喫できる授業となる。
第三の条件は、だれがみても「生きて働く国語力」が的確に身についたと確認できる科学性や客観性と、授業者の個性や着想、あるいは人柄がにじみ出るような独創性が調和していることである。すなわち、「客観性と独創性が調和」し、だれでもできる授業を組み立てることである。
これらの条件を整えた授業は深みや厚みが増して共感・感動を喚起し魅力的なものになるはずである。
このようなよい授業を創造するには、授業者として次のような知識・素養及び心構えが必要ではなかろうか。
○よい授業を展開するための基盤である「教育理念や言語観、国語教育の思潮並びに授業の原理・原則」等を理解する。
○国語科の指導法を「『指導過程』を中軸に『指導技術』と『指導形態』を有機的に秩序化」した視点から把握する。
○教材研究を指導案作成に生かし、それを授業に具体化し、更に授業分析を行い、よりよい授業を再構成する。つまり「教材研究指導案作成授業研究」のサイクルを確実に踏んだ研究法を重視する。
○新しい評価は「学習と評価の一体化」を目指し「自己実現や自己変革を評価する」ことである。この理論を国語科授業に導入し具体化する。
これらの事項をどのような手順で習得したら質的に高い授業ができる教師になり得るか……その願いを実現するためには、よい授業創造の基本的事項(用語)を厳選し、体系的、構造的に把握することが肝要である。
本事典は、以上のようなことを根底に置いて企画編集したものである。
「教師は授業で勝負する」あるいは「授業は教師の生命である」ともいわれている。
しかし、現実においては、授業研究に必要な理論や方法が確立されておらず、大部分の教師が暗中模索の状態で、よい授業の実現に苦慮している。
本事典は、自分の授業を分析・反省し、質的に高い授業を創造するために、授業者として、あるいは教師として何を研究すべきかを明確にする場合にも役立つ。また、授業を展開するとき、どのような部門や領域について調査すればよいかも明確になる。
私たちは常に、よい授業ができるという自信と誇りをもちたいという願望を抱いているはずである。
また、よい授業ができるということは、教師の生きがいであり喜びである。
本事典を活用することによって一人一人の子供に真の学力が獲得され、先生方の国語力・教師力・人間力が向上するものと確信し期待している。
中京女子大学名誉教授・全国小学校国語教育研究会名誉顧問
/瀬川 榮志
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- 明治図書