- はじめに
- 第1章 子どもの思考をゆさぶる発問・指示テクニックの基礎基本
- 1 「発問」・「指示」は「実態」「すがた」「学習量」
- 2 「発問」と「指示」はセットで効果が倍増する
- 3 よい「発問」・「指示」は子どもたちの「学びに向かう力」を支える
- COLUMN 「1個見て10!」で意図的に「問題発見能力」を育成しよう
- 第2章 場面別 発問・指示テクニック
- 学習前の子どもの実態を把握する場面
- みんなは,どうですか?(みんなのおうちではどうですか?)
- ワークシートの○○に,見てわかったことを○個書きましょう
- 学習問題を把握させる場面
- そもそも,○○ってどういうことですか?
- ○○は何位ですか?
- 昔,○○はどうだったのでしょうか?
- 資料を見て,思ったことを10個以上書きましょう
- ○○が増えている(減っている)秘密は何でしょう?
- ○○にどうなってほしいですか?
- 資料・教科書活用の場面
- この資料の題名は何ですか?
- 資料を絵にしてみましょう
- この資料,今はどうなっているでしょう?
- 不思議だと思うところに,線を引きましょう
- イラスト・写真に,セリフ(コメント)を入れましょう
- この資料,たりないところは何でしょう?
- みんなが住んでいる地域とどのように違いますか?
- 教科書を汚そう!
- 調査活動の場面
- みんな(自分)が知りたいことは何ですか?
- 何を使って調べますか?
- ○○である証拠はあるでしょうか? ○○は本当でしょうか?
- (見学・インタビューで)最初に何と言いますか? 練習しておきましょう
- (見学・インタビューで)知りたいことは何ですか?
- 見たこと,聞いたことを全部書きましょう
- 一番○○と思ったことを書きましょう
- 近くに似たような場所はありますか?
- 読んだ人がすぐに納得するまとめ方はどんな方法ですか?
- 発表の場面
- 書いていることを2回言ったら座りましょう
- ご近所と考えを交流しましょう
- 全員立ちましょう。自分の考えが少しでももてたら,座りましょう
- ▲▲さんの列,○○さんから発表しましょう
- 思考を焦点化・広げる場面
- どこを見て仕事をしていますか?
- ○○さんが伝えたかったことは何でしょう?
- それって本当ですか? なぜ?
- ○○ではどうでしょう?
- あなたが○○だったらどうしますか?
- ○○は何を思って行動したのでしょう?
- 思考を整理・深める場面
- 消防士と警察官,同じところ(違うところ)はどこですか?
- ずっと消火について考えているのでしょうか?
- 警察官が出勤することで喜ぶ人,助かる人は誰ですか?
- 自動車づくりには何人の人が関わっているのでしょうか?
- でも,○○はどうしたらよいですか?
- みんなが笑顔になる工夫は,何でしょうか?
- ペア・グループ活動での場面
- 話合いの前にノートを見せ合ってみましょう
- ○や×,一言だけでもいいですよ
- まとまらなくてもいいから,意見をまとめましょう
- 友達の意見を発表しましょう
- 友達の意見と自分の意見,同じところと違うところをまとめましょう
- ノート指導の場面
- メモでもいいですよ
- ナンバリングで書きましょう
- オリジナルキャラを活躍させましょう
- 「やっぱり」「すごい」「なぜ」と思ったことを書きましょう
- つまずいている子への指導の場面
- 少しでも書いていたら大丈夫ですよ
- 教科書に書き込むだけでも大丈夫ですよ
- どのようなことができるようになりたいですか?
- 教科書のあなたの考えと同じところに○をつけましょう
- あなたと同じ考えの人は誰ですか?
- 先生が代わってもいい? 後で教えてね
- まとめの場面
- ○○でも同じことがいえますか?
- もっと短い言葉を使うなら,どんな言葉を使いますか?
- あなたはパン工場の工場長です。どんな工場をつくりたいですか?
- 黄色で書いたキーワードを使ってまとめましょう
- 振り返りの場面
- (ノートを見返しながら)よくわかった,頑張ったところに★をつけましょう
- わからないところはどこですか?
- 社会科の勉強以外で活かせることは何ですか?
- 自主活動を広げる場面
- 他にはないでしょうか?
- みんなが住んでいる近くにも○○はあったでしょうか?
- おや,ごみ収集車の音だなあ
- 先生もわかりません。調べてみるよ
- おわりに
- 参考文献
はじめに
社会科は,人気がない教科です。「教えにくい」などの理由で,教師にとって教えることが苦手な教科に選ばれるという不名誉な事実もあります。
しかし,子どもたちは,社会的事象を知ったり,考えたりすることは大好きです。池上彰氏の日本や世界の社会情勢を特集した番組の視聴率もよいようです。氏の番組は,大人も「なるほど」「これから先,どうなるのだろう」と思わず食いついて見てしまうほど,面白く「構成」されています。そう,社会的事象を対象者が興味をもてるように「構成」しているのです。その「構成」が,学校教育でいえば「授業」です。社会科は,社会的事象(社会科として教える内容)を授業として構成することが難しいと思われています。上田薫氏は次のように述べています。
「社会科は決してむずかしい教科ではありません。教師の考えかた,心のもちかた1つで社会科の授業はすばらしく張り合いのある楽しいものになるはずです」「社会科という教科が生まれて25年にもなるというのに,自信をもって指導にあたっている社会科教師の数は,ごくごくすくないといっていいようです。その理由は,社会科がむずかしい教科だということにあるでしょうが,すくなくともそのむずかしさの半ばは,教師自身がつくり出したものだと言わなくてはならぬように思えます」
(『社会科わかる教え方 1・2年』国土社,1972年)
子どもたちは,社会(世の中の情勢など)が大好きなのに,それが社会科という教科になると,嫌いになる。それは教師の授業の「構成」の仕方が原因です。授業を構成する時の最大のポイントは,「発問」・「指示」をどのように考え,授業に組み入れていくかということです。
では,実際にどのように「発問」・「指示」を考えれば,子どもも教師も「大好きな社会科」の授業になるのか。さあ,一緒に考えていきましょう。
2022年8月 /松森 靖行
授業でもいくつか活用しました。子どもたちの学びが深まる様子が見られました。