- はじめに
- 第1章 特別支援教育コーディネーターの仕事がうまくいくポイント
- 01 特別支援教育コーディネーターとして上手につながる
- 02 通常の学級の担任の先生と上手につながる
- 03 困っている子と上手につながる
- 04 保護者や関係する人たちと上手につながる
- 第2章 特別支援教育コーディネーターの仕事がうまくいくスキル60
- 担任の先生とつながる
- ■担任の先生とのかかわり方
- 01 話題から相手の思いをくみとるスキル「いい話か,悪い話か」
- 02 相手の思いをつかんで話すスキル「今日のオーダーは?」
- 03 いっしょに考えるスキル「無理に背伸びしない」
- 04 実践につながる話をするスキル「どうしていこうか?」
- 05 落ち込んでいる先生を励ますスキル「うまくいかなくて当然」
- 06 担任の力を引き出すスキル「あなたしかいない!」
- 07 担任の先生に寄り添うスキル「やっぱり担任は大変ですね」
- 08 担任の先生の苦労を推し量るスキル「今,どれくらい大変?」
- 09 子どもとの相性に気づかせるスキル「あなたのタイプは?」
- 10 歩み寄る態度を引き出すスキル「合わせるのはどっち?」
- 11 担任の力の大きさに気づかせるスキル「原因はあなたです!」
- 12 先生と子どもの関係性をつかむスキル「タテかヨコか」
- 13 担任の先生の指導の傾向をつかむスキル「アリかキリギリスか」
- ■子どもについてのアドバイスの仕方
- 14 迷っている対応を整理するスキル「めがねをかけますか?」
- 15 子どもと担任の先生をつなぐスキル「2人だけの物語」
- 16 子どもと子どもをつなぐスキル「あなたのおかげで」
- ■学級づくりへのアドバイスの仕方
- 17 担任の先生と学級の関係を見るスキル「立体モデルで考える1」
- 18 落ち着かないクラスに助言するスキル「今,何をする時間?」
- 19 まわりがつられているクラスに助言するスキル「2人目が大事」
- 20 バラバラなクラスに助言するスキル「快速電車の待ち合わせ」
- 21 堅苦しいクラスに助言するスキル「立体モデルで考える2」
- 22 同調性が強いクラスに助言するスキル「同じよりオンリーワン」
- ■授業づくりへのアドバイスの仕方
- 23 担任の先生の話し方に助言するスキル1「指導言に注目」
- 24 担任の先生の話し方に助言するスキル2「評価言に注目」
- 25 やる気を促す授業を提案するスキル「どの跳び箱を跳ぶ?」
- 26 満足感のある授業を提案するスキル「楽しくなければ授業ではない」
- 27 見通しのもてる授業を提案するスキル「授業のゴールは?」
- 28 感じよく授業の助言をするスキル「あなたの強みは…」
- 困っている子とつながる
- ■子どもの見方
- 29 その行動の背景を探るスキル「その前に何があった?」
- 30 その行動の目的を探るスキル「その後に何があった?」
- 31 その子の行動の状況を探るスキル「いつ,どこであった?」
- 32 子どもの行動の要因を見取るスキル1「悪気はない,繊細なだけ」
- 33 子どもの行動の要因を見取るスキル2「悪気はない,鈍感なだけ」
- 34 子どもの特性に着目するスキル「マルチ知能の8つの力」
- ■子どもとのかかわり方
- 35 すばやく子どもとつながるスキル1「まずは,友達から」
- 36 すばやく子どもとつながるスキル2「誕生日に何もらった?」
- 37 ちょうどいい距離感で話すスキル「同じ方を向きながら…」
- 38 まずは相手に共感するスキル「それなら仕方ない」
- 39 子どもの気持ちを前に向かせるスキル「さりげなく言い換えて…」
- 40 隠れた思いを引き出すスキル「本当の気持ちはどうなの?」
- 41 担任の先生への不満を受け止めるスキル「代わりに伝えておこうか?」
- 42 主役を担任の先生にするスキル「いつも担任ファーストで」
- 保護者とつながる
- ■保護者とのかかわり方
- 43 チームで保護者とかかわるスキル「2人でかかわる」
- 44 保護者の不安・不満を受け止めるスキル1「そこは私たちが…」
- 45 保護者の不安・不満を受け止めるスキル2「そこは担任に…」
- 46 保護者に指導・助言をするスキル「そこはおうちで…」
- 47 保護者と継続的にかかわるスキル「次回の予定は?」
- 48 子どもの将来に目を向けるスキル「たかが学校,されど学校」
- 49 保護者の行動を促すスキル「私たちができるのは…」
- 職員室でつながる
- ■個別の指導計画の作成の仕方
- 50 個別の指導計画を作成するスキル「まずは大事なことだけ」
- 51 個別の指導計画を活用するスキル「何をして?どうなった?」
- 52 個別の指導計画を生かすスキル「いつ書くか?いつ読むか?」
- ■校内委員会やケース会議の仕方
- 53 話の内容を焦点化,共有化するスキル「見える化して話す」
- 54 会議や相談を長引かせないスキル「終わりの時間を明確に」
- 55 何をやるかまで決めておくスキル「途中で放り出さない!」
- 56 話し合いの後までサポートするスキル「アフターサービスまで」
- ■先生たちとのかかわり方
- 57 管理職とつながるスキル「自分をコーディネートする」
- 58 特別支援教育支援員に指導・助言するスキル「子どもになってみて」
- 59 合わない人とかかわるスキル「子どもも大人も同じ」
- 60 先生たちに相談に来てもらうスキル「いつも暇そうに」
- おわりに
はじめに
特別支援教育コーディネーターだからできる学校づくり
特別支援教育が実施されて以降,通常の学級の担任をしながら,ほぼ毎年,特別支援教育コーディネーターを務めてきました。その間,生活指導主任や教務主任も務めましたが,私の中での一番を占めていた校務は,特別支援教育コーディネーターでした。
特別支援教育コーディネーターにこだわった理由は,この仕事には,学校で過ごす多くの人たちを笑顔にできるという力を感じていたからです。
小学校が大好きで,そこで過ごす人たちは,子どもたちはもちろん,先生たちも,保護者の方々も,みんな笑顔でいてほしいと願っています。
しかし,残念ながら学校には,不安な顔,辛い顔,苦しい顔で過ごす人たちもたくさんいます。その顔を笑顔に変える手伝いができるのが,特別支援教育コーディネーターです。特別支援教育コーディネーターならば,担任している自分のクラスの子どもたちだけでなく,学校のみんなとかかわることができます。だから,困っている子どもや苦しんでいる先生たちの顔を笑顔にできるかもしれません。特別支援教育コーディネーターという仕事にそんな魅力を感じて,今日までこの仕事を続けています。
人をつなぐこと,人とつながること
さて,特別支援教育は,現在,インクルーシブ教育システムの構築という方向に舵をとっています。ただ,特別支援教育にしても,インクルーシブ教育にしても,目指すところは共生社会の形成です。「多様性」や「違い」が受け止められ,みんなが共に過ごす学校や社会をつくるために,今,必要なことは,人と人とのつながりです。子どもも大人もつながり合うことです。
そう考えると,学校に携わる多くの人を「つなぐ」こと,多くの人と「つながる」ことが役割である特別支援教育コーディネーターの仕事が大きな意味をもつものだと感じます。
誰でもできるちょっとしたコツ
本書では,私がこれまでに特別支援教育コーディネーターの仕事をしながら培った「つなぐ・つながる」ためのちょっとしたスキルやコツを紹介しています。
ただし,ここで示したスキルやコツが全て必要だということではありません。私のように,学校の中核にいながら特別支援教育コーディネーターの仕事を長く行う人もいれば,校内事情で初めて特別支援教育コーディネーターを担う人もいることでしょう。特別支援教育にそれほど詳しくないのに,特別支援教育コーディネーターに指名されてしまい戸惑っている人もいるかと思います。そして,多くの特別支援教育コーディネーターのみなさんは,自分の本務に加えて特別支援教育コーディネーターの仕事に携わっていることと思います。
そんなみなさんが,みなさんの立場でできることを見つけて,試してもらいたい。そんな思いで60のスキルを掲げました。
本書を読んだみなさんの学校で,今よりもほんの少しでも人と人とがつながり,そこから笑顔が生まれてくれれば幸いです。
著者 /田中 博司
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- 明治図書