- はじめに
- T 歴史人物から時代の“風”を読む
- 〜人物学習で育つ「学習意欲」,「習得」「活用」「探究」力〜
- 1 はじめに
- 2 人物から時代を読み取る〜「松尾芭蕉」を例に
- 3 人物から歴史に興味をもつ
- 4 事実から考える力を育てる
- 5 人物から時代背景やしくみを理解する
- 6 人物の建立したモノから時代背景や文化を理解する
- 7 お札の肖像画から時代を大観する
- 8 人物の銅像から業績,そして時代を大観する
- 9 人物学習から転移する活用力を育てる
- 10 人物学習から言語力を育てる
- U 「歴史人物42人+α」穴埋めエピソードワーク
- 歴史人物から時代が見える!エピソードワーク7つのポイント
- @ この人どんな人
- A 授業のポイント
- B 人物面白エピソード
- C もっと知りたい! 人物&資料
- D 「活用」「探究」型学習課題
- E 歴史人物穴埋めエピソードワーク
- F 流れをチェック
- 1 卑弥呼
- 2 聖徳太子
- 3 小野妹子
- 4 中大兄皇子
- 5 中臣鎌足
- 6 聖武天皇
- 7 行基
- 8 鑑真
- 9 藤原道長
- 10 紫式部
- 11 清少納言
- 12 平清盛
- 13 源頼朝
- 14 源義経
- 15 北条時宗
- 16 足利義満
- 17 尚巴志
- 18 足利義政
- 19 雪舟
- 20 フランシスコ・ザビエル
- 21 織田信長
- 22 豊臣秀吉
- 23 徳川家康
- 24 徳川家光
- 25 近松門左衛門
- 26 歌川広重
- 27 本居宣長
- 28 杉田玄白
- 29 伊能忠敬
- 30 ペリー
- 31 勝海舟
- 32 西郷隆盛
- 33 大久保利通
- 34 木戸孝允
- 35 明治天皇
- 36 高杉晋作
- 37 福沢諭吉
- 38 大隈重信
- 39 板垣退助
- 40 伊藤博文
- 41 陸奥宗光
- 42 東郷平八郎
- 43 与謝野晶子
- 44 小村寿太郎
- 45 野口英世
はじめに
小・中学校,高等学校における歴史という教科は,年代や人名,そして歴史的事項を覚える暗記力がものをいう教科と一般的には思われている。学校現場においても,その傾向が根強く残り,穴あきプリントに,歴史的事項や人名を書きこみ,それを反復しながら暗記させる授業も多い。また,中学校では,歴史の流れや因果関係を理解させるために,「なぜ」を問うことも多い。たとえば「なぜ聖武天皇は大仏をつくったのか」「なぜ秀吉は検地をおこなったのか」「なぜ日本はアメリカと開戦したのか」等の問いである。この方法は,歴史の本質や流れを理解させるために有効である。しかし,これらの問いは教師の側から,注入的に歴史を理解させる手法であり,学習者の側からすると,あくまで「ひとごと」である。この「ひとごと」から脱皮し,主体的に歴史の事実に向き合う授業が大切である。
「人物」を軸にした学習は,主体的に歴史にかかわることを可能にする。なぜなら,人物には,その人生にともなう「エピソード」や「業績」そして,時代と向き合う「選択」がある。「エピソード」や「業績」は,歴史への興味や意欲を喚起するだけでなく,そこから歴史の本質にせまることも可能である。とくに「選択」は,学習者を歴史の場面に臨場感をもって立たせ,「価値判断」することを可能にする。前述した発問で言えば,エピソードから歴史の本質にせまる手法は「普通の寺にあって東大寺にないものな〜に?」という問いである。「選択」ということでは「農民は検地帳に名前を書いてもらったほうがいいのか?」という問いである。
本書では「人物」を軸に,学習者の側から歴史を理解させる多様な実践事例を紹介した。本書の企画・作成に大きな力となったのは,長期休業ごとに100名程度の小・中,高等学校,大学の先生方と開催してきた「授業のネタ研究会」の蓄積による。ここで培った,教材発掘,授業構成の論議が,本書の基礎になっている。もちろん,「人物」でなくとも「絵」「写真」「モノ」「エピソード」「地域教材」等,切り口は多様にある。ここで強調したいのは,けっして「人物学習」を提唱したのではない。「人物」を軸に,学習者の側から授業を構成し,歴史の本質へとせまることが可能であることを例示した。本書が,小学校の「歴史人物学習」のみでなく,中・高等学校における歴史授業の変革の一助になればと考えている。
2009年12月 編著者 /河原 和之
現代の子供は歴史に興味をもってくれないので、
こういう本を子どもにやらせてみると、いいかも。
本当にいい本ですね。
ワークとしても結構いいかも・・・。
人物の面白ネタだけで終わらず、探究できる学習課題例や、人物を切り口に歴史の流れ・要点をチェックできる“考えさせる”ワークが秀逸。
授業のネタ本としても、授業プリントとしても使える良書です。