- まえがき
- 第T章 「思考力・判断力・表現力」をつける中学校社会科授業デザインの新視点
- (1)「思考力・判断力・表現力」重視の背景
- (2)「思考力・判断力」から「思考力・判断力・表現力」へ
- (3)「思考力・判断力・表現力」を育成する授業デザイン
- 「理解型」の授業デザイン/ 「説明型」の授業デザイン/ 「問題解決型」の授業デザイン/ 「意思決定型」の授業デザイン/ 「社会形成型」の授業デザイン/ 「社会参加型」の授業デザイン
- 第U章 「思考力・判断力・表現力」をつける中学校社会科地理授業の改革
- (1)これまでの地理授業と「思考力・判断力・表現力」
- (2)新たな地理の内容構成と「思考力・判断力・表現力」
- (3)地理的な「思考力・判断力・表現力」の育成方略の概観
- 第V章 「思考力・判断力・表現力」をつける中学校社会科地理授業の構成
- (1)社会科で重視すべき「思考力・判断力・表現力」
- (2)「思考力・判断力・表現力」の統一的育成
- (3)「思考力・判断力・表現力」をつける地理的分野の単元編成
- (4)社会科地理的分野における「思考力・判断力・表現力」の育成
- 第W章 「思考力・判断力・表現力」をつける単元別地理授業モデル
- 1 「世界の地域構成」授業モデル
- 世界の地域構成を視点をもって適切に表現する学習―小学校の学習内容を踏まえて―
- 2 「世界各地の人々の生活と環境」授業モデル
- 様々な地域の写真資料から考え,調べ,まとめる学習
- 3 「世界の諸地域」授業モデル@
- 「見方・考え方」を中核にした地誌学習―経済成長と消費に沸くアジア―
- 4 「世界の諸地域」授業モデルA
- 南米諸国の多様な人種民族構成の学習
- 5 「世界の地域調査」授業モデル
- ケニアの子どもに靴を贈ろう―「ハランベー」を伝えるための地域調査―
- 6 「日本の地域構成」授業モデル
- 世界的視野から多様にとらえ考える日本の地域構成の学習
- 7 「世界と比べた日本」授業モデル
- 統計資料の地図化とその分析を通した思考力の育成―産業から見た日本の特色―
- 8 「日本の諸地域」授業モデル@
- 中山間地域の観光に関する事例を思考し,これからの観光のあり方を表現する中国・四国地方の授業
- 9 「日本の諸地域」授業モデルA
- 動態地誌的アプローチを取り入れた「首都圏」と「身近な地域」の教材開発―首都圏のくらしと幕張ベイタウン―
- 10 「身近な地域調査」授業モデル
- 自信と誇りをもって参画・発信できる地域学習―安心院のグリーンツーリズムを事例に―
- あとがき
まえがき
2012(平成24)年4月より,新学習指導要領に基づく教育課程が中学校において全面実施となります。今回の中学校社会科改訂のポイントとなるキーワードの1つは,基礎・基本となる知識・技能を活用して課題を解決していくために必要な「思考力・判断力・表現力」の育成と言われています。それは,社会的事象や課題を単に知る・わかるだけでなく,その背景を熟考し,それに対する自分なりの意見や考えを持ち,それを表現しながら社会への参加・参画を考えていく力であると考えられます。
現在,全国各地の中学校においては,このような改訂の趣旨を踏まえながら,新しい授業開発の準備が進められているのではないでしょうか。この時期におけるこのような実践的課題に応えることを意図して企画されたのが,全3冊からなる『「思考力・判断力・表現力」をつける中学校社会科授業モデル』の本シリーズです。
シリーズの中の1冊である本書は,「思考力・判断力・表現力」の育成を視点としながら,中学校社会科地理的分野の単元別の授業プランの開発を意図して企画・編集されたものです。その特色としては,大きく次の3点を指摘することができます。
第1は,2009年3月に刊行した前著『「思考力・判断力・表現力」をつける社会科授業デザイン:中学校編』(2009年3月)の発展をねらいとしていることです。前著では,「資料から必要な情報を集めて読み取る」「社会的事象の意味・意義を解釈する」「事象の特色や事象間の関連を説明する」「自分の考えを論述する」という,「思考力・判断力・表現力」を育成するための主要な学習活動に着目して,地理・歴史・公民の各分野の典型的な単元の授業開発を試みました。幸いにも,前著については,多くの読者の先生方からのご支持を得ることができましたが,同時に,「さらに深く掘り下げた,単元別の授業プランが欲しい」との声も届けられました。本書の特色の1つは,それらの声に応えようとしていることです。
第2は,新学習指導要領に準拠した新しい教科書の内容に即して,「思考力・判断力・表現力」を育成する中学校社会科地理学習の単元ごとの授業プランを,系統的にまとめ提案していることです。そのために,今回は,わが国の地理教育に関する研究・実践を理論的にも実践的にもリードされている大分大学の永田忠道先生を共編者としてお願いし,永田先生を中心としたチームによる協同的な実践研究の成果としてもまとめてもらっています。
そして第3は,開発した各単元を,具体的な教材例,効果的な授業手法・活動の組み込み方,単元の指導目標と指導計画,単元の学習指導案モデル,子どもの育ちをとらえる評価規準(テスト例など)を加えて,具体的かつ実践可能なものとして開発していることです。
このような特色をもつ本書が,全国各地の教師による独創的な地理授業において活用されるとともに,「平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う」これからの優れた中学校社会科授業づくりのための参考文献の1つとなることを願っております。また,そのことを通して,多くの中学生が市民として成長してくれることを大いに期待したいと思います。
最後に,前著に続けて本書出版の機会を与えて頂いた明治図書出版,ならびに企画段階からきめ細かい助言をいただいた及川誠氏,編集のお手伝いをお願いした増渕説氏に対して,心よりの謝辞を申し上げます。
平成23年7月 /小原 友行
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- 明治図書
- 社会科研究において理論的にも実践的にも参考になりました。今の新指導要領にも通じています。2020/6/2830代・中学校教員
- いま求められる力を社会科授業でいかにして付けるのかを学べます。2019/10/2030代・中学校教員
- 各単元別モデルは、具体的な授業デザインまで示されていて、とても参考になるものでした。2019/1/2920代・中学校教員
- 読みやすかった2017/7/930代・中学校教員