- まえがき
- 第T章 「思考力・判断力・表現力」をつける中学校社会科授業デザインの新視点
- (1)「思考力・判断力・表現力」重視の背景
- (2)「思考力・判断力」から「思考力・判断力・表現力」へ
- (3)「思考力・判断力・表現力」を育成する授業デザイン
- 「理解型」の授業デザイン/ 「説明型」の授業デザイン/ 「問題解決型」の授業デザイン/ 「意思決定型」の授業デザイン/ 「社会形成型」の授業デザイン/ 「社会参加型」の授業デザイン
- 第U章 「思考力・判断力・表現力」をつける中学校社会科歴史授業の改革
- (1)「思考力・判断力・表現力」をつける歴史授業の4つのデザイン
- (2)「歴史事象の特色や事象間の関連を説明する」授業づくりの準備
- (3)「歴史事象の意味・意義を解釈する」授業づくりの準備
- (4)「歴史資料から必要な情報を集めて読み取る」授業づくりの準備
- (5)「歴史に対する自分の考えを表明する」授業づくりの準備
- 第V章 「思考力・判断力・表現力」をつける中学校社会科歴史授業の構成
- (1)「思考力・判断力・表現力」をつける社会科授業の構成要素
- (2)社会科の「授業の内容」と「思考力・判断力・表現力」
- (3)社会科歴史授業の「思考力・判断力・表現力」の育成
- 第W章 「思考力・判断力・表現力」をつける単元別歴史授業モデル
- 1 「古代までの日本@ 文明と環境」授業モデル
- 気候変動と心性から考える古代史の授業構想
- 2 「古代までの日本A 歴史のとらえ方―聖徳太子論争をめぐって」授業モデル
- 東アジアの動向の中で聖徳太子を考える
- 3 「中世の日本―律令国家とその変容」授業モデル
- 院政から武家政権の成立へ―古代から中世への転換期をつかもう―
- 4 「近世の日本@ 中世兵農未分離社会から近世身分制社会へ」授業モデル
- 越後の上杉氏からみる兵農分離
- 5 「近世の日本A 近世の世界と日本」授業モデル
- 17世紀オランダの覇権と江戸時代の日本
- 6 「近代の日本と世界@ 国民国家の形成と課題」授業モデル
- 地域教材を活用し,歴史認識を深めていく授業―社会科における言語活動を通して―
- 7 「近代の日本と世界A 国際的地位の向上と日本社会の変化」授業モデル
- 「モノ」「写真」「風刺画」「地図」から見る「日露戦争」の授業
- 8 「近代の日本と世界B 両大戦間期の日本」授業モデル
- “命題”をつくってみよう
- 9 「現代の日本と世界@ 冷戦と日本」授業モデル
- 「思考・判断・表現」活動を支援する学習材と学習指導デザイン
- 10 「現代の日本と世界A 現代世界と日本」授業モデル
- グローバル化した世界のなかで日本はどうすればいいか―TPPについて考えてみよう―
- あとがき
まえがき
2012(平成24)年4月より,新学習指導要領に基づく教育課程が中学校において全面実施となります。今回の中学校社会科改訂のポイントとなるキーワードの1つは,基礎・基本となる知識・技能を活用して課題を解決していくために必要な「思考力・判断力・表現力」の育成と言われています。それは,社会的事象や課題を単に知る・わかるだけでなく,その背景を熟考し,それに対する自分なりの意見や考えを持ち,それを表現しながら社会への参加・参画を考えていく力であると考えられます。
現在,全国各地の中学校においては,このような改訂の趣旨を踏まえながら,新しい授業開発の準備が進められているのではないでしょうか。この時期におけるこのような実践的課題に応えることを意図して企画されたのが,全3冊からなる『「思考力・判断力・表現力」をつける中学校社会科授業モデル』の本シリーズです。
シリーズの中の1冊である本書は,「思考力・判断力・表現力」の育成を視点としながら,中学校社会科歴史的分野の単元別の授業プランの開発を意図して企画・編集されたものです。その特色としては,大きく次の3点を指摘することができます。
第1は,2009年3月に刊行した前著『「思考力・判断力・表現力」をつける社会科授業デザイン:中学校編』(2009年3月)の発展をねらいとしていることです。前著では,「資料から必要な情報を集めて読み取る」「社会的事象の意味・意義を解釈する」「事象の特色や事象間の関連を説明する」「自分の考えを論述する」という,「思考力・判断力・表現力」を育成するための主要な学習活動に着目して,地理・歴史・公民の各分野の典型的な単元の授業開発を試みました。幸いにも,前著については,多くの読者の先生方からのご支持を得ることができましたが,同時に,「さらに深く掘り下げた,単元別の授業プランが欲しい」との声も届けられました。本書の特色の1つは,それらの声に応えようとしていることです。
第2は,新学習指導要領に準拠した新しい教科書の内容に即して,「思考力・判断力・表現力」を育成する中学校社会科歴史学習の単元ごとの授業プランを,系統的にまとめ提案していることです。そのために,今回は,わが国の歴史教育に関する研究・実践を理論的にも実践的にもリードされている新潟大学の児玉康弘先生を共編者としてお願いし,児玉先生を中心としたチームによる協同的な実践研究の成果としてもまとめてもらっています。
そして第3は,開発した各単元を,具体的な教材例,効果的な授業手法・活動の組み込み方,単元の指導目標と指導計画,単元の学習指導案モデル,子どもの育ちをとらえる評価規準(テスト例など)を加えて,具体的かつ実践可能なものとして開発していることです。
このような特色をもつ本書が,全国各地の教師による独創的な歴史授業づくりに活用されるとともに,「平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う」これからの優れた中学校社会科授業づくりのための参考文献の1つとなることを願っております。また,そのことを通して,多くの中学生が市民として成長してくれることを大いに期待したいと思います。
最後に,前著に続けて本書出版の機会を与えて頂いた明治図書出版,ならびに企画段階からきめ細かい助言をいただいた及川誠氏,編集のお手伝いをお願いした増渕説氏に対して,心よりの謝辞を申し上げます。
平成23年7月 /小原 友行
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- 明治図書
- 学術的で理論的な内容です。社会科のよい指導書の一つです。2019/10/2030代・中学校教員