- まえがき
- 第T章 「キー発問」とは
- 〜子どもを学習活動に導く発問づくり〜
- (1) 子どもの活動イメージをもった発問づくり
- (2) 「してはいけない発問」と「よい発問」
- (3) キー発問と授業の組み立てのポイント
- 第U章 小学校3・4年これだけははずせない「キー発問」アイディア
- 身近な地域や市の様子
- [1] <方位や主な地図記号>
- 「お気に入りがある場所」は,「どんなところ」と言えるか。
- ―学校のまわりの様子を方位や地図記号を活用して地図に表そう―
- 生産や販売の仕事
- [2] <地域の生産や販売>
- もし,「おすすめのお店」を開くとしたら,どのような工夫をすればいいのか?
- ―買い物をする人の願いを込めた「おすすめお店プラン」を発表しよう―
- [3] <地域の生産や販売>
- 「大切に育てられたほうれんそう」ということは,どんなことからわかるか。
- ―ほうれんそう農家のひみつを新聞にまとめよう―
- 住み良いくらしをつくる
- [4] <節水や節電など資源の有効な利用>
- 学校の1年間の水道代はいくらぐらいか。そのお金は何に使われるのか。
- ―「水節約プラン」を作ろう―
- [5] <社会生活を営む上で大切な法やきまり>
- ごみの出し方にきまりがあるのはなぜか。もし,きまりがなかったらどんな問題が起きるか。
- ―起こる問題を予想し,対策を考えよう―
- 災害や事故防止
- [6] <安全を守るための地域の協力>
- 誰が安全なくらしを守っているのか。
- ―警察や地域の人々の取り組みを安全新聞に書こう―
- 生活の変化や先人の働き
- [7] <地域の人々の生活の移り変わり>
- 昔のくらしのよさは何か。
- ―テーマ別に調べ,絵年表にまとめよう―
- わたしたちが住んでいる県
- [8] <47都道府県の名称と位置>
- 各都道府県の有名なものは何だろうか。
- ―47都道府県名と位置を知ろう―
- 第V章 小学校5年 これだけははずせない「キー発問」アイディア
- 国土と環境
- [1] <世界の主な大陸と海洋,主な国>
- 日本はどこに位置していると言えるか。
- ―「世界の中の日本」を表現しよう―
- [2] <我が国の位置と領土>
- どこまでが「日本」なのか。
- ―わたしたちの国の位置と領土を説明しよう―
- [3] <国土の地形と気候>
- 日本では春はどこからやってくるのか。
- ―日本の地形と気候を知ろう―
- [4] <特色のある地域の人々の生活>
- 雪の多い地域は住みにくいのだろうか。
- ―暖かい私たちの地域との共通点は何か―
- [5] <日本の国土と環境>
- 森林が減ったらどのようなことが起きるのか。
- ―森林を守るためにできることを考えよう―
- [6] <自然災害からくらしを守る>
- もし学区で洪水が起こるとしたらどこか。
- ―私たちにできる「防災取り組みプラン」を作ろう―
- 生活と食料生産
- [7] <わたしたちの生活と食料生産>
- 魚の値段には何の費用が入っているのか。
- ―水産業に携わる人々の工夫や努力を知ろう―
- [8] <わたしたちの生活と食料生産>
- このまま食料自給率が下がり続けたらどうなるのか。
- ―食料自給率を向上させる取り組みを知ろう―
- 生活と工業生産
- [9] <わたしたちの生活と工業生産>
- 国内に工場があるのに,なぜわざわざ海外に工場を作って生産をするのか。
- ―自動車メーカーの戦略を知ろう―
- [10] <日本の工業生産>
- 工業が盛んな地域の条件は何か。
- ―日本の工業の特色を定義づけよう―
- 情報
- [11] <情報ネットワークの活用>
- 情報ネットワークは医療をどのように変えつつあるのか。
- ―情報化のよさをキーワードで表そう―
- 第W章 小学校6年 これだけははずせない「キー発問」アイディア
- 狩猟・採集や農耕の生活と米づくり
- [1] <米づくりが与えた変化・影響>
- 米づくりが発達して変わったことは何か。
- ―米づくりで変わったよい点・困った点を発表しよう―
- 奈良時代
- [2] <天皇の権力と支配体制を理解する>
- 大仏造りで聖武天皇が行基に協力を働きかけたのは,どんな考えからか。
- ―聖武天皇と行基の会話のセリフを作ってみよう―
- 平安時代
- [3] <日本風の文化が起こったことを理解する>
- 貴族のくらしは一言で言えば「どんなくらし」か。
- ―「華やかなくらし」だけだったのか―
- 鎌倉時代
- [4] <武士の世の始まりをとらえる>
- 「武士の世の中」が始まったのはいつからか。
- ―根拠となるできごとをあげて話し合おう―
- 室町時代
- [5] <室町文化が生まれたことを理解する>
- 雪舟の水墨画作品のすばらしさはどこか。
- ―室町文化について学んだことを伝えよう―
- 安土桃山時代・江戸時代
- [6] <武士による政治の安定と江戸時代の施策を知る>
- 信長はキリスト教を保護したが,家康は弾圧した。それぞれの理由は何か。
- ―政策の違いをインタビューにしてまとめよう―
- 江戸時代
- [7] <参勤交代の果たした役割を知る>
- 参勤交代は当時の社会にどのようなプラスがあったのか。
- ―当時の政策が社会に与えた影響について知ろう―
- 江戸時代・明治時代
- [8] <幕府が倒れ,四民平等などの改革で近代化を進めたことを知る>
- 四民平等の世の中は実現したのか。
- ―新しい国作りに大切な考えは何か,福沢諭吉にインタビューしよう―
- 明治時代
- [9] <厳しい国際環境の中で戦争に勝利し,国の安全を確保したことを知る>
- 日露戦争には「自衛戦争だった」と「他国に勢力を広げる戦争だった」という考えがある。それぞれどういう考えなのか。
- ―自分なりの解釈で日露戦争についてまとめよう―
- 昭和時代
- [10] <戦争中の生活の悲惨さと被害を知る>
- 太平洋戦争は,人々の生活をどう変えたか。
- ―グループごとに「戦時中レポート」をまとめよう―
- [11] <日本が国際社会の中で重要な役割を果たしたことを理解する>
- オリンピック開催のためにその国に必要なものは何か。
- ―戦後の日本の発展を考えよう―
- わたしたちのくらしと政治のはたらき
- [12] <国会・内閣・裁判所のはたらきを知る>
- あなたなら裁判員に不安な人をどのようにして説得するか。
- ―裁判員制度の必要性を説明できるようにしよう―
- 国際社会における我が国の役割
- [13] <日本が世界に貢献していることを知る>
- 日本が国際交流や国際協力をするよさは何か。
- ―国際社会のために日本ができることを考えよう―
まえがき
社会科における発問は重要な役割を果たします。一つの発問によって,授業が深まる場合もありますし,時には単元を通してその発問の追究意欲が持続する場合もあります。
初任の時に参観した授業で今も強い印象に残っているものがあります。5年生の農業に関する学習でした。「お米の値段は誰が決めるのか」という発問を契機として,授業が一気に活性化しました。その様子を見て,改めて発問は重要なものだと痛感しました。
しかし,効果のある発問,優れた発問は簡単に生まれるものではありません。先行文献を読み追試し,その文言を応用しながら自分なりに試してきました。そして,同じ学年を数回経験するようになってから,ようやくその原則らしきものが見えてきました。やがて,1時間だけではなく単元全体を貫く発問も意識するようになりました。子どもたちの思考が促され,単元のねらいに迫る中心的な発問です。これを考える作業は辛いものでしたが,子どもたちが積極的に学習活動に取り組む姿が何よりの励みでした。
本書はそのようなキー発問を提示し,単元全体の展開を新学習指導要領の内容に沿って示したものです。フォーマットに沿って1単元4ページにコンパクトにまとめています。1ページには,発問と単元全体の展開のポイントを示しました。2〜4ページ目の具体的な単元の展開では,キー発問をもとにした学習課題・補助発問を具体的に記し,子どもたちの活動がイメージできるようにしました。さらに,「こんな資料から発問してみよう」「プラスαの展開例」を提示し,幅広い授業ができる工夫を考えました。
皆様のこれからの社会科授業の参考になればと願っています。
本書を出版するにあたっては,編集担当の及川誠さんに大変お世話になりました。企画構成はもちろん,文章表現や資料選択等に適切なアドバイスをいただきました。心から厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。
/佐藤 正寿
授業づくりの参考書として、持ち歩きたくなる本です。