- まえがき
- T 授業参観で保護者の信頼を勝ち取る
- 魅力ある授業参観をデザインする7つのポイント
- ポイント1 1年間の見通しをもって授業参観に臨もう
- ポイント2 思わず足を運びたくなる「お知らせ」をしよう
- ポイント3 教室環境を整えておこう
- ポイント4 だれもが入りやすい和やかな雰囲気を醸し出そう
- ポイント5 授業の意図が保護者にも伝わるようにしよう
- ポイント6 子どもの活動,出番があるものにしよう
- ポイント7 参観する保護者を巻き込む工夫をしよう
- U 保護者との絆を深める学級懇談会の運営
- 学級懇談会の魅力を引き出す7つのポイント
- ポイント1 1年間の学級懇談会を見通して計画的に臨もう
- ポイント2 担任としてのビジョンを明確に示そう
- ポイント3 形式的な運営に留まらないようにしよう
- ポイント4 保護者のニーズに応えるテーマを設定しよう
- ポイント5 家庭での子育てに役立つものにしよう
- ポイント6 子どもたちの学校生活の様子や成長がわかるものにしよう
- ポイント7 「ほうれんそう」をしっかりしよう
- V 保護者の信頼を勝ち取る授業参観のアイデア
- 国語
- 低学年 「ありがとう」の心を伝える絵手紙
- 低学年 保護者と楽しむお話し会〜がまくんとかえるくんのお話たくさんあるよ〜
- 中学年 毎学期,自己紹介をしよう
- 中学年 おかあさんの詩
- 高学年 題名あてクイズで楽しもう!〜短詩を味わいながら〜
- 高学年 全員参加! 個々の持ち味あふれるディベートゲームをしよう!
- 社会
- 中学年 保護者と学ぶ「ごみの処理と再利用」
- 中学年 親子で昔の洗濯体験〜「昔のくらし」を通して〜
- 高学年 天ぷらそばづくりから食料自給率の問題を考える
- 高学年 日本と関係の深い国々についてポスターセッション型発表会
- 算数
- 低学年 たしざん計算ゲーム
- 低学年 三角形,いくつできるかな?
- 中学年 お菓子屋3年1組で買い物をしよう
- 中学年 身のまわりの角度を調べよう
- 高学年 自分の歩幅で長さをはかろう
- 高学年 おいしいドレッシングをつくろう
- 理科
- 中学年 まわれまわれ風車〜風の力を感じて〜
- 中学年 空気のパワーを実感させる噴水実験〜空気の力と生活をつなげて〜
- 高学年 振り子ストップウォッチで100m走のタイムをはかろう
- 高学年 親子で楽しむプレパラートづくり(気孔の観察)
- 生活
- 低学年 野菜を育てよう
- 音楽
- 低学年 保護者と楽しむにこにこコンサート
- 図工
- 低学年 きらきらアイスランドへようこそ
- 家庭
- 高学年 フェルト絵本の製作〜それぞれの思いをこめて,卒業記念作品をつくろう〜
- 体育
- 高学年 保護者と楽しむベースボール型ゲーム
- 道徳
- 中学年 読み物資料「大きなテーブル」で保護者と考える家族愛
- 外国語
- 高学年 保護者も参加! ゲーム神経衰弱
- 総合
- 高学年 演劇表現で保護者の涙を誘う取り組み
- W 懇談会で保護者の信頼を勝ち取るアイデア
- 保護者同士の絆を深める大作戦
まえがき
保護者にとって我が子が通う学校や学級は極めて重要な関心ごとである。井戸端会議や携帯電話,メール等で良きにつれ悪しきにつれ,活発な情報交流がまるで学級懇談会の裏サイトのようになされていく。この積み重ねが教師の評判となって息づいていくのである。こうした背景には,担任教師が温かく接し,子どもたちや保護者とのコミュニケーションを大切にしながら,わかりやすい授業で我が子を伸ばしてくれる頼り甲斐のある先生であってほしいという共通の思いや願いがあるためである。保護者から,この先生はすばらしい,この先生なら大丈夫,我が子を託していけるという実感を抱いてもらうことが必要となる。
編者が勤務していた小学校では,「めざす教師像」として,次の4点を掲げている。
@プロとして最先端の教育理念,教育技術を身につけた教職員
A親身になって子どもの成長を見届け,伸ばしていく教職員
B開かれた(拓かれた)学年,学級経営,授業を推進していく教職員
C事故防止に努め,安心,安全,万全な環境づくりを推進する教職員
いわば,人に優しく職務に厳しい教職員の姿である。
教職員相互で切磋琢磨し合うと共に,各教職員がこうした教師の姿を自ら求め研鑽していくことで実現できるものといえよう。このような教師にこそ保護者は厚く信頼し,心を寄せ,心強く我が子を託していくようになるのである。
保護者にとって教師の力量を推し量る有効な場が授業参観と学級懇談会である。特に年度当初の授業参観・学級懇談会はどんなベテラン教師であっても,保護者の目を意識して緊張し,身が引き締まる思いとなる。ましてや初任者や若い教師が苦手意識をもち,何度かやっても憂鬱な気分が抜けないのも頷ける。
しかし,発想を変えれば,授業参観・学級懇談会こそ保護者からの信頼を獲得できる大チャンスとなるのである。本書は始めに,授業参観及び学級懇談会を成功させる7つのポイントを記した。本編では授業参観に視点を当て,保護者の信頼を勝ち取る工夫を具体的な事例を通して紹介することに力を入れた。構成は,@授業全体のデザイン,A子どもと保護者を引き込む事前の準備,B授業を盛り上げる演出,C授業の考察と信頼を勝ち取るための担任へのアドバイスなどを各教科等の特質に応じ,授業参観を成功させるためのポイントを明確に示すようにした。終わりに,保護者が参加したくなる学級懇談会運営のアイデアについて若干記した。
執筆陣は私学も含め,全国に視野を広げて選抜されたエキスパートである。新しい学習指導要領に基づき,各教科,外国語活動,道徳,総合的な学習の時間について幅広く掲載していくことに努めた。事例はそのまま即自身の学級で授業参観として使えるものである。また,多くの事例を読み,学ぶことで各事例の根底に流れる授業参観のツボやコツが明確となり,今後行うすべての授業参観に転化,応用できるようになることもねらっている。若い先生方にも,プロ教師としての資質や力量が培われていくはずである。ベテランの先生方にもこれまで行ってきた授業参観を見直し,改善することで信頼を一層高める機会になるはずである。
現場の多くの先生方に本書を活用し,保護者との絆を深め,自信をもって教育活動に当たっていただくことを願ってやまない。
終わりに,刊行に際して執筆を快くお引き受けくださいました先生方,緻密に編集業務にご尽力いただきました明治図書編集部の茅野現氏に厚く感謝御礼申し上げます。
/廣瀬 仁郎
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- 明治図書