- まえがき
- 第T章 道徳授業と板書
- 1 道徳授業と道徳的実践力の育成
- 2 道徳的実践力に支えられた道徳的実践
- 3 道徳授業における板書の役割
- 第U章 実践・板書活用のアイデア
- 1 パネルと板書を効果的に活用した授業を行おう
- 1 はじめに
- 2 視覚に訴える資料提示
- 3 指導案(本時の指導)
- どこまでやっていいのか 1−(1)基本的な生活習慣(節度節制) かぼちゃのつる
- 4 授業後の感想
- 2 ペープサートで心の変化に気づく板書活用の授業を行おう
- 1 「ペープサート」を活用した板書のアイデアについて
- 2 子どもの実態
- 3 指導案(本時の指導)
- あたたかい心で 2−(2)親切 はしの うえの おおかみ
- 4 指導の工夫・板書の工夫
- 5 授業の展開
- 3 パネルで人形を動かしながら共感できる授業を行おう
- 1 「パネルシアター」を活用した授業のアイデアについて
- 2 子どもの実態
- 3 指導案(本時の指導)
- いつも正直に 1−(4)正直誠実 どんぐり
- 4 指導の工夫
- 5 授業の展開
- 4 登場人物が出てくる仕掛けのある板書活用を行おう
- 1 「登場人物が出てくる仕掛け」を活用した板書アイデアについて
- 2 児童の実態について〜児童はうそをどうとらえるか〜
- 3 指導案(本時の指導)
- 正直な行い 1−(4)正直誠実・明朗 金のおの
- 4 指導の工夫・板書の工夫
- 5 授業の展開
- 5 紙芝居を効果的に活用した授業を行おう
- 1 紙芝居を活用した板書のアイデアについて
- 2 指導案(本時の指導)
- ほんとうの友達 2−(3)信頼・友情 ないた赤おに
- 3 指導の工夫・板書の工夫
- 4 授業の展開
- 5 授業を終えて
- 6 ポストイットで意見の変化を実感する板書活用の授業を行おう
- 1 付箋紙を活用した意見交換を板書に生かす
- 2 子どもの実態
- 3 指導案(本時の指導)
- ルール違反 4−(1)公徳心 雨のバス停留所で
- 4 指導の工夫・板書の工夫
- 5 授業記録
- 6 板書を活かした見とり
- 7 ねらいとする道徳的価値と自分の生活とのかかわり
- 7 幻想的な雰囲気の中で板書活用の授業を行おう
- 1 敬虔の授業における雰囲気づくりについて
- 2 子どもの実態
- 3 指導案(本時の指導)
- 心に咲く花 3−(3)敬虔 花さき山
- 4 指導の工夫・板書の工夫
- 5 授業の展開
- 8 二枚の請求書を映し出す授業を行おう
- 1 はじめに
- 2 児童の実態(一人一人の確かな成長を願って)
- 3 指導案(本時の指導)
- ブラッドレーのせいきゅう書
- 4 授業の展開
- 5 おわりに
- 9 役割演技と板書を組み合わせた授業をしよう
- 1 役割演技を活用した授業について
- 2 指導案(本時の指導)
- 2−(3)友情・信頼 言葉のおくりもの
- 3 指導の工夫・板書の工夫
- 4 授業の展開
- 10 ネームプレートを利用した板書活用の授業を行おう
- 1 はじめに
- 2 児童の実態〜高学年という発達段階〜
- 3 ネームプレートの効果について
- 4 指導案(本時の指導)
- ルールとマナー 4−(1)公徳心・規則尊重 シンガポールの思い出
- 5 授業の様子
- 6 ネームプレートの効果について
- 7 おわりに
- 11 移動式黒板を用いて話し合いの授業で板書を活用しよう
- 1 「移動式黒板」を活用した板書のアイデアについて
- 2 子どもの実態
- 3 指導案(本時の指導)
- 自分自身への誠実さ 1−(4)明朗誠実 手品師
- 4 指導の工夫・板書の工夫
- 5 授業の実際
- 12 写真資料を効果的に利用した板書活用の授業をしよう
- 1 「写真資料」を活用した板書のアイデアについて
- 2 子どもの実態
- 3 指導案(本時の指導)
- 自然に学ぶ 3−(1)自然愛 ひとふみ十年
- 4 指導の工夫・板書の工夫
- 5 授業の展開
まえがき
「道徳授業を楽しく充実したものとしたいのですがどのように工夫したらいいでしょう。」ということを先生方から聞かれることが多くなってきました。また「子どもたちが進んで自分の意見を発表できるようにしたいのですが,何かポイントがありますか。」ということを聞かれることもよくあります。さらに「副読本の資料を活用して授業を展開しているのですが,もっと子どもたちが積極的に授業に参加するような方法はありませんか。」と,道徳授業の効果的な進め方について課題をもたれている先生方も多くいらっしゃいます。いずれの場合も,もっと道徳授業を楽しいものにしたい,子どもたちが積極的に授業に参加するような工夫をしたい,ねらいが効果的に達成できるような授業に挑戦したい,といった真摯な悩みや意欲から発想された疑問や課題であると思われます。
道徳授業を充実し,子どもたちが意欲的に授業に参加し,効果的にねらいを達成するためには,資料そのものについての検討や資料と子どもたちとの出会いを工夫するといった資料にかかわる検討も大切です。また,指導方法や学習形態を工夫し,子どもたちが意欲的に授業に参加できるよう考えていくことも必要です。さらにワークシートを活用したり,役割演技や動作化を工夫したり説いたりすることも重要です。
研究会等に参加させていただいて感じることは,一生懸命研究授業に取り組んでおられる先生方が,どうも,これまで一般的に言われてきた「主人公の気持ちを大切にするのだから,なぜとかどうしてなどとはきいてはいけない。」ですとか「主人公に絞って気持ちを追って聞いていくことが大切で,主人公の気持ちを聞いたり,相手の気持ちを聞いたりすることは避けなければならない。」といったことにとらわれ過ぎているのではないかということです。道徳授業を充実させるためには,ねらいとする道徳的価値について,ひとつはその内容を理解すること,ふたつには自分の生活とのかかわりで考えること,そしてみっつには自分なりの課題や夢や希望をもつということ,といった3つの道徳授業の特質を踏まえれば,様々な工夫が考えられるということです。主人公の気持ちを追いながら考えるということだけが道徳授業ではないということです。
本書では,こうしたことを踏まえて,板書に視点を当てて道徳授業の充実,発展を考えてみました。この“板書”も,学級前面にある所謂黒板をどのように工夫するかといった点を押さえるだけにとどまらず,そこから発展させ,子どもたちの視覚や聴覚等に訴えるという点から板書を再考し,教室の前面を舞台と考え,その舞台でどのように劇(授業)を展開していくかという点にまで発想を広げて考えてみました。したがって,ペープサートの工夫といった資料提示の工夫や,ネームプレートの活用を通して子どもたちが積極的に自分の考えを発表し授業にかかわっていこうとする動的な板書の工夫等々も含みながら事例を紹介しています。
「どうも私の道徳授業はマンネリ化している。何か楽しくなるような工夫はないか。」「資料提示がいつも同じで,資料を読み聞かせるだけになってしまっているけれど,何かダイナミックな方法はないか。」といったように,一工夫ある道徳授業を展開したいと考えていらっしゃる先生方に,大きなヒントとなるものが本書の中にはあります。まず目次を見ただけでもそのことが理解できると思います。
子どもが道徳授業を好きになるには,まず先生が道徳授業を好きになることが必要です。そして,先生方が楽しく取り組めるような授業が展開されれば,子どもたちも楽しく授業に入っていけます。本書を参考に,子どもたちも,そして先生方も楽しく取り組めるような道徳授業を是非創造していただきたいと願っています。
なお,本書の発行にかかわりまして,明治図書編集部,茅野 現 様には多大なご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。
/長谷 徹
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- 明治図書