- 推薦の言葉 礼に始まり礼に終わる /羽生 善治
- はじめに 朝の会――将棋列車にご乗車ありがとうございます
- T 一時間目
- 〈将棋パワー〉とは?――一号列車の一年生と将棋クラブ
- 「これは、羽生さんが勝つね…」/ 教育を通して/ 三つの礼/ 本物が来た!/ 日本の伝統文化と心/ 手を真似る/ 無言の会話/ 棋士講習会/ 折り紙将棋/ プロ棋士はヒーロー
- U 二時間目
- 将棋パワーを分析する――二十一年前の子どもと今の子ども…高学年の列車では
- 1 〈将棋の教育的意義〉の話
- 将棋だけをやればいいのではない…/ 塾に通わせるように/ ゆとり教育と恥の文化/ 日本の伝統文化の奨励/ 三つの視点/ 将棋を指すということ―内面・外面/ 自宅将棋教室のあの子/ なぜ集中力がついたのか?/ 待つ行為と実体験/ 教わる立場と教える立場から/ 遊びの中に/ 遊びの本来の姿/ 頭を使わなくなった子どもたち
- 2 将棋の心理学的特質
- 将棋の知能/ 心理学者の分析/ 勝負と二人の芸術性/ 視覚的観念作用と言語的知能/ 人間の精神的エネルギー/ 自制心と忍耐力/ 全体を見通しながら遠回りする行為/ 将棋の普及
- 3 データで見る、将棋と子どもたち――今と昔
- 二十一年前との比較/ 将棋の愛着度/ 将棋と各教科との関係/ 将棋クラブ以外の教室では…/ 将棋と理数系の関係/ 家庭における将棋の位置/ 二十一年後の異変…/ 子どもたちのやる気/ 将棋の知識度/ 将棋の棋力/ ルールを知って六十級…/ 棋力は知識に比例する/ 級位者と段位者/ 詰め将棋の知識度/ 将棋の戦法の知識度/ 棋力を調べることは…/ 王様の囲い方の知識度/ 昔の人の頭脳に憧れて/ 思考力、粘り強さ、そして創造性教育/ 詰め将棋―記憶力/ 詰め将棋―やる気度/ 応用問題への対応、挑戦/ 視覚的観念作用の有無/ 将棋盤を利用して/ 思考力、創造力を
- V 休み時間
- 図書室の名人戦――駅の待合室(図書室)
- 小学生に伝える将棋の面白さについて/ 将棋の三つの視点/ 将棋の教育的意義/ 将棋を使ってのさまざまな遊び
- W 三時間目
- 今、子どもに思考力・集中力を――子ども・プロ棋士・プロ記者から見た将棋…各車両では
- 爽やかな風に
- 1 プロ棋士から見た将棋パワー 女流棋士 早水千紗先生
- 2 プロ記者から見た将棋パワー 読売新聞記者 西條耕一先生
- X 四時間目
- 将棋のマジックパワー! 羽生さんとの会話から――将棋の奥深さ
- 校門で…/ 将棋には長い歴史が反映されている/ コンパクトに小さく、最小限が日本の文化の特質/ 勝ちたい欲望をつみ取る
- 1 羽生さんの学生時代はどうでしたか?――十代の考え方、学び方
- 修行時代の話/ 才能ってなんでしょうか?/ そのときの学校生活/ 明治生まれの気概、プロ意識/ 将棋そのもので実体験できる/ 感想戦の意義/ 掃除をしない子、保健室にいく子…/ 見ているからやる、見ていなくてもやる/ 自分の眼にははつけない/ 一日一時間、二十年間/ 一日一日を生き生きと生きる
- 2 では、どのようにしたら将棋が強くなれるでしょうか?
- 〈将棋メソッド〉将棋の教育学的指導法/ 〈将棋メソッド〉一つの例として/ 一枚の写真
- Y お弁当の時間
- プロの将棋 対局室――プロの棋士の思考力、集中力
- 眼の輝き〈教育者から観た観戦記〉二〇〇六・九・十六(土)
- プロローグ/ 教育と将棋の想い/ 羽生さんの色紙/ 三つの視点/ エピローグ
- Z 帰りの会
- 将棋を通じて、今の子どもたちに伝えたいこと
- 私と将棋/ 対局マナーの低下/ 将棋と教育の部屋/ 将棋上達法/ 三つの礼を大切に!/ 自尊心は今のほうが強い/ 恥の文化とリセットボタン
- あとがき 放課後の職員室
推薦の言葉
礼に始まり礼に終わる
将棋は「礼に始まり礼に終わる」と言われています。
一礼をして駒箱から駒を取り出し、盤面に並べてから開始の「お願いします。」の一礼。そして対局が始まります。
勝負がついたときには敗者が「負けました。」と言って一礼をして、もう一方がそれに対して一礼をします。
終局後は駒をきちんと数えて、駒箱にしまい、「ありがとうございました。」と一礼をして一局の対局が終わります。
当然と言えば当然のことなのですが、その実行がいかに困難で、伝えたくても伝わらないのが昨今の状況なのではないでしょうか。
安次嶺先生はそんな将棋のもっている良き部分を教育の現場で実践をされている指導者です。
そして、将棋を習いに来ている子どもたちの保護者のみなさんも将棋を強くしたいという目的ではなく「礼儀作法を教えたい」「落ち着きを持たせたい」「集中力を身につけさせたい」「判断力を養わせたい」等の理由から連れて来られる傾向があります。
しかし、具体的にどんな方法で、順序で、心構えでとなると難しくなるのも事実です。
この本には、そんなときにどうしたらよいのかという、安次嶺先生の経験に裏打ちされた「知識」「知恵」「ヒント」がぎっしりと詰まっているのではないでしょうか。
安次嶺先生が担当をされている学校の将棋クラブへ行ったことがあります。
元気のある子どもたちでしたが、きちんとメリハリをもっているという印象を受けました。
学校において先生の存在は実に大きいです。逆に言えば生徒を見れば先生の存在もわかる気もします。
良い方法、メソッドがあれば共有していくのが大きな流れとなります。将棋の格言の一つにも「遊び駒を作らない」があります。
つまり、すべての駒を活用することが最も大切という意味です。
安次嶺先生には、今後も多くの子どもたちに活力を与え続けてほしいと思っています。
二〇〇八年一月吉日 日本将棋連盟 棋士 /羽生 善治
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- 明治図書
- 将棋と教育。とても親和性がある。2024/2/2640代・小学校教員